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第二章 藍と学校

62. ご冗談でしょう、アイちゃん様ぁ!? "Surely You're Joking, Dear Ai chang !? "

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 「気持ちいいねー!自然サイコー!」

 両手を広げてアルタークが叫ぶ。

 「ふふっ……アルちゃんったら。
 『山と川だけって……』
 みたいなこと言ってましたよね?」

「いや~来てみたらいいもんだよ!住めば都てきな!?……ちょっと違うか。……そ・れ・に……山と川と“アイちゃん様”!これは無敵ですわ!」

「もうっ……調子がいいんですから~。」

 2人でキャッキャと笑い合う。そこに1つ声がした。
 
 ◇◆◇

「アイ……自然の美のなかにいても……いや調さらに磨かれた貴女の美しさに……私は今、感動しているわ!」



 何やら心動かされた様子の王女だった。

「ゲッ……ファンタジア王女殿下……。」

「ふふっ……ラアルさまのほうが、何倍もような美で……お美しいですよ?」



 その言葉に胸を押さえたあと、アイのたおやかなちいさい手をとり、熱のこもった目で告げる。



「“……あぁ!アイ……!貴女はどうしてアイなの……?”
 こんなに愛し合う私たちが生まれたのが、敵対する陣営だなんて……!”、私と結婚――」

「あ!の!私もいるですけど!!無視しないでくれますぅ!?」



「あら、いたのね、デイリーライフ。」

「最初からいましたけどぉ!?」

「ハァ……林間学校だからってそんなにはしゃぐもんじゃないわよ……声を落としなさいな。」

「いちばんはしゃいでたの王女殿下ですよね!?アイちゃん様を口説こうとして!」

「ハッ……!アイ、貴女は、私はパンドラ公国の公王の娘、チグ神はなんと残酷な運命を2人にお与えになったのでしょう……!でも安心してアイ!私がこんな運命――」

「――だからふたりの世界に入んなって!!……でございますわよ。」

「アハハ……ラアルさまわたくしはもうエレクトラ様の子供というわけでは――」

 ◇◆◇

 わちゃわちゃしている3人に近づく影が2つ。

「――アイ様!」

 その声を聞いたアイはうれしくなって、声のした方へ駆け出す。

「――かげろうっ!なんだか、久しぶりな気がするねぇ……?」



「そうですね、アイ様と会えないとなれば一日千秋いちじつせんしゅう……ですが、こうやって会えたことですし、これから行動を共にできるわけですし、林間学校も悪くありませんね。」

 アイの手を取って口づける。

「そうだねっ!なんだか子供のとき遊んだことを思い出すよ!」

「そうですね、アイ様におかれましては、あの頃からおうるわしく、その可愛らしさはかげることをしらず、最近ますます磨きが――」

 するとそこに毒液を浴びせかけるような声がする。

 ◇◆◇

「――ちょっと、アナタ。“私のアイ”のなんなのかしら?」

 ラアルが後ろからアイを抱きすくめて、シャーっと威嚇する。わが子を守る母猫のようだ。その実彼女はアイに母の役割を求めているのだが。だからむしろ、お母さんを取られたくない子供のよう、と形容できるかもしれない。その言葉に、かげろうは笑顔を保ったまま答える。

「おやおや、ファンタジア王女殿下ではありませんか、お会いできて光栄です。しかし、貴女様こそ……“俺のアイ様”に随分とご執心しゅうしんのようですねぇ?」

 “俺のアイ様”という言葉に、青筋をピキピキと立てて返すが、さすが王女殿下、綺麗な笑顔は保ったままだ。 

「アナタ、家名は?どこの貴族?家格は?」

「おや失礼致しました。やつがれの名は陽炎陽炎ようえんかげろう不知火しらぬい陽炎かげろう連合の次期藩主はんしゅ候補にして……陽炎家の次期当主でございます……ファンタジア王女殿下。」

 慇懃いんぎんな態度で返す。

「あら……あらあらあら!なにを自慢気に言うのかと思えば……不知火陽炎連合ってミルヒシュトラーセ家の実質的な下部組織じゃない!

 ……今は、“この国の最高〈権威〉者の娘”と“最高〈権力〉者の娘”が話しているの。邪魔しないでもらえる?

 それに絶対に対等な2人のほうがオ・ニ・ア・イでしょ?」

 フフンっと鼻で嗤って得意になる。

「……ですが、公王派と辺境伯派は激しい対立関係にありますよね?敵対勢力の代表と言ってもいい方とねんごろになるのはアイ様に危険が及びかけないのでは?

