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第二章 藍と学校
156. 薔薇なき革命 რევოლუცია ვარდების გარეშე
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「こら、うるさいですよ。でもなんで髪も短いんですか?」
髪を触ったりくるくる回ってみたりする。
「あぁそれは髪を構成していた心が他のもっと生命維持に重要な器官に置換されたんだろう。内臓とか血管とかにな。」
「あぁ~確かに極論髪ってなくても生きていけますもんね。」
「あぁ。」
「ん……?ということはそれじゃあ両性具有者を殺すには――」
「――男性体と女性体、両性の肉体を同時に殺す必要がある。つまり片方ぶっ殺してすぐもう片方ぶっ殺すんだな。」
「なるほど。……あれ?じゃあ死んだんじゃなくて“散華”した場合は?」
わたくしは吹きすさぶ雪の中、恐ろしい答えが待っている気がした。
「――その場合、散華の鬱状態、もしくは植物人間状態から“寛解”……つまり自然とマシになることを祈るしかねぇ。鬱は“寛解”してマシにはなっても、一生“完治”はしないからな。
そして寛解しないと――」
「――そのその性を一生亡うことになる……?」
◇◆◇
「その疑問に答える前に……。」
そう言いながらザミールも女性体へ換装する。
「やっぱ今はこっちの姿のほうが楽だなぁ……。」
彼女がゴキゴキと首を鳴らす。
「じゃあわたくしも……。」
そう言ってわたくしは男性体に戻る。
なんとなく頬をモチモチしてみる。
「んで、性を亡うかどうかだったな……。
まぁ言っちまえば、あぁ……哀しいがそうなる。」
「……そう、ですか……。」
「おいおいそんな顔すんなよ!幸い俺たちゃあ、あの夜互いをぶっ殺しあっただけだ。こうしてまだ両性とも生きてる、物事のいい面をみようぜぇ。Look on the bright side. ってやつだ。」
「ふふっ……英国系地獄語ですか。……ザミール、貴方はそういった地獄の知識に対してはどういった姿勢なんですか?その、ある意味地獄の悪意が……。」
「――俺のアデライーダさまを散華に追いやって、家族を殺した。」
「はい……。」
「まぁ、個人としては死ぬほど嫌いだし……この文学界から無くすべきだとは思ってる……地球人どもの考えなんてな。しかし――」
「本当にそれでいいのかと思ってる自分もいる……?」
「……!……お前もか。やっぱり似てんなぁ俺らは。」
「まぁわたくしは親に育てられなかったので、殆どの知識、教養を地球人の地獄文献から学んだので……。
しかし、ザミール貴方は違う。
何故あんな目にあってまで……なんでまだ地球人を信じられるのですか……?」
「俺はまだ迷ってて信じてるわけじゃなぁい。
だが俺は反政府組織のリーダーだ。仲間を導くリーダーだ。それに革命を起こそうとしてる。血の流れる革命をな。
――薔薇の香りなんてしない革命さ。
だから常に思うんだ。俺一人の判断で輩を死に追いやることも、部下を懺悔させることも、無辜の民に被害がいくこともある。俺が憎んでいるのは、この国の“統治者”であって“民草”じゃない。“為政者”であって、この国そのものを憎んでるわけじゃないんだ。
よく右翼連中からは砂漠の黒死病ザミール・カマラードはこの国を憎んでいて、完膚なきまでに破壊することがその目的だ。なんて言われるがな。」
ザミールの手を握り揉む。
きっと今まで心で痛めつけられてきたんだろう。
「――貴方はこの国を壊したいんじゃなくて、変えたいだけ。わたくしには分かります。」
「あぁ、お前なら分かってくれると思ったぜ。なんせ剥き出しのこころをぶつけ合った無二の仇敵だからな。」
そこ迄話すとザミールはどかっと雪に座り込んだ。
「……いいもんだなぁ。自分を理解してくれるヤツがいるってのはぁよ。」
「……貴方にはわたくし以外にも少なくない数の仲間が……部下たちがいるのでは?」
「あぁ……だかボスと部下の関係ではどうしても越えられない理解の一線ってのがあるだろ?
