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オーク達の事情とオーガの策謀
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オーガの領内に、オークが退避を始めて数日が経過した。問題が徐々に顕在化していた。それは、食料問題だ。
オークたちが住んでいた地域は、魔物の大森林の中でも最も肥沃で、豊かな森に囲まれていた。
この環境とオークたちの繁殖力、さらには絶対王政のもとで、彼らは争うことなく、数年間で爆発的に増えていた。
しかし、彼らの多くが今、オーガ領に押し寄せてきた。南の森は腐敗し、平原には十分な食料がなく、北に進むしか道がなかったのだ。
オーガ領には森林や草地が広がっているが、岩場や砂漠も多い。
「どうするつもりだ、トルド」オーガの王ゴルドの元には、多くの苦情が寄せられていた。手を打たざるを得ない状況に迫られていた。
「一時的な退避とはいえ、数が多すぎます。それに、これではまるでオークどもの移住のようではありませんか?」古老のソルドは嫌味を含ませながら言った。
「まあ、トルドの話を聞こうではないか、ソルド爺よ」ゴルドは彼を一蹴した。
「では、述べさせていただきます。いくつか手を考えております」軍師トルドは、オーガには珍しく細身で、知的な顔つきをしていた。その鋭い目が光った。
「続けろ!」
「犬人族や鉱山族は、棲家を破壊されて逃げざるを得ませんでした。戻ることはもはや考えていないでしょう。せっかく手に入れた土地です。不満を持つ者たちにはその土地を与え、住ませてはどうでしょうか?」
「それは面白い」ゴルドは大笑いした。これなら誰も文句を言えまい。言いたければ、棲家を再建してみせろというわけだ。そんな気概があるなら、任せてやってもいい。
「次に、北にいるエルフどもですが、再び攻め込めば泥沼の戦いになるでしょう。そこで和睦と不戦を申し入れるべきかと」
「奴らから仕掛けてくるとは思えんが?」ゴルドは疑問を口にした。
「その通りでございます。しかし、狼族との戦いでエルフが加勢し、挟み撃ちにされる事態は避けねばなりません。彼らは約定を守る種族であることを利用しましょう」
「簡単に受け入れるだろうか」
「捕虜交換を申し出れば、エルフも拒めません」
オーガたちの間でざわめきが起こった。
「我々の戦士が多く捕えられている。エルフどもは……」帰還した戦士たちから話を聞き出しているのだろう。
「我々も一人捕らえています」
「それでは数が合わぬ。話にならぬのでは?」
「普通のエルフならばそうでしょう。しかし、エルフは戦士を取り戻すためなら和平を受け入れるはずです。もし駄目なら、私が捕虜になります」
その一言で、質問はぴたりと止んだ。
「エルフとの和睦は任せた。本題のオークの件はどうするつもりだ?」ゴルドは核心を急いだ。
「アズーリア村のあたりは、緑が豊かで、オークたちに適しているでしょう!」
「ほう、それも面白い」ゴルドは再び笑い出した。
「しかし、あの地はこれから人間との戦いの最前線となる場所。大事な土地を手放す臆病者たちが行くのか?」ソルドが吐き捨てるように言った。
※
「オークの代表を四匹、呼んでおります。ゴルド王、面会の許可をお願いします」
「よかろう。連れて来い」
四匹のオークがオーガ王の前に連れてこられた。彼らはオークの次期王候補である。オークは王が亡くなると、その後に力をつける者が現れる。それが誰かはわからないが、戦いを経て覚醒するのだ。
三匹は片膝をつき、頭を垂れているが、一匹は直立不動で立ち続けていた。
「頭が高いぞ!」直立不動の小柄なオークに、オーガたちは怒声を浴びせた。
「オークとオーガの同盟は、世界解放以来のことだ」そのオークは怯むことなく、啖呵を切った。
「お前は王ではないだろう?」
「ここには、一族の代表として来ている」
