ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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奇跡の後で

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男が言葉を言い切るかどうかのタイミングで照明がついた。
 俺は部屋中を見まわしたが、やはり部屋には誰もいない。
 照明と同時に、テレビの画面も映し出された。



 「あっ!」

もう終わっているはずなのに、主人公が指差すシーンから始まった。
 停電から、全く時間が過ぎていなかったのだ。



 (どういうことだ?
さっきの声は何だったんだ?)



まるで、キツネにでもつままれたような気分だ。
 今見たはずなのに、犯人も頭に入らなかった。
 俺がぼーっとしているその時、不意にスマホの着信音が鳴った。



 「は、はい!」

 「海斗…どうかしたの?」

 「いや、急に鳴ったからちょっとびっくりしただけだ。
 夏美こそどうかしたのか?」

 「あぁ…実は、さっきのことなんだけど…
さっきはあんなこと言っちゃったけど、なんだか急に海斗と結婚したくなったの。
だから、やっぱりさっきのプロポーズ、お受けします!」

 「マ、マジか?」

 「うん!勝手なことばかり言ってごめんね!」



 嘘みたいな話だった。
さっきは、あんなにはっきり断られたのに…
でも、嬉しいことに変わりはない。



 「あ、ありがとう!夏美!」



その晩は、あまりに嬉しくてなかなか寝付くことが出来なかった。
それに、気になることもあった。
 停電の時に聞こえたあの声だ。



 (まさか、な……)



 俺は、誰ともわからない声の主に、夏美と結婚させてくれるように頼んだ。
その次の瞬間に、夏美から電話があり、結婚したいと言われた。



だが、人の気持ちを急に変えることなんて誰にも出来ない。



 (疲れていたのかもしれない。
 夏美に断られて、そのショックもあっただろうから、それでおかしな幻聴を聞いたんだ、きっと…)
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