アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

文字の大きさ
99 / 138

西の都

しおりを挟む
 アキラは、コボルトたちと島を説明しながら歩いた。
 子供のコボルトたちは疲れていたが、川遊びをして元気になり、大人のコボルトは、必死に食料の魚を漁っていた。

 一周して、最後に小屋の前についた。
「じゃあ、この小屋と塔の管理もよろしく! 後で、ダリオスから食料を渡すから」
「ありがとうございます。我々にも仕事を手伝わせてください」

 ドワーフから話を聞いたのだろう。カリムは、礼を言った。
「そうだね、お願いしたいことを連絡するね。もちろん、聞いたと思うけど、賃金を支払うからね」

 ダリオスが、アキラの元にやってきた。
「アキラさん、あちらの案内も終わりました」
 トト親子は、ギルドホールの食堂『ホワイティ・ハウル』をやりたいと、リアナは、冒険者ギルドのギルド長をやると言い出したそうだ。
「そんな簡単に冒険者ギルドなんて作れるのか?」

「本当は、冒険者ギルドは国家や権力者たちからの権力組織からは独立しています。ですから、出来ないことはありません。ウエストグレンの出張所としてしまえば……ただ、リアナがギルド長というのは……」

「ははは、確かに無理がありますね。じゃあとりあえず、副ギルド長ということにしましょう」

「それと、アルストン夫婦ですが、ホテルに連れて行きましたが……アキラさん見に行きましょう」

 木造の2階建てのクリーム色リゾートホテルだが、ホテル・ディ・エリシオンと書かれた案内看板には、月桂樹にラピスカラーの宝石が記されていた。

「あら、村のホテルに、名前がついてる」

 アキラは気づいたが、とりたてて気にした様子もなく、ラピスの必死の努力は、報われなかった。

 ホテルに入ると、少し立派になったフロントには、ミラ・アルストンが立っていた。
「アキラさん、このホテルで働かせてもらいたいのですが?」

 既に、その気十分な彼女が尋ねてくる。断れるはずもない。

「もちろんです。ところであの方にはお会いしましたか?」

「はい。お母様に似ていますね。お客様として、迎え入れできて嬉しく思います。ですが、配下の方には、色々とお手伝いをしてもらうしかなくて……」

 ミラは、嬉しそうに、でも少し悔しそうに言った。
「そうですね、この村にも移住する人が増えれば、適正のある人も来るでしょう」

 そんなことを話していたら、ヴァイオレット王女が部屋から降りて来た。

「アキラさん。聞きましたよ。又、移住者が増えたようですね?」
「移住というよりも、保護ですかね」
「ホテルも、お母様をよく知る方に運営を任せてもらえるのですね?」

 まるで、そうなることを知っていたように彼女が言った。

※※※

 西部公爵家の侯都、セーヴァス。
 その侯爵の邸宅に、悲報が届いた。
「オタル・ギルド長、重症」
「アリーシア村への討伐冒険者と連絡がつかず」

 連絡を寄せたのは、峠の休憩所に防衛拠点を置く、第二王国騎士団ヤハタ分隊だった。

「峠の休憩所は、防御陣地としては適さず。負傷しているオタル・ギルド長や冒険者、峠の住民を保護して、こちらに向かうとの報告が来ています」

「何を勝手なことを……」副団長は怒りを滲ませた。
「お言葉ですが、彼は歴戦の男です。判断は間違っていないでしょう」

 報告した騎士団員から、援護の声があがる。
 副団長は忌々しげな顔をしながらも、頭を働かせていた。

 ――ヤハタが勝手に動いた。それでいい。責任はあいつにある。俺のせいにならなければそれでいいのだ。

「それよりも、防衛だ。大丈夫なんだろうな、マリスフィア侯爵」

 エドガー王子は、魔物との戦闘を恐れていた。
「はあ……まずは防衛用の関所を作ります。王国騎士団の方にも、ご協力をお願いしたいのですが。父の手の者たちは、まず協力してくれませんので……」

 マリスフィア侯爵は、苦悩の表情を浮かべた。
「……そうしたいのですが、我々はエドガー王子の盾」

 副団長は、損害を最低限に抑えたいと考えていた。

「だが、協力も必要だろう。そうだ、敵前逃亡した奴らを――」

 エドガーは、何かを思いついたように話した。
「ヤハタですか?」
「ああ、そいつらに敵前逃亡の汚名を晴らさせろ、最前線で戦わせろ!」
「それは良い考えです」

 マリスフィア侯爵領の領都へと通じる街道に、魔物避けの大きな関門を作ることが決まった。当然、領民も多く駆り出されることになる。

 最上級の緊急体制の中、その関門を通り抜けて、ウエストグレンへ向かうキャラバンがあった。

「どこへ行く? 止まれ!」
 関門から慌てて飛び降りて声をかけたのは、ヤハタだった。

「ウエストグレン、そして王都だ」
「知っているだろう。この先には、魔物がいる」
「それがどうかしたか? 魔物なんて、どこにでもいるだろう」
 柄の悪そうな商人たちは、笑った。
「死ぬかもしれんぞ!」

「ああ、死ぬかもしれん。だが、荷を届けないと、俺たちは必ず死ぬ」
「そこまで厳しい契約と客なのか?」

 商人たちはさらに大声をあげて笑った。
「そうか。お前、王都の者だな。俺たちは商人に見えるが……ネグラロサだ。そして、届け先は――アルマダさんだ」

「魔物なら、生き延びれるが、彼を怒らせたら、必ず死ぬ」
「違いねぇ。だから、俺たちは行くんだ!」

 そう言って、ヤハタに大金の入った袋を放り投げて、進み始めた。
「悪いが、受け取らん。……無事を祈ってるよ」
 ヤハタは即座に、その袋を投げ返していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部
ファンタジー
 ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。  背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。  母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。  セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。  彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。  セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。 「セラ、ウミ」 「ええ、そうよ。海」 ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します! カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

処理中です...