そこにはどうしても憧れ、畏敬、利害関係なんてのが入り込んできやがる。」
「まぁ……貴方の部下のジョンウを見てると、彼が貴方を本当に心酔していることは分かりますね。」
「……あぁそして時に行き過ぎた尊敬ってのは、視界を歪めちまう。尊敬してる奴のいい面ばっかを見て悪い所に目を瞑ったりな。だから、本当の意味で相互理解するのはなかなか難しい。」
「例えば、貴女が間違った選択をしたときにも、それを諌めずに盲目的についてきてしまう可能性がある……?」
「あぁ……あの“林間学校襲撃事件”がまさにそれだ。俺は新生ロイヤル帝国のアガ・ハナシュから話を持ちかけられた時、格好の好機だと思った。もう二度と訪れない好機だと。理由は……聡明なお前なら分かるだろう?」
哀しいが、分かってしまう。
「正規の軍を保持する政府にそれも武官ばかりのミルヒシュトラーセ辺境伯派を打ち倒すには、それを上回る軍隊がいる。」
「あぁ……だけど反政府組織は言っちまえば俺が育った人間体収容所の奴らと、スラムのゴロツキ達がメインの構成員だ。仲間を増やそうにも、勧誘した奴が公王や辺境伯にチクるリスクもある。
そもそもこの体制を良しとしている奴も多いし……人は“変化”を何より恐れる。たといより良いものになるとしても、そこに“変化に伴う痛み”が少しでもともなうなら人は現状維持を望む。」
「今いる環境を変化させることができても、そこに煩雑な手続きが必要となれば、いつまでも泥濘の中にいたい、というようなものでしょうか?」
「あぁ……世俗的な例だが、今の職場に不満はあるが、転職活動をするのは億劫だから文句を言いながらそこに留まるみてぇなもんだ。」
「……わたくしも、そうかもしれません。」
「あぁ……?お前の何処がそうなんだよ?
お前には一本信念が通ってるのを感じたぜ。友を守るために、凶悪犯罪者に立ち向かった姿を見たときにな。」
「……わたくしは、自分の家族をどうすればいいのか分からないのです。今のままでいればまだエレクトラ……“おかあさま”はわたくしを見捨てないでいてくれるし、あの人の役に立ってさえいれば、いつか愛してさえくれるかもしれない……。そんな馬鹿で滑稽で愚かな夢物語をまだ何処かで信じている。
それに現状維持をしていれば、少なくともゲアーターとシュベスターからの愛は亡うことはない。
だけど、だけどもしわたくしが、エゴおねえさまと手を組んで、この地球の悪意に満ちた国を変革しようとしたら……世界でいちばん愛している彼らと敵対することになる……。何故なら彼らはわたくしより、おかあさまの事をより愛しているからです。
それが胎内にいる時の心による愛情のせいか、本当の母の愛情によるものかは分かりかねますが……。
だから、わたくしはこの頃ずっと考えてしまうのです……もしこのまま見て見ぬふりさえしていれば……少なくとも見せかけの“家族関係”は亡わずに済むのではないかと。
わたくしは恐ろしいのです……きょうだい関係だけは……おにいさまとおねえさまと……敵対する……?こわい、こわい……世界でいちばん大事なものを自分から壊そうとすることが。
……わたくしは幼少期からずっと死のうと思ってきました。誰も悲しまないだろうから、その方がみんな幸せだから、わたくしなんて生まれてこなきゃよかった。生まれてきて、ごめんなさいって。だけどそんなわたくしをこの世界に繋ぎ止めたのは……おねえさまの愛でした。」
おかあさまの憎悪の黒い太陽を灼かれた夜を思い出す――
◆◆◆
そうか、アイはアイのことが嫌いだったんだ。憎かったんだ。殺してやりたいんだ。なんだかしっくりきてしまった。こんな塵屑好きになるやつはいない。アイだってこんなやつは嫌いだ。
じゃあ、殺してしまおう、こんな自分は。だってそうしたらみんな幸せなのだから。おかあさまのもおとうさまも、お兄さまもエゴペーお姉さまも、アイ自身も……みんなみんなみんな……。
……なんで、やさしくしてくれるお兄さまやエゴペーお姉さまを信じられない?やさしい人たちを疑うということが、この世でもっとも嫌悪すべき悪徳であるということを知っているのに?