「ふざけるな! 力を示してから言え!」怒声はさらに激しくなり、場は混乱しかけた。
「皆の者、もうよい! で、代表とやらが何しに来た?自分の寝床に帰る挨拶か? こっちは領土拡大で忙しいのだが」
「お前一人で代表を気取るな! ガルム。失礼致しました、ゴルド王。私はドルム。そして、バルム、ザルム、ガルムでございます」頭を上げ、ドルムが正式な挨拶をした。
「用件を早く言え!」
「ゴルド王の領土に正式に居住する許可を頂きたく、参りました。最近ではオーガ族とのいさかいも増えております」
再び周囲から怒声が飛んだ。
「さっきも言ったが、我々は新領土の開拓で忙しい。アズーリア村周辺は緑豊かだ。お前たちに任せたいのだが?」
「そ、それは……」
「嫌なら帰れ。話は終わりだ。下がれ」
王の間から追い出されたドルムたちに、トルドが声をかけた。
「話が違います、トルド様」
「いや、アズーリア村の周辺も我々の領土だ。良い森だぞ」トルドは笑みを浮かべながら、わざとらしく答えた。
「分かりました。私が向かいましょう。よろしいですか、兄者」次男のバルムが決意を示した。
「確かに、ここで無駄に反抗しても何の得にもならん。アズーリア村の周囲を守りきれば……」ドルムは冷静に言った。
「ああ、お前たちの土地だ」
「ザルム、ガルム。お前たちは残れ。連絡が届いたら、アズーリア村に移れ」ドルムは弟たちに目を向けた。
ガルムは驚き、不満げに言った。「オーガに従ってばかりでは誇りを失う! 俺は狼と戦う! そして、故郷を取り戻す!」
「オーク王や兄者を倒した奴らだぞ。無理はするなよ」ドルムは弟の決意を理解しながらも、忠告した。
「必ず戻る。俺たちの故郷のために戦ってくる」ガルムは別れを告げ、去っていった。
トルドはそのやり取りを聞き、密かにほくそ笑んだ。
※
結局、昼寝からノワールは目覚めなかった。熟睡しているのを起こすのは可哀想だと思い、ルナに乗せて帰ろうとした矢先のことだった。
「オークが侵入してきた。かなりの数だ。アキラ、行っていい?」と、セレナが急報を告げた。
「ワオーン」と、ルナも行きたいらしい。
「じゃあ、僕が行くよ」アキラがノワールを担ぎ上げようとした瞬間、「いえ、私が背負いますよ。アキラさんは道案内を」とアリアが先に動き、ルナの背中からノワールを軽々と担ぎ上げた。
その軽やかな動きに、アキラは驚愕した。やはり、只者ではない。
「ノクスも応援に行って! みんな、無理はしないでね」アキラはアリアと共に急いで帰宅し、セレナたちはオーク迎撃に向かった。
オークたちが住んでいた地域は、魔物の大森林の中でも最も肥沃で、豊かな森に囲まれていた。
この環境とオークたちの繁殖力、さらには絶対王政のもとで、彼らは争うことなく、数年間で爆発的に増えていた。
しかし、彼らの多くが今、オーガ領に押し寄せてきた。南の森は腐敗し、平原には十分な食料がなく、北に進むしか道がなかったのだ。
オーガ領には森林や草地が広がっているが、岩場や砂漠も多い。
「どうするつもりだ、トルド」オーガの王ゴルドの元には、多くの苦情が寄せられていた。手を打たざるを得ない状況に迫られていた。
「一時的な退避とはいえ、数が多すぎます。それに、これではまるでオークどもの移住のようではありませんか?」古老のソルドは嫌味を含ませながら言った。
「まあ、トルドの話を聞こうではないか、ソルド爺よ」ゴルドは彼を一蹴した。
「では、述べさせていただきます。いくつか手を考えております」軍師トルドは、オーガには珍しく細身で、知的な顔つきをしていた。その鋭い目が光った。
「続けろ!」
「犬人族や鉱山族は、棲家を破壊されて逃げざるを得ませんでした。戻ることはもはや考えていないでしょう。せっかく手に入れた土地です。不満を持つ者たちにはその土地を与え、住ませてはどうでしょうか?」
「それは面白い」ゴルドは大笑いした。これなら誰も文句を言えまい。言いたければ、棲家を再建してみせろというわけだ。そんな気概があるなら、任せてやってもいい。
