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19.触らせてもらいました
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僕を抱っこしたまま、カイルさんは急いで屋敷にも足を向けた。濡れた姿をマリアさんに見つかってしまった。呆れ顔の彼女に、それぞれの部屋の浴室に追い立てられる。
「お湯を溜めてる暇はないから、とりあえずハルカくんは熱めのシャワーを浴びて!体があったまるまで出てきちゃだめですよ!」
言われた通り、濡れた服を脱いでおとなしくシャワーを浴びた。
僕の不注意で楽しかった裏庭散策も中断してしまった。自業自得だけど悲しくなる。
謝るために部屋に行くと、着替えを済ませたカイルさんが尻尾にブラシを当てようとしているところだった。
最初に見た時から気になってい尻尾。
「カイルさん、ごめんなさい。せっかく誘ってくれたのに……。次から気をつけます。」
「1人で泉には近付かないと約束してくれるか。」
ちょっと怖い顔。裏庭に出ちゃダメとか言われるかなと、びくびくしていたので、それくらいなら平気だ。
「はい。約束します。」
シュンとした僕に、いつもの笑顔を見せてくれたのでほっとする。
「お手入れですか?」
いつもの雰囲気に安心して、そう質問する。触らせてもらえないかなという下心はある。
「夏場だからな、この時期はかなり毛が抜けるんだ。」
「ブラッシングさせてもらってもいいですか?」
「俺の尻尾をか?」
「はい!」
ダメかな?
「狼は小さい子供以外は、基本尻尾の手入れは自分でするんだ。尻尾は強く握られると弱点にもなりかねないからな。
まあ、恋人や夫婦間ではやらないこともない。だからな、他所で尻尾触りたいとか言ってはいけない。」
「そうなんですか?ごめんない……。」
失礼なことを言っていたのか。常識が分からないとはいえ、失敗した。あの魅力的な尻尾は触れないものなのか。
「そうしょんぼりするな。ダメだとは言っていない。」
「えっ。」
ブラシを渡してくれる。嬉しくてそっと尻尾に触れると、少し固いけれど艶やかなふわふわだ。その手触りに癒される。
そんな僕にカイルさんは苦笑を浮かべながら、やりたいようにさせてくれている。
ブラシを当てると結構毛が抜けた。黒だけかと思っていたら、銀色みたいな少し短い毛もある。とてもきれいだ。
ブラシから抜け毛を取るとふわふわだ。しばらくすると、僕の片手いっぱい取れた。大大満足だ。
「カイルさん、わがまま聞いてくれてありがとうございます。これ、もらってもいいですか?」
特別今日だけ触らせてくれたのなら、この毛の塊だけでもまた触って癒されたい。
僕のお願いにカイルさんはびっくりしていたけど、最終的には了承してくれた。
またもや常識外れな、もしや変態っぽい発言だったのかも。ちょっと不安になったけど、僕はそれを柔らかな布に包んで、机の大きな引き出しに大切にしまった。
「お湯を溜めてる暇はないから、とりあえずハルカくんは熱めのシャワーを浴びて!体があったまるまで出てきちゃだめですよ!」
言われた通り、濡れた服を脱いでおとなしくシャワーを浴びた。
僕の不注意で楽しかった裏庭散策も中断してしまった。自業自得だけど悲しくなる。
謝るために部屋に行くと、着替えを済ませたカイルさんが尻尾にブラシを当てようとしているところだった。
最初に見た時から気になってい尻尾。
「カイルさん、ごめんなさい。せっかく誘ってくれたのに……。次から気をつけます。」
「1人で泉には近付かないと約束してくれるか。」
ちょっと怖い顔。裏庭に出ちゃダメとか言われるかなと、びくびくしていたので、それくらいなら平気だ。
「はい。約束します。」
シュンとした僕に、いつもの笑顔を見せてくれたのでほっとする。
「お手入れですか?」
いつもの雰囲気に安心して、そう質問する。触らせてもらえないかなという下心はある。
「夏場だからな、この時期はかなり毛が抜けるんだ。」
「ブラッシングさせてもらってもいいですか?」
「俺の尻尾をか?」
「はい!」
ダメかな?
「狼は小さい子供以外は、基本尻尾の手入れは自分でするんだ。尻尾は強く握られると弱点にもなりかねないからな。
まあ、恋人や夫婦間ではやらないこともない。だからな、他所で尻尾触りたいとか言ってはいけない。」
「そうなんですか?ごめんない……。」
失礼なことを言っていたのか。常識が分からないとはいえ、失敗した。あの魅力的な尻尾は触れないものなのか。
「そうしょんぼりするな。ダメだとは言っていない。」
「えっ。」
ブラシを渡してくれる。嬉しくてそっと尻尾に触れると、少し固いけれど艶やかなふわふわだ。その手触りに癒される。
そんな僕にカイルさんは苦笑を浮かべながら、やりたいようにさせてくれている。
ブラシを当てると結構毛が抜けた。黒だけかと思っていたら、銀色みたいな少し短い毛もある。とてもきれいだ。
ブラシから抜け毛を取るとふわふわだ。しばらくすると、僕の片手いっぱい取れた。大大満足だ。
「カイルさん、わがまま聞いてくれてありがとうございます。これ、もらってもいいですか?」
特別今日だけ触らせてくれたのなら、この毛の塊だけでもまた触って癒されたい。
僕のお願いにカイルさんはびっくりしていたけど、最終的には了承してくれた。
またもや常識外れな、もしや変態っぽい発言だったのかも。ちょっと不安になったけど、僕はそれを柔らかな布に包んで、机の大きな引き出しに大切にしまった。
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