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番外編
降格してたんですか?
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パーティーが終わってから1週間が過ぎた。毎日、忙しいけど僕なりに頑張っている。
だけど相変わらず1つだけ頑張れないことがある。それは朝、起きれないことだ。
「海斗~朝だそ。起きれるか?昨日、愛しすぎちゃったかな?」
「透さん…大丈夫。おはようございます」
「おはよう。海斗。今日も可愛いな。愛してる」
チュッとリップ音を鳴らしてキスをしてくれるのも毎日の習慣だ。
そして…あれから変わったことは毎日、透さんの運転で会社に一緒に行って帰ってくる。
本当は秘書である僕が運転できればいいのだが…僕は免許を持ってない。
「透さん、やっぱり僕、免許取って透さんの送迎しますよ」
「海斗、そんなことはしなくていい。俺の為に秘書検定試験まで受けてくれたんだから、それだけで充分だよ」
「でも…」
「俺が海斗を助手席に乗せていたいんだ。はい。その話はおしまい。じゃあ今日も頑張りましょうか?愛しい秘書さん」
「はい。副社長」
秘書室の中では僕たちのことを悪く言う人や文句を言う人はいない。室長も川上さんもあれ以来、何も言わずにいてくれる。
ただ僕は1つだけ、気になってることがあった。だけど僕は社長であるお義父さんにも、副社長の透さんにも理由を聞かずに過ごしてしまっていた。本当はどうしてそうなったのか聞くべきだったのに…僕は意識的にそのことを避けていたのかもしれない。
その日、僕は総務部に用事があっていつもとは違う階にいた。用事も済んで秘書室に戻ろうと歩いていると、遠くから歩いてくる人影が見えた。あの2人だ。ここで引き返すのは良くないけど、やっぱり少し不安になって俯きながら歩いていた。相手の靴先が見えて右に避けようとしたら
「小沢くんじゃないか元気だったかい?」
そう声をかけられた。
「お久しぶりです」
僕は俯きながら答えた。
「本当に久しぶりだよね。キミは副社長の秘書になって満足かい?」
そう聞かれて、顔を上げた。
「俺たちはさぁ、社長達に散々言われたんだよ。そして降格された。何でだろうね?室長と川上さんの方が色々キミに嫌なこと言ったり、あの証拠にあるような行動を取ってたのにお咎めなしなの?どうして俺たちだけは違うの?しかも俺たちはパーティーの参加もさせてもらえなかったんだけど、どういうことかな?教えてくれないか?」
矢継ぎ早に質問された。確かに2人はパーティーにいなかった。鏡開きの時も…本来なら営業部長がいるはずなのに設楽さんはいなかった。僕はあのとき結婚式をしているみたいで嬉しくて、浮かれてて忘れていた。2人がいなかったことを…でも理由は僕にはわからなかった。きっとお義父さんと透さんの判断なんだろうけど、聞かされてない僕にはわからない。どう答えたらいいのかわからなくて俯いていると
「社長の判断に不服があるならこちらにどうぞ」と後ろから角谷さんの声が聞こえた。振り返ると鋭い眼差しで2人を見ていた。
「いゃ…俺たちはちょっと小沢くんに聞いてただけで…」
「そうです。理由を知ってるなら教えてほしいと…」
「また言い訳ですか?社長はお2人にちゃんとわかるように伝えたはずですよ。それなのに小沢さんにまた小沢さんに絡むなんて…だからです。だから降格したんですよ。わかりませんか?」
「角谷さん、すみません。僕、透さんからも何も聞いてなくて…」
「そうですね。社長と副社長も小沢さんに伝えようとしなかったんですから、知らなくて当然です。でも今後のこともありますし、説明しましょうか。お2人も不服そうですし…社長室に一緒に行きましょうか?」
「いえ…私達は…急ぎの案件を思い出しましたので、これで失礼いたします」
そう言って逃げてしまった。
「じゃあ小沢さん行こうか?」
角谷さんに促されたけど、僕はその場に立ち尽くしてしまった。
きっと何かあるんだろう。僕のせいなんだよな。2人が降格になったのは…でも誰もそれを教えてくれなかった。それはどうして?聞かれたくなかったから?僕のことなのに、僕が原因なのに…それじゃあなんで室長と川上さんの時には教えてくれたの?どうして?
「小沢さん。別に小沢さんのせいではないですよ。あの2人が降格になったのは、ただ…あのときの小沢さんは試験も控えていたし、パーティーの準備もあったので余計なことだと判断して教えなかっただけです。時期が来たら教えようとみんなで話したので、言うのが遅くなったせいで不安にさせましたね。申し訳ございません」
「いえ…角谷さんが謝ることでは…」
「じゃあ行きましょう。社長と副社長からの説明を聞きましょうか?その方がいいと思いますよ」
僕は頷いて仕方なく角谷さんについて行った。
だけど相変わらず1つだけ頑張れないことがある。それは朝、起きれないことだ。
「海斗~朝だそ。起きれるか?昨日、愛しすぎちゃったかな?」
「透さん…大丈夫。おはようございます」
「おはよう。海斗。今日も可愛いな。愛してる」
チュッとリップ音を鳴らしてキスをしてくれるのも毎日の習慣だ。
そして…あれから変わったことは毎日、透さんの運転で会社に一緒に行って帰ってくる。
本当は秘書である僕が運転できればいいのだが…僕は免許を持ってない。
「透さん、やっぱり僕、免許取って透さんの送迎しますよ」
「海斗、そんなことはしなくていい。俺の為に秘書検定試験まで受けてくれたんだから、それだけで充分だよ」
「でも…」
「俺が海斗を助手席に乗せていたいんだ。はい。その話はおしまい。じゃあ今日も頑張りましょうか?愛しい秘書さん」
「はい。副社長」
秘書室の中では僕たちのことを悪く言う人や文句を言う人はいない。室長も川上さんもあれ以来、何も言わずにいてくれる。
ただ僕は1つだけ、気になってることがあった。だけど僕は社長であるお義父さんにも、副社長の透さんにも理由を聞かずに過ごしてしまっていた。本当はどうしてそうなったのか聞くべきだったのに…僕は意識的にそのことを避けていたのかもしれない。
その日、僕は総務部に用事があっていつもとは違う階にいた。用事も済んで秘書室に戻ろうと歩いていると、遠くから歩いてくる人影が見えた。あの2人だ。ここで引き返すのは良くないけど、やっぱり少し不安になって俯きながら歩いていた。相手の靴先が見えて右に避けようとしたら
「小沢くんじゃないか元気だったかい?」
そう声をかけられた。
「お久しぶりです」
僕は俯きながら答えた。
「本当に久しぶりだよね。キミは副社長の秘書になって満足かい?」
そう聞かれて、顔を上げた。
「俺たちはさぁ、社長達に散々言われたんだよ。そして降格された。何でだろうね?室長と川上さんの方が色々キミに嫌なこと言ったり、あの証拠にあるような行動を取ってたのにお咎めなしなの?どうして俺たちだけは違うの?しかも俺たちはパーティーの参加もさせてもらえなかったんだけど、どういうことかな?教えてくれないか?」
矢継ぎ早に質問された。確かに2人はパーティーにいなかった。鏡開きの時も…本来なら営業部長がいるはずなのに設楽さんはいなかった。僕はあのとき結婚式をしているみたいで嬉しくて、浮かれてて忘れていた。2人がいなかったことを…でも理由は僕にはわからなかった。きっとお義父さんと透さんの判断なんだろうけど、聞かされてない僕にはわからない。どう答えたらいいのかわからなくて俯いていると
「社長の判断に不服があるならこちらにどうぞ」と後ろから角谷さんの声が聞こえた。振り返ると鋭い眼差しで2人を見ていた。
「いゃ…俺たちはちょっと小沢くんに聞いてただけで…」
「そうです。理由を知ってるなら教えてほしいと…」
「また言い訳ですか?社長はお2人にちゃんとわかるように伝えたはずですよ。それなのに小沢さんにまた小沢さんに絡むなんて…だからです。だから降格したんですよ。わかりませんか?」
「角谷さん、すみません。僕、透さんからも何も聞いてなくて…」
「そうですね。社長と副社長も小沢さんに伝えようとしなかったんですから、知らなくて当然です。でも今後のこともありますし、説明しましょうか。お2人も不服そうですし…社長室に一緒に行きましょうか?」
「いえ…私達は…急ぎの案件を思い出しましたので、これで失礼いたします」
そう言って逃げてしまった。
「じゃあ小沢さん行こうか?」
角谷さんに促されたけど、僕はその場に立ち尽くしてしまった。
きっと何かあるんだろう。僕のせいなんだよな。2人が降格になったのは…でも誰もそれを教えてくれなかった。それはどうして?聞かれたくなかったから?僕のことなのに、僕が原因なのに…それじゃあなんで室長と川上さんの時には教えてくれたの?どうして?
「小沢さん。別に小沢さんのせいではないですよ。あの2人が降格になったのは、ただ…あのときの小沢さんは試験も控えていたし、パーティーの準備もあったので余計なことだと判断して教えなかっただけです。時期が来たら教えようとみんなで話したので、言うのが遅くなったせいで不安にさせましたね。申し訳ございません」
「いえ…角谷さんが謝ることでは…」
「じゃあ行きましょう。社長と副社長からの説明を聞きましょうか?その方がいいと思いますよ」
僕は頷いて仕方なく角谷さんについて行った。
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