「次に、北にいるエルフどもですが、再び攻め込めば泥沼の戦いになるでしょう。そこで和睦と不戦を申し入れるべきかと」
「奴らから仕掛けてくるとは思えんが?」ゴルドは疑問を口にした。
「その通りでございます。しかし、狼族との戦いでエルフが加勢し、挟み撃ちにされる事態は避けねばなりません。彼らは約定を守る種族であることを利用しましょう」
「簡単に受け入れるだろうか」
「捕虜交換を申し出れば、エルフも拒めません」
オーガたちの間でざわめきが起こった。
「我々の戦士が多く捕えられている。エルフどもは……」帰還した戦士たちから話を聞き出しているのだろう。
「我々も一人捕らえています」
「それでは数が合わぬ。話にならぬのでは?」
「普通のエルフならばそうでしょう。しかし、エルフは戦士を取り戻すためなら和平を受け入れるはずです。もし駄目なら、私が捕虜になります」
その一言で、質問はぴたりと止んだ。
「エルフとの和睦は任せた。本題のオークの件はどうするつもりだ?」ゴルドは核心を急いだ。
「アズーリア村のあたりは、緑が豊かで、オークたちに適しているでしょう!」
「ほう、それも面白い」ゴルドは再び笑い出した。
「しかし、あの地はこれから人間との戦いの最前線となる場所。大事な土地を手放す臆病者たちが行くのか?」ソルドが吐き捨てるように言った。
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三匹は片膝をつき、頭を垂れているが、一匹は直立不動で立ち続けていた。
「頭が高いぞ!」直立不動の小柄なオークに、オーガたちは怒声を浴びせた。
「オークとオーガの同盟は、世界解放以来のことだ」そのオークは怯むことなく、啖呵を切った。
「お前は王ではないだろう?」
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「皆の者、もうよい! で、代表とやらが何しに来た?自分の寝床に帰る挨拶か? こっちは領土拡大で忙しいのだが」
「お前一人で代表を気取るな! ガルム。失礼致しました、ゴルド王。私はドルム。そして、バルム、ザルム、ガルムでございます」頭を上げ、ドルムが正式な挨拶をした。
「用件を早く言え!」
「ゴルド王の領土に正式に居住する許可を頂きたく、参りました。最近ではオーガ族とのいさかいも増えております」
再び周囲から怒声が飛んだ。
「さっきも言ったが、我々は新領土の開拓で忙しい。アズーリア村周辺は緑豊かだ。お前たちに任せたいのだが?」
「そ、それは……」
「嫌なら帰れ。話は終わりだ。下がれ」
王の間から追い出されたドルムたちに、トルドが声をかけた。
「話が違います、トルド様」
「いや、アズーリア村の周辺も我々の領土だ。良い森だぞ」トルドは笑みを浮かべながら、わざとらしく答えた。
「分かりました。私が向かいましょう。よろしいですか、兄者」次男のバルムが決意を示した。
「確かに、ここで無駄に反抗しても何の得にもならん。アズーリア村の周囲を守りきれば……」ドルムは冷静に言った。
「ああ、お前たちの土地だ」
「ザルム、ガルム。お前たちは残れ。連絡が届いたら、アズーリア村に移れ」ドルムは弟たちに目を向けた。
ガルムは驚き、不満げに言った。「オーガに従ってばかりでは誇りを失う! 俺は狼と戦う! そして、故郷を取り戻す!」
「オーク王や兄者を倒した奴らだぞ。無理はするなよ」ドルムは弟の決意を理解しながらも、忠告した。
「必ず戻る。俺たちの故郷のために戦ってくる」ガルムは別れを告げ、去っていった。
トルドはそのやり取りを聞き、密かにほくそ笑んだ。
※
結局、昼寝からノワールは目覚めなかった。熟睡しているのを起こすのは可哀想だと思い、ルナに乗せて帰ろうとした矢先のことだった。
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