 “ミルヒシュトラーセ家の実質的な下部組織”で本質的にアイ様の味方の勢力にいる俺なら、何も問題はありませんがねぇ……。」

「アナタ……!よくも高貴なる私にそんな口を……!」

 ワナワナと金髪を震わせるラアルとあごに手を当ててイヤな笑い方をしているかげろうに、あわあわとしているアイを差し置いて、言葉を吐き捨てる者がいた。

 ◇◆◇

「……ハァ……どっちもバカらしい……。」

 ラアルとり合ってから……随分と大人しくしているはるひだった。

「アナタ……王女である私になんて口を……!それにまだアナタのことを許してはいないわよ……!」

「はるひ……それが上司への口の聞き方か……?」

「ハァ~。うるさいうるさい。オウジョサマ、しつこい女はアイちゃんに嫌われますよ~?それに、かげろう。“未来の”上司ね。まだアンタの部下じゃないから。」

 無礼者に食ってかかろうとした2人だったが、その前に渦中かちゅうのアイが、気遣ったような声を出す。

「はるひくん!……だいじょうぶでしたか?なんだかあれ以来元気がないように思っていて……。」

 アイはあれからはるひに、無意識に媚びた笑みと声を出すようになっていた。……そうすることではるひに壊されそうなこころを守ろうとしていたのだ。そして、もう二度とあんなことをされないように媚びるしかなかったのだ。

 以前とは逆に決してアイを視界に入れないように、明後日の方向を向いて、答える。

「あーあー、だいじょうぶだいじょうぶ。ってかかよわ~い、クソザコのアイちゃんに心配されるほどヤワじゃないから。」

「そうですか……よかったですっ!」

 パァァっと可憐な花のようにわらうアイ。



「ウッ……まぁ、いいから。てかさっさと班行動始めないと、あの常にダルそーな先生にお小言言われちゃうよ?いこ。」

 ラアルが驚愕の声を出す。

 ◇◆◇

「ハァ!?班行動って!残りのメンバーってアナタたちなの!?どういうこと!?アイ!!」

「えーと、せっかくクラスをまたいで班を作ってもいいという事でしたし、それに、ラアルさまとはるひくんは色々あったし……みんなにも、もう少し仲良くなってほしくて……。」

「「コイツと!?ありえない!!」」

「アハハ……。」

「2人ともあまりアイ様の心づかいを無下にするなよ。」

「アイちゃん様アイちゃん様。」

 クイクイっと袖を引かれる。

「はい?どうしたんですか?アルタークちゃん。」

 ◇◆◇

「けっこーヤバくね?このメンツ。そりゃあアイちゃん様の希望だったから賛成はしたけどさぁあ?

 平民の人間体アニマと?両性具有者セラフィタのアニムス・アニムス、不知火陽炎連合の次期藩主、公王の娘……とミルヒシュトラーセ家の娘。」

「だからわたくしはもうエレクトラ様の子では――」

「とにかく!すんげぇ~人集まりすぎでしょ、それになんか仲悪いし!」

「でも……ほらっ!バランスよくないですか?両性具有者セラフィタが2人に、男子が1人、女子が2人ということで……ね?」

「いや気にするの、第一性偏重へんちょう主義者だけだから!

 バランスわりーよ!アニムス・アニムス2人に?獣神体アニムス2人!……そしてあわれな人間体アニマが1人……。

 ……私だけただの一般人パンピーぢゃん!」



「……アルちゃんはわたくしの大切な“いちばんのお友だち”ですよ?」

「はっ!アイたや~!グリグリ~!うんっ!そうだよね!その肩書だけでアイツらボコボコにしてやる!シュッシュッ!」

 シャドーボクシングをするアルターク。

「だから、なんでアルちゃんはすぐに獣神体アニムスにケンカを売ろうとするんですか~!」

 ◇◆◇

「あらら?な~に、私たちが言い争っているうちに、ちゃっかり漁夫の利を得てアイといちゃついてるのかしら……?デイリーライフ……!」

 再び毒液を浴びせかけるような声。
 
「かかってコイヤッ!シュッシュッ!“アイちゃん様のいちばんの親友”が相手になってやらァ!シュッシュッシュッ!!」

「み!みなさ~ん!なかよくしてくださ~い!」

 ちいさい身体をできるだけ大きく見せようと、両手をパタパタとさせているアイの、悲痛な叫びが山に響き渡る。
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