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10.王家の違い
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ミシェルは温かさに身を預けていた。
「ん・・・っ」
けれど、あまり馴染みのない甘い香りに気づき目を覚ます。すると、シルクでできた高級な布団に寝ており、香りの元はベッドの横にある机の上の御香からだった。
「よく、眠れましたか?」
「あっ、えっと、あれ・・・」
部屋にはマハラジャと先ほどの侍女がいた。マハラジャの問いにミシェルはどうして今自分はここに寝ているのか頭を働かせる。すると、王であるマハラジャに失礼を働いてしまったことに気づき、青ざめていく。
「すっ、すいませんでしたっ」
「ミシェル様。どうか落ち着いてください」
何度も何度も頭を下げるミシェルはマハラジャの言葉で頭を下げるのを止めるが、とても申し訳なさそうな顔をしてマハラジャの顔を覗き込む。けれど、マハラジャは少しも怒る様な顔をせず少し困ったような顔で笑っていた。
「すまない、チャイを入れてくれないか?」
「かしこまりました」
マハラジャは侍女に飲み物を頼み、侍女がその部屋から退出する。ミシェルは男の人と二人だけになるのが初めてだったので、
「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」
とても緊張して過呼吸になってしまった。
「大丈夫かい?」
そう言って、ミシェルの背中をマハラジャは擦り、息をゆっくりするように言うと次第にミシェルが落ち着いていく。
「ほんとに・・・私ったら・・・」
「いいんです。いいんです。気を遣わせてしまってすいません。でも、僕はあなたらしく居て欲しいなって思います」
そう言って、ニコッとするマハラジャの笑顔を見ると、ミシェルは心が温かい気持ちになるのを感じた。
「でも、もう少し・・・リラックスしていただいたら僕も嬉しいですかね。あはははっ」
「はい・・・っ」
「!!」
マハラジャの誘い笑いでミシェルがはにかみながら笑うと、マハラジャが驚いた顔をした。
「あっ、いえ、その・・・すいません」
そういって、マハラジャは謝って少し照れ臭いのか、ミシェルから目線を逸らした。王家といえば、ジェイドというイメージがあったミシェルにとって、傲慢ではなく、そういった気さくなところがある王というのが新鮮でマハラジャはどんな王なのだろうと気になり、マハラジャの顔を見ていた。
「なぜ、ミシェル様はあの時―――、いいえ、なんでもありません。今日のところはお疲れでしょうから、おくつろぎください」
「はい」
マハラジャはなぜミシェルがずぶ濡れになって泣いていたのか聞きたかったけれど、ミシェルが悲しいことを思い出させるのは良くないと思って聞くのを止めた。
「あっ、そうだ。よろしければ、ミシェル様の歓迎会を行いたいのですがいかがでしょうか?」
「かっ、かんげいっ!?」
歓迎されるなんてことが無かったミシェルは戸惑って慌てる。
「歓迎会といっても、ここに来る途中をご覧になったかと思いますが、盛大な料理というわけにはいかないのをお許しください」
枯れそうな緑。
露店に並ぶのはエバーガーデニア王国であったら、廃棄するか家畜やペットの餌にしているだろう細かったり不格好な野菜。ミシェルには人々が明るく振る舞おうとしていたけれど、少しカラ元気のように感じた。まるで、「もう少し、もう少しの辛抱だ。王がきっとなんとかしてくれる」という想いにすがってなんとか耐えているように。
「ん・・・っ」
けれど、あまり馴染みのない甘い香りに気づき目を覚ます。すると、シルクでできた高級な布団に寝ており、香りの元はベッドの横にある机の上の御香からだった。
「よく、眠れましたか?」
「あっ、えっと、あれ・・・」
部屋にはマハラジャと先ほどの侍女がいた。マハラジャの問いにミシェルはどうして今自分はここに寝ているのか頭を働かせる。すると、王であるマハラジャに失礼を働いてしまったことに気づき、青ざめていく。
「すっ、すいませんでしたっ」
「ミシェル様。どうか落ち着いてください」
何度も何度も頭を下げるミシェルはマハラジャの言葉で頭を下げるのを止めるが、とても申し訳なさそうな顔をしてマハラジャの顔を覗き込む。けれど、マハラジャは少しも怒る様な顔をせず少し困ったような顔で笑っていた。
「すまない、チャイを入れてくれないか?」
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「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」
とても緊張して過呼吸になってしまった。
「大丈夫かい?」
そう言って、ミシェルの背中をマハラジャは擦り、息をゆっくりするように言うと次第にミシェルが落ち着いていく。
「ほんとに・・・私ったら・・・」
「いいんです。いいんです。気を遣わせてしまってすいません。でも、僕はあなたらしく居て欲しいなって思います」
そう言って、ニコッとするマハラジャの笑顔を見ると、ミシェルは心が温かい気持ちになるのを感じた。
「でも、もう少し・・・リラックスしていただいたら僕も嬉しいですかね。あはははっ」
「はい・・・っ」
「!!」
マハラジャの誘い笑いでミシェルがはにかみながら笑うと、マハラジャが驚いた顔をした。
「あっ、いえ、その・・・すいません」
そういって、マハラジャは謝って少し照れ臭いのか、ミシェルから目線を逸らした。王家といえば、ジェイドというイメージがあったミシェルにとって、傲慢ではなく、そういった気さくなところがある王というのが新鮮でマハラジャはどんな王なのだろうと気になり、マハラジャの顔を見ていた。
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「はい」
マハラジャはなぜミシェルがずぶ濡れになって泣いていたのか聞きたかったけれど、ミシェルが悲しいことを思い出させるのは良くないと思って聞くのを止めた。
「あっ、そうだ。よろしければ、ミシェル様の歓迎会を行いたいのですがいかがでしょうか?」
「かっ、かんげいっ!?」
歓迎されるなんてことが無かったミシェルは戸惑って慌てる。
「歓迎会といっても、ここに来る途中をご覧になったかと思いますが、盛大な料理というわけにはいかないのをお許しください」
枯れそうな緑。
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