……たぶんきっと、お兄さまはお母さまに、エゴペーお姉さまはお父さまに愛されているからだ。ありありとそれを見せつけられるからだ。あいがどれだけ渇望しても手に入らない愛を、なみなみと有り余るほど注がれているのを目の当たりにするからだ。
余ってるならくれたっていいじゃないか。少しくらいくれたって。一滴だっていいのに……。それで幸せなのに。だから信じられない?どうして?お二人は何も悪くないのに。それが自分を惨めにするというだけで、二人を信じきれない。そんな自分がいちばん嫌いだ。いちばん醜い。
ならはやくしんでしまおう。これ以上1秒でも永く大好きな人たちを傷つけ続ける前に。愛する人をアイが生きてるせいで不幸にする前に。
……でも。でもシュベスターは?おねえさまは……もしアイが死んだら。もし完璧な家族から唯一の汚点が消え去ったら。それでもかなしんで下さるたろうか……?もしアイがしんだら。お姉さまは……。かなしんで下さる?人を悲しませて喜ぶなんてとことんゴミクズだな……アイは。
でも……もしかなしんで下さるなら。いや、おねえさまはきっとかなしんで下さる。おねえさまだけはきっと。ならしねない……ゆいいつ信じられる人をかなしませるなんて。いくらアイでもそんなことはできない。そして、おねえさまがかなしんで下さるなら、もしかしたら、万が一にも、お兄さまとエゴペーおねえさまも……?もしかしたら。
ならば生きていよう。きはすすまないけど、できるだけしずかに、あいするひとたちの視界にはいらぬように。ただおねえさまの……家族の幸せを願っていよう。そして願わくば……これ以上誰も。きずすけなくない。なんだかなみだがでてきた。なきたくなんかないのに。
死にたいわけじゃない。そんなわけない。死ぬのはこわい。ほんとにこわい。こわくてしかたがない。しにたくない。しにたいわけじゃないんだ。ただ……生きていたくないんだ。
でもたったひとり、ひとりだけでも、アイがしんだなら、かなしんでくれる、かなしんでくれるひとがいると、そう、こころでかんじられるうちは、そのうちだけは、いきていよう、とおもった。
髪を触ったりくるくる回ってみたりする。
「あぁそれは髪を構成していた心が他のもっと生命維持に重要な器官に置換されたんだろう。内臓とか血管とかにな。」
「あぁ~確かに極論髪ってなくても生きていけますもんね。」
「あぁ。」
「ん……?ということはそれじゃあ両性具有者を殺すには――」
「――男性体と女性体、両性の肉体を同時に殺す必要がある。つまり片方ぶっ殺してすぐもう片方ぶっ殺すんだな。」
「なるほど。……あれ?じゃあ死んだんじゃなくて“散華”した場合は?」
わたくしは吹きすさぶ雪の中、恐ろしい答えが待っている気がした。
「――その場合、散華の鬱状態、もしくは植物人間状態から“寛解”……つまり自然とマシになることを祈るしかねぇ。鬱は“寛解”してマシにはなっても、一生“完治”はしないからな。
そして寛解しないと――」
「――そのその性を一生亡うことになる……?」
◇◆◇
「その疑問に答える前に……。」
そう言いながらザミールも女性体へ換装する。
「やっぱ今はこっちの姿のほうが楽だなぁ……。」
彼女がゴキゴキと首を鳴らす。
「じゃあわたくしも……。」
そう言ってわたくしは男性体に戻る。
なんとなく頬をモチモチしてみる。
「んで、性を亡うかどうかだったな……。
まぁ言っちまえば、あぁ……哀しいがそうなる。」
「……そう、ですか……。」
「おいおいそんな顔すんなよ!幸い俺たちゃあ、あの夜互いをぶっ殺しあっただけだ。こうしてまだ両性とも生きてる、物事のいい面をみようぜぇ。Look on the bright side. ってやつだ。」
