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プロローグ
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二千年のような二十年間。
それぐらい彼と過ごした日々は濃密だった―――
「どうした? ジン」
「あぁ、ごめん、ジェームズ」
ジェームズの心配そうな顔に気づいたジンは我に返って辺りを見渡す。
自分の家よりも広いジェームズに家。自分の目の前にあるテーブルも広くて、豪華な料理とまだ開けてないワインボトルが置いてある。
「なんだい。考えごとかい?」
少し前まではその逞しい肉体で横暴だった彼も、最近では生まれ変わったが如く、髭を剃り、金髪のショートヘアーの爽やかで気配り上手な男になった。
「この二十年・・・・・・人生を振り返っていたんだ」
そう言うと、ジェームズはニコッと笑って、
「そうか。でも、まぁ・・・・・・そうだな。節目には大事なことだね」
そう言いながら、ジェームズがワインのボトルを開けると、ボトルはポンっと音を出し、コルクから解放されたボトルは空気圧の変化から白い気体が出てくる。
「俺とも色々あった。でも、それは昔の話。今までの俺たちは子どもだった。でも、今日からは違う」
ジェームズはジンのグラスからワインを注ぎ、自分のグラスを持って「そうだろ?」という顔をしながら、微笑むとジンもつられて笑いながら自分のグラスを持つ。
「ハッピーバースデー、ジン」
「ありがとう、ジェームズ」
ティンッ
高級なグラスが重なると、二人の耳に澄んだ綺麗な音が届き、二人はワインの香りをそっと鼻で味わい、口へと注いでいく。
「うーん、美味い。いやぁ、過去のことなんて忘れてしまうなぁ。特に嫌な事なんてさっ」
「そんな簡単に忘れられるわけないじゃないでしょ」
「いや、あるさっ」
饒舌に話すジェームズ。先ほどまで、初めて口にするお酒という物が嫌な記憶を消してくれるなんて話を二人は笑い合った。
(そうだよな・・・・・・もう昔の話)
ジンはグラスのワインを一気に飲み込んだ。
「おっ、いい飲みっぷりだね、ジン」
それを見ると、ジェームズもどこかほっとしたような嬉しそうな顔をした。それを見てジンは、これからパートナーとして歩んでいこうとしているジェームズを大切にしようと思った。だから、過去の幼馴染であり友人の彼を忘れるのが正解―――そう思った。
「はははっ」
ジンは頬を赤らめ、楽しそうにワインを飲んで、食事をしていた。食べ終わったジェームズも頬を赤らめ、いつの間にかジンの横で彼の手を握りながら座っていた。
パートナーとの楽しいひと時。
お酒の力もあって、ジェームズはジンのことしか考えられなかった。
それはジンも同じ―――
(くそっ、くそっ、くそっ)
ではなかった。
何度振り払おうとしても、今は疎遠になってしまったフェイロンのことが頭から離れなかった。
それぐらい彼と過ごした日々は濃密だった―――
「どうした? ジン」
「あぁ、ごめん、ジェームズ」
ジェームズの心配そうな顔に気づいたジンは我に返って辺りを見渡す。
自分の家よりも広いジェームズに家。自分の目の前にあるテーブルも広くて、豪華な料理とまだ開けてないワインボトルが置いてある。
「なんだい。考えごとかい?」
少し前まではその逞しい肉体で横暴だった彼も、最近では生まれ変わったが如く、髭を剃り、金髪のショートヘアーの爽やかで気配り上手な男になった。
「この二十年・・・・・・人生を振り返っていたんだ」
そう言うと、ジェームズはニコッと笑って、
「そうか。でも、まぁ・・・・・・そうだな。節目には大事なことだね」
そう言いながら、ジェームズがワインのボトルを開けると、ボトルはポンっと音を出し、コルクから解放されたボトルは空気圧の変化から白い気体が出てくる。
「俺とも色々あった。でも、それは昔の話。今までの俺たちは子どもだった。でも、今日からは違う」
ジェームズはジンのグラスからワインを注ぎ、自分のグラスを持って「そうだろ?」という顔をしながら、微笑むとジンもつられて笑いながら自分のグラスを持つ。
「ハッピーバースデー、ジン」
「ありがとう、ジェームズ」
ティンッ
高級なグラスが重なると、二人の耳に澄んだ綺麗な音が届き、二人はワインの香りをそっと鼻で味わい、口へと注いでいく。
「うーん、美味い。いやぁ、過去のことなんて忘れてしまうなぁ。特に嫌な事なんてさっ」
「そんな簡単に忘れられるわけないじゃないでしょ」
「いや、あるさっ」
饒舌に話すジェームズ。先ほどまで、初めて口にするお酒という物が嫌な記憶を消してくれるなんて話を二人は笑い合った。
(そうだよな・・・・・・もう昔の話)
ジンはグラスのワインを一気に飲み込んだ。
「おっ、いい飲みっぷりだね、ジン」
それを見ると、ジェームズもどこかほっとしたような嬉しそうな顔をした。それを見てジンは、これからパートナーとして歩んでいこうとしているジェームズを大切にしようと思った。だから、過去の幼馴染であり友人の彼を忘れるのが正解―――そう思った。
「はははっ」
ジンは頬を赤らめ、楽しそうにワインを飲んで、食事をしていた。食べ終わったジェームズも頬を赤らめ、いつの間にかジンの横で彼の手を握りながら座っていた。
パートナーとの楽しいひと時。
お酒の力もあって、ジェームズはジンのことしか考えられなかった。
それはジンも同じ―――
(くそっ、くそっ、くそっ)
ではなかった。
何度振り払おうとしても、今は疎遠になってしまったフェイロンのことが頭から離れなかった。
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