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「それで・・・いつからだったんじゃ?」
お父様が大喜びしているわたくしたちに尋ねられました。
「大分前からお互いのことを愛しておりました。ネロと出会う以前から・・・」
「なんとっ」
「でも、誤解なさらずに。わたくしもアルファードも自分の身をわきまえていましたので、お父様がネロとの結婚を決めてから、わたくしたちはその思いを捨てました。アルファードは指一本私には触れておりません」
わたくしが話すと、お父様がアルファードの目を見るけれど、その目は一片も曇っていなかった。
「あと、お父様聞いてください。ねっ、アルファード教えてあげて」
わたくしがアルファードに話すと、アルファードは理解した顔をしたけれど、お父様の目を見る。この中で一番偉いお父様の許可が無ければ、勝手に喋らないのは執事の鏡だと思うし、紳士的でそこが素敵。
そんな風に紳士的だと思っているのに、さっきはそんなのを無視してわたくしを抱きしめてくれたから、イメージとかけ離れ過ぎていて、夢ごこちでとてもドキドキしたというのはわたくしだけの秘密の話。
「・・・申してみよ」
「はっ」
お父様がそうおっしゃると、ピシッとした礼をしてアルファードが話し始める。
「我が国の外、遠い東の国に国王様のご病気を治せる医師と秘薬があるかもしれません。ただいま私兵を派遣し、調査中でございますが、近況を報告する伝書鳩からの情報によりますと、伝説やおとぎ話ではなく、実際に国王様と類似した症状で治ったと言うものを多数発見しております。ですので、国王様のご病気も治るかもしれません」
「・・・それは左様か・・・・・・わしは治るのか・・・・・・」
ぽつりと呟くように、感情などほとんど乗せずにお父様が話されると、優秀な執事であるアルファードは、
「僭越ながら、私は嘘を申し上げることはいたしません。私は医者ではないので、正しいことはわかりませんし、国王様のお身体が健康のうちに届くかもわかりません。しかしながら、同じ症状であり、医師と薬が間に合えば助かると思われます」
と誤解を与えないように答えた。
しかし、そんな不器用な分かりずらい言葉だったからこそお父様の心に響いたのだろう。
お父様は涙を流し、掛け布団で涙を拭いた。
「・・・なぜそれを先に言わん」
少し冷たい言い方をするお父様。
でも、わたくしもアルファードもお母様もお父様の身近な存在だから、それが、照れ隠しであることはバレバレだった。
「はっ。国王様の御命に係わることでしたので、王家に仕えるものとして、速やかな報告をせねばと思いつつも、勝手ながら、それを教えたことをヴィクトリア様との結婚の話に影響が出るのを嫌いました。この愛は駆け引きなどでは無く、私とヴィクトリア様の互いの愛の深さによって認めてほしいという自己都合から後にさせていただきました。罪を問うならいかようにも。」
「ふん、執事はクビじゃ」
「お父様っ!」
泣き笑いしながらお父様がそんなことを言うので、私は怒りながら注意しようとするけれど、お父様もお母さまも笑っていた。
「優秀な執事がいなくなるのは寂しいが、優秀な息子ができることはめでたいわい」
お父様はそんなシャレたことを言って背伸びをした。
「もう少し、頑張ってみるか」
「そうですよ」
お母様がお父様の手を握る。
わたくしも素敵な夫婦であるお二人をマネして愛するアルファードの手を握った。
お父様が大喜びしているわたくしたちに尋ねられました。
「大分前からお互いのことを愛しておりました。ネロと出会う以前から・・・」
「なんとっ」
「でも、誤解なさらずに。わたくしもアルファードも自分の身をわきまえていましたので、お父様がネロとの結婚を決めてから、わたくしたちはその思いを捨てました。アルファードは指一本私には触れておりません」
わたくしが話すと、お父様がアルファードの目を見るけれど、その目は一片も曇っていなかった。
「あと、お父様聞いてください。ねっ、アルファード教えてあげて」
わたくしがアルファードに話すと、アルファードは理解した顔をしたけれど、お父様の目を見る。この中で一番偉いお父様の許可が無ければ、勝手に喋らないのは執事の鏡だと思うし、紳士的でそこが素敵。
そんな風に紳士的だと思っているのに、さっきはそんなのを無視してわたくしを抱きしめてくれたから、イメージとかけ離れ過ぎていて、夢ごこちでとてもドキドキしたというのはわたくしだけの秘密の話。
「・・・申してみよ」
「はっ」
お父様がそうおっしゃると、ピシッとした礼をしてアルファードが話し始める。
「我が国の外、遠い東の国に国王様のご病気を治せる医師と秘薬があるかもしれません。ただいま私兵を派遣し、調査中でございますが、近況を報告する伝書鳩からの情報によりますと、伝説やおとぎ話ではなく、実際に国王様と類似した症状で治ったと言うものを多数発見しております。ですので、国王様のご病気も治るかもしれません」
「・・・それは左様か・・・・・・わしは治るのか・・・・・・」
ぽつりと呟くように、感情などほとんど乗せずにお父様が話されると、優秀な執事であるアルファードは、
「僭越ながら、私は嘘を申し上げることはいたしません。私は医者ではないので、正しいことはわかりませんし、国王様のお身体が健康のうちに届くかもわかりません。しかしながら、同じ症状であり、医師と薬が間に合えば助かると思われます」
と誤解を与えないように答えた。
しかし、そんな不器用な分かりずらい言葉だったからこそお父様の心に響いたのだろう。
お父様は涙を流し、掛け布団で涙を拭いた。
「・・・なぜそれを先に言わん」
少し冷たい言い方をするお父様。
でも、わたくしもアルファードもお母様もお父様の身近な存在だから、それが、照れ隠しであることはバレバレだった。
「はっ。国王様の御命に係わることでしたので、王家に仕えるものとして、速やかな報告をせねばと思いつつも、勝手ながら、それを教えたことをヴィクトリア様との結婚の話に影響が出るのを嫌いました。この愛は駆け引きなどでは無く、私とヴィクトリア様の互いの愛の深さによって認めてほしいという自己都合から後にさせていただきました。罪を問うならいかようにも。」
「ふん、執事はクビじゃ」
「お父様っ!」
泣き笑いしながらお父様がそんなことを言うので、私は怒りながら注意しようとするけれど、お父様もお母さまも笑っていた。
「優秀な執事がいなくなるのは寂しいが、優秀な息子ができることはめでたいわい」
お父様はそんなシャレたことを言って背伸びをした。
「もう少し、頑張ってみるか」
「そうですよ」
お母様がお父様の手を握る。
わたくしも素敵な夫婦であるお二人をマネして愛するアルファードの手を握った。
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