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「これは・・・どういうことだ・・・」
お父様はびっくりされました。
ネロを捕まえて、独房にいれていることもお話したのですが、そんなことは些細な事です。
お父様がびっくりされたのは、わたくしの手とアルファードの手が結ばれていたことです。
「お父様・・・わたくし・・・」
「ヴィクトリア様、ここが私が」
あぁ、ネロと違ってTPOを分かっているアルファード。
久しぶりに聞いた「様」呼びも、よそよそしい感じがまた胸をくすぐる。
「国王様、私はヴィクトリア様と共に歩んでいきたいと考えております」
「おお・・・、アルファード。もちろんじゃ」
わたくしたちは顔を見合わせて喜ぶ。
「ん? そちはヴィクトリアの執事なのだから、当然じゃろう?」
あぁ・・・そういう・・・。
わたくしたちは露骨に残念がる。
(そうよね、そんな二つ返事でOKを貰えるならば、ここまでわたくしたちは緊張する必要もなかったもの)
わたくしはアルファードと結んだ手を恋人つなぎにして、お父様に見せる。
「わたくしたちは、結婚したいと考えてます」
「なんじゃとぉぉぅっ、うっふ、ごっほごっほっ」
お父様が咳込むので、お母様がお父様の背中を撫でる。
アルファードもお父様の身体を支えようとするが、
「さはるなぁ、ぐほっ」
この前まで、アルファードに身を任せていたのに汚らわしい物に触れられたかのように拒絶する。
その光景がわたくしにはショックだった。
お父様はまだお認めになっていなくとも、わたくしにとってアルファードはもうすでに自分の半身だ。
そんな彼をお父様が拒絶したとあれば、わたくし自身が拒絶されたのと同義なのだから。
「うーむ・・・」
席が落ち着いてきたお父様はわたくしをご覧になりました。
わたくしの顔を見ると、かなり気まずそうな顔をされました。
それも、そのはず、自分が婚約者にと用意した男は、強姦未遂をしたのだから。
「・・・あなた。いいじゃない許しても?」
お母様が口を開いた。
わたくしはびっくりした。
お母様は誰よりもお父様の意見を尊重される方で、わたくしのことであっても、お父様の意見を否定したことなんて一度も無かった。ネロとの婚約のこともお母様は私の心を理解しつつも、王女としてお父様の指示に従うようにおっしゃった御方。なので、一番驚いているのはお父様かもしれない。
「あなたの娘は優秀です。あなたが倒れてから、大臣たちに相談して建設や外交をしたり、平民たちと食料や苗の配布や徴収を行ったり、あなたに引けを取らない対応を取っていました」
「・・・っ」
それでも、納得されていないお父様。
けれど、わたくしたち3人の顔を見て、
「・・・わかった」
「「やったっ!!」」
わたくしたちはハイタッチして喜んで、アルファードがわたくしを抱きしめる。
「なっ」
お父様はアゴが外れるんじゃないかってくらい驚いていたけれど、ごめんなさい。嬉しくてわたくしは彼のぬくもりから逃げる気は全くなかった。
お父様はびっくりされました。
ネロを捕まえて、独房にいれていることもお話したのですが、そんなことは些細な事です。
お父様がびっくりされたのは、わたくしの手とアルファードの手が結ばれていたことです。
「お父様・・・わたくし・・・」
「ヴィクトリア様、ここが私が」
あぁ、ネロと違ってTPOを分かっているアルファード。
久しぶりに聞いた「様」呼びも、よそよそしい感じがまた胸をくすぐる。
「国王様、私はヴィクトリア様と共に歩んでいきたいと考えております」
「おお・・・、アルファード。もちろんじゃ」
わたくしたちは顔を見合わせて喜ぶ。
「ん? そちはヴィクトリアの執事なのだから、当然じゃろう?」
あぁ・・・そういう・・・。
わたくしたちは露骨に残念がる。
(そうよね、そんな二つ返事でOKを貰えるならば、ここまでわたくしたちは緊張する必要もなかったもの)
わたくしはアルファードと結んだ手を恋人つなぎにして、お父様に見せる。
「わたくしたちは、結婚したいと考えてます」
「なんじゃとぉぉぅっ、うっふ、ごっほごっほっ」
お父様が咳込むので、お母様がお父様の背中を撫でる。
アルファードもお父様の身体を支えようとするが、
「さはるなぁ、ぐほっ」
この前まで、アルファードに身を任せていたのに汚らわしい物に触れられたかのように拒絶する。
その光景がわたくしにはショックだった。
お父様はまだお認めになっていなくとも、わたくしにとってアルファードはもうすでに自分の半身だ。
そんな彼をお父様が拒絶したとあれば、わたくし自身が拒絶されたのと同義なのだから。
「うーむ・・・」
席が落ち着いてきたお父様はわたくしをご覧になりました。
わたくしの顔を見ると、かなり気まずそうな顔をされました。
それも、そのはず、自分が婚約者にと用意した男は、強姦未遂をしたのだから。
「・・・あなた。いいじゃない許しても?」
お母様が口を開いた。
わたくしはびっくりした。
お母様は誰よりもお父様の意見を尊重される方で、わたくしのことであっても、お父様の意見を否定したことなんて一度も無かった。ネロとの婚約のこともお母様は私の心を理解しつつも、王女としてお父様の指示に従うようにおっしゃった御方。なので、一番驚いているのはお父様かもしれない。
「あなたの娘は優秀です。あなたが倒れてから、大臣たちに相談して建設や外交をしたり、平民たちと食料や苗の配布や徴収を行ったり、あなたに引けを取らない対応を取っていました」
「・・・っ」
それでも、納得されていないお父様。
けれど、わたくしたち3人の顔を見て、
「・・・わかった」
「「やったっ!!」」
わたくしたちはハイタッチして喜んで、アルファードがわたくしを抱きしめる。
「なっ」
お父様はアゴが外れるんじゃないかってくらい驚いていたけれど、ごめんなさい。嬉しくてわたくしは彼のぬくもりから逃げる気は全くなかった。
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