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人の街まで
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•ガチャチケット:10連チケット •緊急食料:10人分
この世界に来てから、二週間が経った。アキラはようやく落ち着いて物事を考えられるようになったが、それでも自分が何者なのかは依然としてわからない。記憶はまったくないままだ。
あらゆる出来事や感覚は、本来なら記憶と結びついているはずなのに、その大事な部分がぽっかりと抜け落ちている。その喪失感が、焦燥となって胸の奥で燻っていた。
「アキラさん、朝食の準備ができましたよ」
ステラの声が、彼が目を覚ました瞬間を捉えたかのように、タイミングよく聞こえてきた。
ふと寝台に目をやると、そこには二人分の寝た跡が残っている。
「うん、すぐ降りるよ」
「それと、シーツをもらってもいいですか? まだ洗濯できてなくて……」
扉の向こうから、少し遠慮がちな声が続く。
「あ、悪いね。すぐ開けるよ。寝衣のままで失礼だけど」アキラは部屋の扉を解錠した。
この「アキラハウス」の部屋は、彼の意思でしか開かず、誰も勝手に入ることができない。
「どうぞ。」扉を開くと、冷たい空気がさっと流れ込んできた。
「ありがとうございます。わぁ、ここがアキラさんの部屋なんですね。」
ステラは好奇心を抑えきれない様子で部屋を見回す。
「素敵な絵がたくさん飾ってありますね。」
「すごい、水場まであるんですね。それに、あっ、あそこに階段が……」
彼女が屋根裏へ続く階段を見つけ、軽い足取りで登ろうとした——その瞬間、何かに弾かれたように吹き飛ばされた。
「大丈夫?」
アキラは驚きながら手を差し伸べた。ほんの一瞬、戸惑ったが、ステラがしがみつくように抱きついてきたので、そっと支えた。
「職業持ちなのに、甘えん坊なんだな」彼は彼女の頭を軽く撫で、体を離した。
「うん。外出中にベッドメイクもしておきますね」
ステラはシーツを大籠に入れ、よろよろと部屋を出ていった。
アキラはその小さな背中を見送ったが——彼女の唇の端は、わずかに持ち上がっていた。
出かける準備を整え、ダイニングに向かうと、いつものメンバーの中にアリアの姿があった。
「おはよう、アリアさん。早いですね」
「おはようございます、アキラさん。ちょっとお願いがあってね。ネグラロサ商会に買い出しを頼んでいるの。薬師のアリアの依頼だと言えば大丈夫だから」
「はーい!」 セレナとノクスが元気よく返事をする。
「それから、依頼書とポーションを持って行ってね。きっと高く買ってくれるわ。お釣りはお小遣いにしていいから」
「やったー!」セレナとノクスがハイタッチする。
「そんなこと言って、高く売れなかったらどうするんですか?」 ステラは少し不満そうだ。
「大丈夫よ、心配しないで。もしもの時は掛け売りもできるから。それに、ステラにはお土産を買ってきてもらうわ。甘いお菓子でいいかしら」
「ふん、別に子供じゃないので要りません。それに、アキラさんから頂きますから。皆さん、早く食べてください。片付けができません」 ステラはむっとして、さっさとダイニングに戻った。
「アリアさんが直接行った方が早くない? お小遣いも渡すし」
アキラが軽く質問する。
「実は今、魔物の森の西南にある植物分布を調査してるの。それに、ポーションの精製過程も見直さなきゃいけなくて……ほら、試作品を作るにはデータが必要で……」
アリアの職業モードが全開になり、アキラは少し後悔した。
「やった! お小遣い!」
「これで高級な干し肉が買えるよ、ルナ!」
「ワオーン!」 ルナも嬉しそうに、尻尾を振りながら元気よく吠えた。
みんなで稼いだお金だし、自由に使ってもらって構わないけど——彼女たちに渡したら、全部使い切る未来が見える。
※
ラピスに勧められ、新しいスキル「職業鑑定」を習得した。町に行くなら、持っていて損はないスキルだ。レベルが上がれば、より深い情報まで鑑定できるらしいが、今の段階ではサブ職業やレベルまでは見えない。
パーティメンバーの職業は、鑑定しなくても把握しているが、スキルレベル上げのために試しに鑑定してみた。
アリア 上級薬師/ ノクス 狩人/ セレナ 料理人/ ステラ メイド/
「鑑定にはブラインドやフェイクといったスキルも存在しますから、本質を見間違わないようにしましょう。それと、スキルはMPを消費しますよ」 ラピスが警告する。
アキラは出発前にギルドホールでダリオスを訪ねた。既に村人やドワーフたちは食事を終え、仕事の準備を始めている。
「アキラさん、お待ちしていました。こちらが購入してほしいもののリストですが、必要なものが想定より多くなってしまって……頂く賃金で相殺しても、かなりの持ち出しになります。欲しい順番はつけてあります」
「構いませんよ。どのくらいかかりそうですか?」
アキラはリストを眺める。金銭感覚がまだ掴めないので、率直に尋ねた。
「必要最低限で30ゴールド、全品で100ゴールドくらいですね」
「わかりました。僕が全部出します」
「いけません」
ダリオスは即座に否定した。
「試算しますので、金額に応じて少しでも徴収しましょう。それがお互いのためです。」
アキラは少し考えた後、素直に頷いた。
「ところで、どこに頼むのですか?」
「ハートフェルトさんという方と、ネグラなんたら……」
「ネグラロサ商会ですね。どちらも信頼できますよ。ただ、私の名前は、事情があるので伏せておいてください」 ダリオスはわずかに笑みを浮かべながら言った。
「わかりました。この地の留守を任せます。問題が起きたら、アリアさんやヴァイオレット様と話し合ってください。では、行ってきますね」
ギルドホールを出て、広場になりつつある場所に向かうと、ドワーフたちやアズーリア村の村人、ヴァイオレットたちが見送りに出ていた。
ヴァイオレット 王女/ フェニックス 執事長/ アゼリア 教育者/ リリィ メイド/ アダム 御者/
すでにノワールがルナに乗り、準備を終えていた。昨日のレベルアップで、体は少女レベルまで戻っている。いつも着ている黒い服も、体に合わせてリサイズされていた。
「また見送られるなんて……ちょっと気まずいな」
アキラは気恥ずかしそうにぽつりと漏らす。
「領主様のお出かけなのですから、当然です」ラピスは当然のように答えた。それと同時に、考えを巡らせる。
「そろそろ、アキラさんの国の国旗を作らないといけないな……」
彼女はグラフィックデザインのソフトを立ち上げる。
島と魔物の森を繋ぐ橋前まで見送られ、アキラは馬を進めた。
人の街へと。
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