αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの

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お互いの思い

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それから俺たちはこれからのことをたくさん話した。まずは今俺が住んでる家を出て義兄貴の家に行くことを約束した。だから明日このホテルを出たら俺の荷物を取りに行くことにした。
 
「雅人さんには全部伝えたよ。海里とわかり合えたって。最初は嘘じゃないかってすごく疑われてたんだ。海里から少し離れたところで電話してたし、海里は寝てたから雅人さんの電話にも出れなかったから余計にね。でも気が付かないうちに海里起きちゃって俺がいなかったからぐずぐず泣き出してたんだよ。そんな海里をなだめながら隣で話しをしてたから、その様子が耳に入って雅人さんはわかってくれたよ。でも海里の可愛い声を聴かせたくなくてそれからすぐに電話を切った。だから海里は雅人さんのところで仕事をするのは禁止というかもう仕事はできないから。店のHPホームページに載ってた海里の名前や写真は削除したからって連絡もらった。そしたら常連さんたちから何度も連絡があって大変だって朝メールが届いてたよ」
そうやって俺にメールを見せてくれた。なんだか自分が知らないヒートの様子に恥ずかしくなりながら俺は雅人さんからのメールを読んだ。そこには対応に追われてるとか俺に変わる新人発掘しないと……と書いてあった。でも最後の文章を見て俺は胸が熱くなった。

「海里を絶対、絶対に幸せにしてやってくれ。海里は俺にとっては弟みたいな存在だった。お前のことだって自分が悪かったからだっていつも自分を責めてた。お前は悪くないって……俺に会ったばっかりにこんな仕事しか与えられなかった俺を許してくれ。こんな形で出会わなければ海里は幸せになってたかもしれないが、俺は海里に会って救われたんだ。妹のことオメガのこと、あの当時色んな思いを抱えてた俺に光を与えてくれたのは海里だった。海里が安心して眠れる場所はお前の腕の中だけなんだ。だからその場所を二度ど取り上げるようなことはしないでくれ」
俺は義兄貴の腕の中で雅人さんを思って静かに泣いた。俺だって雅人さんに出会わなければ今頃どうなっていたかわからない。酷い環境の下で働いていた可能性は大いにある。その感謝の気持ちを直接言いたいと義兄貴に伝えたら明日荷物整理が終わったら会いに行こうって。それともう1人……遠藤さんに会いたいと……あの絶望の中、寄り添ってくれた最初の人だったのに結局俺は義兄貴たちが探してるってわかって遠藤さんの元を逃げたんだ。その後謝ることすらしていなかった。義兄貴たちのところに来たみたいだけどあれからどうしてるんだろうか?まだ1人であの喫茶店にいるんだろうか?あんなに辛い過去を持ってるのにみんなのお母さんとして相談に乗ったりしていた。俺のことだってほっとかないで話を聞いてくれた。俺はいろんな人に支えてもらって今日まで生きてきたことをこれからも忘れずにいよう。

義兄貴の腕の中は心地が良くてこの場所を二度と離れたくないと思った。きっとこの先色んなことがあると思う。でもお互いがお互いを思い合っていればきっと大丈夫だと。だからこそ自分の思いはちゃんと伝えないと届かないから今の自分の気持ちを伝えた。

「義兄貴、大好き。これからもずっと一緒にいて」
「海里は俺は愛してる。今までの分も2人で幸せになろう。でも1ついいか?」
「なに?」
少し不安になって義兄貴の目の見つめてるとこめかみにキスをしながら

「義兄貴じゃなくて名前で呼んでくれないか?」
思いがけないリクエストが届いてびっくりしてると次のヒートで番になるのに義兄貴はおかしいだろ?それとも俺の名前覚えてない?

「覚えてるけど……」
少し恥ずかしかったけど義兄貴が期待を込めた目で見つめてきたから俺は……

「涼太……さん?」
さん……って付けてもいいのか分からずにきっと顔も耳も赤くなりながら伝えると義兄貴……じゃなくて涼太さんは耳を真っ赤にしながら「ありがとう」と抱きしめてくれた。

「でも……涼太って呼び捨てでいいよ。なんか、さん……って感じしないだろ?」
確かに……しないと思う。でも年上なのに……と戸惑ってると涼太……?は好きに呼べばいいと言ってくれた。

「じゃあ涼ちゃんにする」
俺が思い切って言うと涼ちゃんは笑って頷いてくれた。

義兄貴と手を繋ぎながらヒート明けでまだだるい身体を義兄貴に預けた。この幸せを二度と手放さないように願いながら……


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