8 / 19
義兄貴の後悔
しおりを挟む
「何から話そうか……」
そう義兄貴が声をかけてくれたが俺は布団の中に潜ったままだった。雅人さんに言われたのにどうやって出ようか?何から話そうか……そう考えていたら
「海里、そのままでいいから聞いて欲しい。海里の顔見ちゃったら本当のこと話せなくなりそうだから」と……そんなことを言われて余計に出るに出れなくなってしまった。
義兄貴はしばらく黙っていたが口を開いた。そしてあの日、俺を抱いたことを謝られた。でもそれは理由があったらしい。義兄貴は昔からモテていたせいかオメガから言い寄られることがあった。だから念のためヒートトラップに巻き込まれないようにアルファ用の抑制剤を飲むようにとお義父さんから言われ飲んでたからオメガのヒートに遭遇しても逃げることができる。でもあの日、俺がヒートみたいな症状になったときにも逃げようと思えば逃げられた。ベータのお手伝いさんにお願いすることもできた。でも義兄貴はそれをしなかった。それは……俺が好きな気持ちを抑えることができなくなってたから抱いたんだと。俺が起きたらちゃんと俺に好きだと伝えて、これからのことについて話そうと思っていたのに、義兄貴が起きるそれよりも早くに俺は起きてしまってそして……義兄貴が起きたときには俺はもう家を出てったあとだった。
義兄貴は俺をちゃんと好きだから抱いてくれてたんだ。俺のヒートに当てられてたとばかり思っていたけど……俺もあの日、義兄貴に抱かれたことは覚えている。何度も忘れようとしたけど忘れることができなかった。この仕事をしてるから何人もの人に抱かれた。だけどどんなに抱かれてもあの時のような幸福感は得られず、むしろ虚しさだけが毎回残った。俺は愛されてたんだ。少しだけあの時の絡まった糸が解けていくような気持ちになった。
帰ってきた親父と義母さんから怒られたよ。どうして俺が出ていくのも気づかずに熟睡してたんだって。俺はやっと海里と繋がれた幸せな気分だったんだ。俺はね初めて会った日から海里が好きだったよ。海里がアルファで俺の義弟だけど……でも海里が中学3年生になったくらいからかな?海里からは優しい花の匂いがするようになった。もしかしたらこれから先、俺が側にいれば海里はオメガになるんじゃないかって。そんな人、滅多にいないんだけど期待をして思わず親父と義母さんに海里が好きだと言ってしまったんだ。そしたら義母さんからは多分海里はオメガになるって聞いてたんだよ。
小さい頃にバース性の検査しただろ?アルファと診断されたけど要再検査って書いてあったらしい。それで病院に行って色んな検査を受けたらしいんだ。そして検査の結果、先生に言われてたみたいだ。アルファにしては数値が低いってしかもベータとも違う数値が出てるからもしかしたらこの子は将来オメガになる可能性があるって。でもそれはいつになるかはわからないし、もしかしたらオメガにならないかもしれないと……ごめんな。そんな大事なこと内緒にしてて……
義兄貴の話しで俺は溢れそうだった涙も引っ込んだくらいの衝撃を受けた。だから母さんから体調の変化があったら教えてと言われていたのか……どうしてそれを教えてくれなかったんだろう?
