ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi

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もう一度蜜月を

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 夕方になって私達がレイナルド邸に帰ると、ヴィクトール様からオスカー様が『花』と出会われてそのまま蜜月に入ったと教えられた。

 お相手は私達がブーケを頼んだ花屋の娘さん。本来来る予定だったお母様が急に抜けられない用事が入り、代わりに来られたらしい。
オスカー様がご両親に事情を話、了承を得てそのままお部屋へ入られたそうだ。



「オスカーは、僕達の結婚式には出られないね」

 少し残念そうに、けれどホッとした顔をしたエスターが話す。

「結婚式、先に延ばす?」

「いや、オスカーがいつ蜜月を終えるか分からないからね。それに……もう僕が待てない」





それからひと月後、やはりオスカー様はまだ部屋から出て来られなかった。

 

 私達は今日、結婚式を挙げる。

雲一つない澄み切った青空の下、たくさんの人々が参列してくれた。

 エスターが私に作ってくれた純白のウエディングドレスは日の光の下で虹色に輝いた。
長いレーンを作るベールには、金で作られた花冠が載せられる。これはレイナルド家に代々伝わる物だと聞いた。

ドレスを纏う私を見たエスターは、青い瞳を輝かせる。

「キレイだ……」
「本当、このドレスすごくキレイ」
「違うよ、シャーロットがだよ……このまま誰にも見せずに連れ去ってしまいたい」

 まだ誓いの言葉も言っていないのに、情欲のある金色の目で私を見つめるエスターは、スルリと開いている背中を撫で上げる。

「だっ、ダメ、ちゃんと式を終えてから」

焦って言った私に、目を見開いた彼はクスッと笑った。

「それって、終わったら好きにしていいって事?」
「好きにしていい? どう言う事?」
「……いい?」
「……はい」
( よくわからないけど……)

「約束したからね」

そう言うと彼はスッと瞳を青く戻す。


晴れた空はエスターの瞳の色。

みんなの前で誓いの言葉を告げた後、誓いのキスをする。

「エスター!長すぎる! 誓いのキスだぞ‼︎ 」

ヴィクトール様に誓いのキスが長すぎると注意されてしまった。
……恥ずかしいです。

 式が終わると、空から光の玉が降ってきた。
ジークさんがかわいい魔獣を使って演出してくれたのだ。

 ところがそれを狙って何処からか、一匹の獰猛な魔獣が現れてしまった。
しかし、参列者は誰一人慌てふためく者はいない。
この場には竜獣人が、三人もいるのだから。

 参列してくださっていたガイア公爵閣下が剣を抜きトン、と軽く飛び上がり一瞬で魔獣を消し去ってくれた。

 閣下の青銀色の髪が煌めいて、昼間なのに流星を見たように美しかった。

わああっと拍手が上がる。

ガイア公爵閣下の華麗な姿に、式場にいた全ての女性が思わず見惚れてしまっていたようだ。


その様子を見て、エスターは笑っていた。

「主役を奪われちゃったな」
「私の主役はいつだってエスター、あなただわ」

そう伝えると、彼は嬉しそうに私を抱きしめ甘く見つめる。

 彼の瞳に私が映り、私の瞳にもエスターしか映らない

どんなに素敵な人が現れようとも
彼以上に愛しいと思える人はいないだろう

いつまでも
あなたに変わらず愛してもらえるように

私はあなたのために咲き続ける『花』でありたい。




**



 新居の主寝室には、今宵も(?)甘く苦しげな声が聞こえていた。

「もう……本当に……ダメなのっ……」
「約束したのに?」
「…………!」
( 約束したのは二日前です……!)

 獣のような金色の瞳がシャーロットを捕らえている。

広すぎるベッドの上で、彼女を組み敷いたまま、片手でサラが結婚祝いにとくれた回復薬をクッと口に含むと若妻に口移す。

「んっ……」

コクリと喉が動くのを確認して、エスターは目を細めた。

「サラも気が効くよね、コレだけあればもう一度蜜月が出来そうだ」

 ツッと指先でシャーロットの唇を撫で、そのまま口の中に指を入れる。

「んっ……」

 そっと歯列をなぞり上げ指を抜くと、彼女の口から甘い吐息とともに声が漏れた。それがさらにエスターの奥底を刺激する。

見下ろす瞳は欲情にまみれ、彼の体力は限界を知らない。

「あ……ああっ……」


新居には止める者は誰もいない。

( 四日後にヴィクトール様が訪ねて来ますが……)


運良く……近頃は魔獣も出ない。

それに新婚の二人のもとに、わざわざやって来る者もいないだろう。


シャーロットはエスターの深い愛に、今日も溺れていくのだった。
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