「ふふっ……英国系地獄語ですか。……ザミール、貴方はそういった地獄の知識に対してはどういった姿勢なんですか?その、ある意味地獄の悪意が……。」
「――俺のアデライーダさまを散華に追いやって、家族を殺した。」
「はい……。」
「まぁ、個人としては死ぬほど嫌いだし……この文学界から無くすべきだとは思ってる……地球人どもの考えなんてな。しかし――」
「本当にそれでいいのかと思ってる自分もいる……?」
「……!……お前もか。やっぱり似てんなぁ俺らは。」
「まぁわたくしは親に育てられなかったので、殆どの知識、教養を地球人の地獄文献から学んだので……。
しかし、ザミール貴方は違う。
何故あんな目にあってまで……なんでまだ地球人を信じられるのですか……?」
「俺はまだ迷ってて信じてるわけじゃなぁい。
だが俺は反政府組織のリーダーだ。仲間を導くリーダーだ。それに革命を起こそうとしてる。血の流れる革命をな。
――薔薇の香りなんてしない革命さ。
だから常に思うんだ。俺一人の判断で輩を死に追いやることも、部下を懺悔させることも、無辜の民に被害がいくこともある。俺が憎んでいるのは、この国の“統治者”であって“民草”じゃない。“為政者”であって、この国そのものを憎んでるわけじゃないんだ。
よく右翼連中からは砂漠の黒死病ザミール・カマラードはこの国を憎んでいて、完膚なきまでに破壊することがその目的だ。なんて言われるがな。」
ザミールの手を握り揉む。
きっと今まで心で痛めつけられてきたんだろう。
「――貴方はこの国を壊したいんじゃなくて、変えたいだけ。わたくしには分かります。」
「あぁ、お前なら分かってくれると思ったぜ。なんせ剥き出しのこころをぶつけ合った無二の仇敵だからな。」
そこ迄話すとザミールはどかっと雪に座り込んだ。
「……いいもんだなぁ。自分を理解してくれるヤツがいるってのはぁよ。」
「……貴方にはわたくし以外にも少なくない数の仲間が……部下たちがいるのでは?」
「あぁ……だかボスと部下の関係ではどうしても越えられない理解の一線ってのがあるだろ?
そこにはどうしても憧れ、畏敬、利害関係なんてのが入り込んできやがる。」
「まぁ……貴方の部下のジョンウを見てると、彼が貴方を本当に心酔していることは分かりますね。」
「……あぁそして時に行き過ぎた尊敬ってのは、視界を歪めちまう。尊敬してる奴のいい面ばっかを見て悪い所に目を瞑ったりな。だから、本当の意味で相互理解するのはなかなか難しい。」
「例えば、貴女が間違った選択をしたときにも、それを諌めずに盲目的についてきてしまう可能性がある……?」
「あぁ……あの“林間学校襲撃事件”がまさにそれだ。俺は新生ロイヤル帝国のアガ・ハナシュから話を持ちかけられた時、格好の好機だと思った。もう二度と訪れない好機だと。理由は……聡明なお前なら分かるだろう?」
哀しいが、分かってしまう。
「正規の軍を保持する政府にそれも武官ばかりのミルヒシュトラーセ辺境伯派を打ち倒すには、それを上回る軍隊がいる。」
「あぁ……だけど反政府組織は言っちまえば俺が育った人間体収容所の奴らと、スラムのゴロツキ達がメインの構成員だ。仲間を増やそうにも、勧誘した奴が公王や辺境伯にチクるリスクもある。
そもそもこの体制を良しとしている奴も多いし……人は“変化”を何より恐れる。たといより良いものになるとしても、そこに“変化に伴う痛み”が少しでもともなうなら人は現状維持を望む。」
「今いる環境を変化させることができても、そこに煩雑な手続きが必要となれば、いつまでも泥濘の中にいたい、というようなものでしょうか?」
「あぁ……世俗的な例だが、今の職場に不満はあるが、転職活動をするのは億劫だから文句を言いながらそこに留まるみてぇなもんだ。」
「……わたくしも、そうかもしれません。」
「あぁ……?お前の何処がそうなんだよ?