それともう1つ黙っていたことがあるんだ。
親父と義母は籍を入れてない。入れてるように偽造してるんだ。海里のお父さんから付けられた刻印が消えるまでは結婚しないでおこうって2人で決めたらしい。親父ももしかしたら海里のお父さんが怒ってるんじゃないかって言ってたよ。病院で検査をしたけど原因不明みたいでさ。あの頃はもしかしたら俺がオメガになった海里と番になってもいいって言われてる気がしたんだ。なのに俺は海里を捕まえることができなくて逃げられてしまったな。情け無いよ。
みんなで海里のことずっと探してたよ。それでも見つからなかった。もしかしたら違う誰かと番になってたらどうしようって……毎日不安になりながらいたときに、遠藤さんって人から電話があった。海里を一時期保護していたって。でも俺たちが探してるって伝えたらいなくなってしまったって何度も何度も謝られたよ。また俺たちは振り出しに戻った。義母さんは毎日泣いてたよ。どんな姿でもいいから生きてて欲しいって。
でも海里を見つけられたのは偶然だったんだ。今、警察官として働いてるんだよ。本当は親父の会社を継ごうとして大学に行ってたんだけど、海里とのことがあったから警察官になったんだ。もしかしたら海里を探せるんじゃないかって。でもそんなに甘くはなかったよ。犯罪や事故が毎日あるなかで海里を探すなんて……それに……この世の中はやっぱりオメガに優しくなくてね。アルファが失踪したらどんな手段でも探すのにオメガは別に……って感じだったよ。でも俺は探してた。仕事の休みの日にはビラ配ったりしてさ。でも自力では見つけられなかった。でもようやく見つけた俺には海里しかいないから。
布団の上から抱きしめてくれる義兄貴の手がなんだか震えてる気がして俺は義兄貴の顔が見たくなって被っていた布団の中から顔を出した。
そう義兄貴が声をかけてくれたが俺は布団の中に潜ったままだった。雅人さんに言われたのにどうやって出ようか?何から話そうか……そう考えていたら
「海里、そのままでいいから聞いて欲しい。海里の顔見ちゃったら本当のこと話せなくなりそうだから」と……そんなことを言われて余計に出るに出れなくなってしまった。
義兄貴はしばらく黙っていたが口を開いた。そしてあの日、俺を抱いたことを謝られた。でもそれは理由があったらしい。義兄貴は昔からモテていたせいかオメガから言い寄られることがあった。だから念のためヒートトラップに巻き込まれないようにアルファ用の抑制剤を飲むようにとお義父さんから言われ飲んでたからオメガのヒートに遭遇しても逃げることができる。でもあの日、俺がヒートみたいな症状になったときにも逃げようと思えば逃げられた。ベータのお手伝いさんにお願いすることもできた。でも義兄貴はそれをしなかった。それは……俺が好きな気持ちを抑えることができなくなってたから抱いたんだと。俺が起きたらちゃんと俺に好きだと伝えて、これからのことについて話そうと思っていたのに、義兄貴が起きるそれよりも早くに俺は起きてしまってそして……義兄貴が起きたときには俺はもう家を出てったあとだった。
義兄貴は俺をちゃんと好きだから抱いてくれてたんだ。俺のヒートに当てられてたとばかり思っていたけど……俺もあの日、義兄貴に抱かれたことは覚えている。何度も忘れようとしたけど忘れることができなかった。この仕事をしてるから何人もの人に抱かれた。だけどどんなに抱かれてもあの時のような幸福感は得られず、むしろ虚しさだけが毎回残った。俺は愛されてたんだ。少しだけあの時の絡まった糸が解けていくような気持ちになった。
帰ってきた親父と義母さんから怒られたよ。どうして俺が出ていくのも気づかずに熟睡してたんだって。俺はやっと海里と繋がれた幸せな気分だったんだ。俺はね初めて会った日から海里が好きだったよ。海里がアルファで俺の義弟だけど……でも海里が中学3年生になったくらいからかな?海里からは優しい花の匂いがするようになった。もしかしたらこれから先、俺が側にいれば海里はオメガになるんじゃないかって。そんな人、滅多にいないんだけど期待をして思わず親父と義母さんに海里が好きだと言ってしまったんだ。そしたら義母さんからは多分海里はオメガになるって聞いてたんだよ。
小さい頃にバース性の検査しただろ?アルファと診断されたけど要再検査って書いてあったらしい。それで病院に行って色んな検査を受けたらしいんだ。そして検査の結果、先生に言われてたみたいだ。アルファにしては数値が低いってしかもベータとも違う数値が出てるからもしかしたらこの子は将来オメガになる可能性があるって。でもそれはいつになるかはわからないし、もしかしたらオメガにならないかもしれないと……ごめんな。そんな大事なこと内緒にしてて……
義兄貴の話しで俺は溢れそうだった涙も引っ込んだくらいの衝撃を受けた。だから母さんから体調の変化があったら教えてと言われていたのか……どうしてそれを教えてくれなかったんだろう?
