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「ごめんなさいお姉様~でもライアン様がどうしてもとおっしゃるので」
妹は猫なで声を出しながらライアン様の腕に絡みつく
その大きな胸に彼も鼻の下を伸ばしていた
「そ、そういうことだ…俺は真実の愛を見つけたのだ!」
真実の愛?
思わず吹き出しそうになってしまう
見ているだけで滑稽だ
彼は自身の選択で起こる事を理解していない
なにより、真実の愛というには見ている先が妹の胸だけで
説得力のかけらもない
「はぁ……」
思わずため息を吐きながら頭を抱える
バカな方だとは思っていたが、ここまでとは
「なんだ?悲しくて声もでないか?」
「お姉様…かわいそ~」
勘違いされているがほっておこう
「ライアン様、私との破談……あなたのお父様には言っているのですね?」
「もちろんだ!父と母も、俺に相応しい相手を選べと言ってくれた!」
「そうですか……」
相変わらず、子供に対して甘い方々だ
私とライアン様は書類上ではすでに結婚している
それは私に一目ぼれしたライアン様と彼の父親の無理やりに近い婚約申し込みのせいだ
それは…まぁいい
貴族令嬢として好きな相手と必ず結ばれるとは思っていない
家柄や立場などしがらみの多い家に生まれたのだ覚悟はしていた
だから彼との離縁は嬉しい事だが
しかしこのタイミングは少し変わってくる
「結婚式にはすでに各貴族の方々へ連絡もしております……招待した方々への失礼となりますよ」
「そんなもの!お前が頭を下げて謝罪してこい、元はといえばお前に俺を引き寄せる魅力がなかったのが原因だ!!」
「関わってくださっている方への感謝はないのですか?」
「あるわけないだろう!!馬鹿な女だな…お前は」
彼は鼻で笑いながら、妹のマリアを抱きしめる
「お前がいてくれれば俺はそれでいいんだ」
「ラ、ライアン様~お姉様の前ですし……」
「いや、むしろ見せつけておかねば俺やお前に嫉妬心を抱くかもしれない、ここは徹底的に幸せを見せつけて諦めさせてやらないとな」
嫉妬?抱くはずもない
どれだけ勘違いすればこんな思い込みができるのか
この鈍感力だけは参考にしたいと思ってしまう
「なにごとだね?」
「ローザ、マリア…それにライアン様も何をしているのですか?」
言い合っていると私の父と母が心配そうにやって来る
声が聞こえたのだろう
両親に心配させたくはなかったのだがライアン様の声が大きいのが原因だ
「ちょうど良かった!リシテア伯爵家の当主のお二人にも言っておきたかったのだ」
「な、なんでしょうか?」
お父様が聞き返すとライアン様は再び大きな声で高らかに宣言する
「俺はローザと離縁しマリアと結婚する…これは決定事項だ!!」
「そ、それは…」
「まぁ…」
動揺する二人にライアン様は笑っているが
お父様、お母様……
嬉しそうに口元が緩んでおります
今は我慢してください
もう少しなのですから
妹は猫なで声を出しながらライアン様の腕に絡みつく
その大きな胸に彼も鼻の下を伸ばしていた
「そ、そういうことだ…俺は真実の愛を見つけたのだ!」
真実の愛?
思わず吹き出しそうになってしまう
見ているだけで滑稽だ
彼は自身の選択で起こる事を理解していない
なにより、真実の愛というには見ている先が妹の胸だけで
説得力のかけらもない
「はぁ……」
思わずため息を吐きながら頭を抱える
バカな方だとは思っていたが、ここまでとは
「なんだ?悲しくて声もでないか?」
「お姉様…かわいそ~」
勘違いされているがほっておこう
「ライアン様、私との破談……あなたのお父様には言っているのですね?」
「もちろんだ!父と母も、俺に相応しい相手を選べと言ってくれた!」
「そうですか……」
相変わらず、子供に対して甘い方々だ
私とライアン様は書類上ではすでに結婚している
それは私に一目ぼれしたライアン様と彼の父親の無理やりに近い婚約申し込みのせいだ
それは…まぁいい
貴族令嬢として好きな相手と必ず結ばれるとは思っていない
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だから彼との離縁は嬉しい事だが
しかしこのタイミングは少し変わってくる
「結婚式にはすでに各貴族の方々へ連絡もしております……招待した方々への失礼となりますよ」
「そんなもの!お前が頭を下げて謝罪してこい、元はといえばお前に俺を引き寄せる魅力がなかったのが原因だ!!」
「関わってくださっている方への感謝はないのですか?」
「あるわけないだろう!!馬鹿な女だな…お前は」
彼は鼻で笑いながら、妹のマリアを抱きしめる
「お前がいてくれれば俺はそれでいいんだ」
「ラ、ライアン様~お姉様の前ですし……」
「いや、むしろ見せつけておかねば俺やお前に嫉妬心を抱くかもしれない、ここは徹底的に幸せを見せつけて諦めさせてやらないとな」
嫉妬?抱くはずもない
どれだけ勘違いすればこんな思い込みができるのか
この鈍感力だけは参考にしたいと思ってしまう
「なにごとだね?」
「ローザ、マリア…それにライアン様も何をしているのですか?」
言い合っていると私の父と母が心配そうにやって来る
声が聞こえたのだろう
両親に心配させたくはなかったのだがライアン様の声が大きいのが原因だ
「ちょうど良かった!リシテア伯爵家の当主のお二人にも言っておきたかったのだ」
「な、なんでしょうか?」
お父様が聞き返すとライアン様は再び大きな声で高らかに宣言する
「俺はローザと離縁しマリアと結婚する…これは決定事項だ!!」
「そ、それは…」
「まぁ…」
動揺する二人にライアン様は笑っているが
お父様、お母様……
嬉しそうに口元が緩んでおります
今は我慢してください
もう少しなのですから
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