お前には一本信念が通ってるのを感じたぜ。友を守るために、凶悪犯罪者に立ち向かった姿を見たときにな。」
「……わたくしは、自分の家族をどうすればいいのか分からないのです。今のままでいればまだエレクトラ……“おかあさま”はわたくしを見捨てないでいてくれるし、あの人の役に立ってさえいれば、いつか愛してさえくれるかもしれない……。そんな馬鹿で滑稽で愚かな夢物語をまだ何処かで信じている。
それに現状維持をしていれば、少なくともゲアーターとシュベスターからの愛は亡うことはない。
だけど、だけどもしわたくしが、エゴおねえさまと手を組んで、この地球の悪意に満ちた国を変革しようとしたら……世界でいちばん愛している彼らと敵対することになる……。何故なら彼らはわたくしより、おかあさまの事をより愛しているからです。
それが胎内にいる時の心による愛情のせいか、本当の母の愛情によるものかは分かりかねますが……。
だから、わたくしはこの頃ずっと考えてしまうのです……もしこのまま見て見ぬふりさえしていれば……少なくとも見せかけの“家族関係”は亡わずに済むのではないかと。
わたくしは恐ろしいのです……きょうだい関係だけは……おにいさまとおねえさまと……敵対する……?こわい、こわい……世界でいちばん大事なものを自分から壊そうとすることが。
……わたくしは幼少期からずっと死のうと思ってきました。誰も悲しまないだろうから、その方がみんな幸せだから、わたくしなんて生まれてこなきゃよかった。生まれてきて、ごめんなさいって。だけどそんなわたくしをこの世界に繋ぎ止めたのは……おねえさまの愛でした。」
おかあさまの憎悪の黒い太陽を灼かれた夜を思い出す――
◆◆◆
そうか、アイはアイのことが嫌いだったんだ。憎かったんだ。殺してやりたいんだ。なんだかしっくりきてしまった。こんな塵屑好きになるやつはいない。アイだってこんなやつは嫌いだ。
じゃあ、殺してしまおう、こんな自分は。だってそうしたらみんな幸せなのだから。おかあさまのもおとうさまも、お兄さまもエゴペーお姉さまも、アイ自身も……みんなみんなみんな……。
……なんで、やさしくしてくれるお兄さまやエゴペーお姉さまを信じられない?やさしい人たちを疑うということが、この世でもっとも嫌悪すべき悪徳であるということを知っているのに?
……たぶんきっと、お兄さまはお母さまに、エゴペーお姉さまはお父さまに愛されているからだ。ありありとそれを見せつけられるからだ。あいがどれだけ渇望しても手に入らない愛を、なみなみと有り余るほど注がれているのを目の当たりにするからだ。
余ってるならくれたっていいじゃないか。少しくらいくれたって。一滴だっていいのに……。それで幸せなのに。だから信じられない?どうして?お二人は何も悪くないのに。それが自分を惨めにするというだけで、二人を信じきれない。そんな自分がいちばん嫌いだ。いちばん醜い。
ならはやくしんでしまおう。これ以上1秒でも永く大好きな人たちを傷つけ続ける前に。愛する人をアイが生きてるせいで不幸にする前に。
……でも。でもシュベスターは?おねえさまは……もしアイが死んだら。もし完璧な家族から唯一の汚点が消え去ったら。それでもかなしんで下さるたろうか……?もしアイがしんだら。お姉さまは……。かなしんで下さる?人を悲しませて喜ぶなんてとことんゴミクズだな……アイは。
でも……もしかなしんで下さるなら。いや、おねえさまはきっとかなしんで下さる。おねえさまだけはきっと。ならしねない……ゆいいつ信じられる人をかなしませるなんて。いくらアイでもそんなことはできない。そして、おねえさまがかなしんで下さるなら、もしかしたら、万が一にも、お兄さまとエゴペーおねえさまも……?もしかしたら。
ならば生きていよう。きはすすまないけど、できるだけしずかに、あいするひとたちの視界にはいらぬように。ただおねえさまの……家族の幸せを願っていよう。そして願わくば……これ以上誰も。きずすけなくない。なんだかなみだがでてきた。なきたくなんかないのに。
死にたいわけじゃない。そんなわけない。死ぬのはこわい。ほんとにこわい。こわくてしかたがない。しにたくない。しにたいわけじゃないんだ。ただ……生きていたくないんだ。
でもたったひとり、ひとりだけでも、アイがしんだなら、かなしんでくれる、かなしんでくれるひとがいると、そう、こころでかんじられるうちは、そのうちだけは、いきていよう、とおもった。
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