それともう1つ黙っていたことがあるんだ。
親父と義母は籍を入れてない。入れてるように偽造してるんだ。海里のお父さんから付けられた刻印が消えるまでは結婚しないでおこうって2人で決めたらしい。親父ももしかしたら海里のお父さんが怒ってるんじゃないかって言ってたよ。病院で検査をしたけど原因不明みたいでさ。あの頃はもしかしたら俺がオメガになった海里と番になってもいいって言われてる気がしたんだ。なのに俺は海里を捕まえることができなくて逃げられてしまったな。情け無いよ。
みんなで海里のことずっと探してたよ。それでも見つからなかった。もしかしたら違う誰かと番になってたらどうしようって……毎日不安になりながらいたときに、遠藤さんって人から電話があった。海里を一時期保護していたって。でも俺たちが探してるって伝えたらいなくなってしまったって何度も何度も謝られたよ。また俺たちは振り出しに戻った。義母さんは毎日泣いてたよ。どんな姿でもいいから生きてて欲しいって。
でも海里を見つけられたのは偶然だったんだ。今、警察官として働いてるんだよ。本当は親父の会社を継ごうとして大学に行ってたんだけど、海里とのことがあったから警察官になったんだ。もしかしたら海里を探せるんじゃないかって。でもそんなに甘くはなかったよ。犯罪や事故が毎日あるなかで海里を探すなんて……それに……この世の中はやっぱりオメガに優しくなくてね。アルファが失踪したらどんな手段でも探すのにオメガは別に……って感じだったよ。でも俺は探してた。仕事の休みの日にはビラ配ったりしてさ。でも自力では見つけられなかった。でもようやく見つけた俺には海里しかいないから。
布団の上から抱きしめてくれる義兄貴の手がなんだか震えてる気がして俺は義兄貴の顔が見たくなって被っていた布団の中から顔を出した。
319
あなたにおすすめの小説
その言葉を聞かせて
ユーリ
BL
「好きだよ、都。たとえお前がどんな姿になっても愛してる」
夢の中へ入り化け物退治をする双子の長谷部兄弟は、あるものを探していた。それは弟の都が奪われたものでーー
「どんな状況でもどんな状態でも都だけを愛してる」奪われた弟のとあるものを探す兄×壊れ続ける中で微笑む弟「僕は体の機能を失うことが兄さんへの愛情表現だよ」ーーキミへ向けるたった二文字の言葉。
騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。
君の恋人
risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。
伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。
もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。
不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
【完結済】氷の貴公子の前世は平社員〜不器用な恋の行方〜
キノア9g
BL
氷の貴公子と称えられるユリウスには、人に言えない秘めた想いがある――それは幼馴染であり、忠実な近衛騎士ゼノンへの片想い。そしてその誇り高さゆえに、自分からその気持ちを打ち明けることもできない。
そんなある日、落馬をきっかけに前世の記憶を思い出したユリウスは、ゼノンへの気持ちに改めて戸惑い、自分が男に恋していた事実に動揺する。プライドから思いを隠し、ゼノンに嫌われていると思い込むユリウスは、あえて冷たい態度を取ってしまう。一方ゼノンも、急に避けられる理由がわからず戸惑いを募らせていく。
近づきたいのに近づけない。
すれ違いと誤解ばかりが積み重なり、視線だけが行き場を失っていく。
秘めた感情と誇りに縛られたまま、ユリウスはこのもどかしい距離にどんな答えを見つけるのか――。
プロローグ+全8話+エピローグ
姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)
turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。
徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。
彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。
一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。
ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。
その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。
そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。
時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは?
ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ?
読んでくださった方ありがとうございます😊
♥もすごく嬉しいです。
不定期ですが番外編更新していきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる