鬼上司と秘密の同居

なの

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パートナーとして

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会は和やかに進み、その後は祝電の紹介や来賓の紹介をする予定だなぁ~と考えていたら「海斗くん」と呼ばれて振り向くと小倉さんと優太さんが笑みを浮かべていた。
「どうしたの?」

「早く行くぞ」
そう言われて付いていくと透さんが使っていた控室に連れて行かれた。
「俺たちはここまで。おじさんと約束したからな。じゃあ、またあとでな」
「海斗くん、楽しみにしてるね」
そう言って2人は行ってしまった。そういえば、みんなでうなぎを食べに行った時、そんな話をしていたような…一応念のためノックをして中に入ると
「待ってたよ。海斗くん」
林さんと晃さんが立っていた。その部屋の中にはトルソーが置かれていて、僕のタキシードが飾られていた。
「これ…」

「うん。そろそろ時間だよ。着替えようか」そう言われて、着ていたスーツを脱いで、タキシード用のウイングカラーのシャツを着てシルバーの蝶ネクタイを付けた。ちなみに透さんは黒の蝶ネクタイだ。お揃いにしようかと思ったが、海斗はシルバーの方が似合うと言われて、こっちになった。ジャケットに袖を通そうと手を伸ばした時、晃さんから「これ付けてください」って渡されたものは「あっ…」見覚えのある僕が透さんの誕生日に渡したカフスと同じものだった。

「透くんに聞かれたんだよ。海斗くんがプレゼントしてくれたカフスはどこで買ったかわかる?って、だからあのお店を教えたんだ」そう言って柔らかい笑顔で林さんに声をかけられた。

僕のカフスには誕生石のブルートパーズの石が付けられていた。カフスをよく見ると「Always With you 」(いつもあなたと一緒)と刻印がされていて、もう片方には 僕が透さんに送ったカフスと同じ場所に K.Tと…刻印されていた。それだけで嬉しくて涙が溢れそうになってしまった。
「せっかくの晴れ姿なんですから、まだ泣くのは早いですよ」林さんにそう言われて目に力を込めた。
トントントン
ドアのノック音が聞こえて「はい」と返事をすると透さんが隙間から顔を出した。
「透さん…」

「海斗、よく似合ってる。じゃあ行こうか?林さん、晃さんありがとうございました」

「先に会場に行ってるよ」
そう言って2人は部屋から出て行った。

「透さん?」

「海斗、これからどんなことがあっても一緒だからな。愛してる」

「僕も、愛してます。これ、ありがとうございました」
僕はカフスを指差した。

「お揃いでいいだろ?みんなが待ってるから、行こうか」
透さんと手を繋いで会場に向かった。ドアの前でスタッフが待っていて「こちらです」と案内されてステージの裏側に回った。「こちらでお待ちください」
そう言われてドキドキしていると

「宴たけなわではございますが、お時間に限りがある方もいらっしゃいますので、このあたりで中締めとさせていただきます。中締めの挨拶は佐伯常務にお願いしたいと存じます。佐伯常務よろしくお願いします。」

佐伯常務がステージに登った。
「皆様、本日はありがとうございました。ここで皆様にご報告があります。新副社長、里中透のパートナーを皆様にご紹介いたします」
佐伯常務が僕たちの方に歩いてきた。みんながざわつく声が聞こえた。

「透、海斗くん行っておいで」

「おじさん、ありがとう」
透さんがお辞儀をして、僕もお辞儀をした。透さんに手を引かれ、ステージの真ん中に立った。
みんなの声が大きくなる。みんなの顔を見られなくて、僕は俯いたままだ。緊張と不安で足が震える…すると透さんの声が聞こえた。

「このような場ではありますが私について申し上げます。私はゲイであり男性が性の対象です。ついこの前までその事実を隠して生きていました。そして私の隣にいるのがパートナーで秘書の小沢海斗です。現在一緒に暮らしています。今の法律では、男女のように籍を入れて夫婦になることができません。その代わりにパートナーシップ宣誓制度という方法しかありませんが、お互いを夫夫ふうふと本日、この場で皆様に認めていただきたいと思いますが皆様よろしいでしょうか?」
すると周りから「部長かっこいい」
「小沢、幸せになれよ」
「透、泣かせるなよ」
と祝福の声がかかった。僕は潤んだ目で透さんを見ると
「海斗、みんなにお祝いしてもらおう」と言ってくれた。お義父さんと、お義母さんが僕の隣にきて
「海斗くん、みんなに証人になってもらおうな」
そう言って僕に1枚の紙を差し出した。開いてみると、それはパートナーシップ宣誓制度の紙だった。
「透さん…」

「海斗、ここにサインをしてくれるか?」

「はい」
透さんの名前の下に震える手を左手で押さえながら小沢海斗とサインした。

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