鬼上司と秘密の同居

なの

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番外編

理由

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「社長、少しよろしいでしょか?」

「どうぞ」

「小沢さん少し待っててね」
そう言って角谷さん1人が社長室に入っていった。きっと2人に僕が会ったことを話してるんだろう。しばらく待ってると透さんがやってきた。
「海斗、ごめんな。俺も一緒に聞くから」
そう言って透さんと待っていると社長室のドアが開いた「お待たせいたしました。どうぞ」と角谷さんから声がかかった。

「海斗くんに隠すつもりじゃなかったけど、結果として辛い思いをさせてしまったようだな。申し訳ない」

「社長、謝らないでください。僕もちゃんと聞かなかったので、すみません」

「いいんだよ。海斗くんがこれ以上、辛い思いをさせたくないって勝手に決めてしまったからな。まぁ、あの2人、大崎と設楽のことなんだけど…」
そう言って社長は話始めた。

「海斗くんが腰を怪我したあの日、室長の肩を持ったのはあの2人だった。本当は室長と川上さんは解雇、あの2人は左遷にする予定だったんだが、室長と川上さんは海斗くんの意向もあって謝罪だけで終わっただろ?でもあの2人は海斗くんのことを影で言っていただけじゃなく他の社員にもパワハラをしていたのを小耳に挟んでね。ようやく調査が終わったところなんだよ」

「パワハラ…ですか?」

「そう。特に新人にね。そのせいで毎年辞めてる人がいてね。海外事業部は特に多くておかしいとは思っていたんだよ。今年はすでに2人辞めてる。これからだってときなのに…そして1人は精神疾患に罹患して仕事に来られなくて休んでる」

「そうだったんですね…知らなかったです」

「同じ部署じゃないからわからないよな」

「そうですね…でも、これからどうするんですか?」

「専門である茂に全てを託した。海斗くんのように証拠のビデオが残ってればよかったんだが、かなり前だったのと、防犯カメラの死角やトイレ内での暴言だからなくてね…それでも同じ部署の人から証言を得られた。辞めた人からもどんなことがあったのか聞いたんだよ」

「親父何があったか教えてくれないか?」

「契約が取れなかったり、ミスしたら土下座はもちろん、反省文を書かせたり、みんなの前で怒鳴ったりと…酷いもんだよ。それもあってパーティーで何か問題が起こることを危惧して来させないようにした。証拠も揃ってなかったから人事上、降格にはしたが、あまりにもパワハラが酷いと判断して懲戒解雇をすることに決めたよ。明日には2人に処分を言い渡すことになっていたのに、まさか海斗くんに接触するなんてな…ごめんね。海斗くん」

「いえ僕は…角谷さんが来てくれたので助かりました。どう返答すればいいのかわからなかったので…」


次の日、社内メールが1通届いた。

本日付けにて下記2名の社員を懲戒解雇処分とする決定wをいたしましたので、その旨通知いたします。

海外事業部
大崎 豊
設楽 健一

処分事由:同部署の社員に対し土下座の強要、罵倒などの…………

以上

秘書室でもそのメールを見てざわついていた。僕は昨日、社長に聞いていたから落ち着いてそのメールを閉じた。今日もしっかりと仕事をしようとタブレットと資料を持って副社長室に向かった。

トントントン
「小沢です。副社長よろしいでしょうか?」

「どうぞ」
いつものバリトンの声が響いてきた。さっきまで一緒にいたのに僕はそれだけで嬉しくなってしまう。
「失礼いたします」

「副社長、明日の会議で使う資料になります。よろしくお願いします」

「海斗ありがとう」
いつもの笑みで言われるといまだに照れてしまう。

「海斗はいまだにすぐ赤くなって可愛いな」

「可愛くないです」
そういうと椅子から立ち上がって僕の隣にきた。透さんに促されてソファーに座らされた。

「海斗、大丈夫か?」
きっと朝届いたメールのことで心配してくれてるのだろう。でも僕は昨日聞いたので大丈夫なんだけどな。

「大丈夫ですよ。昨日、ちゃんと聞いておいてよかったです。だから心配しないでください」

「そうか、ならいいんだけど…」

「透さんは心配性ですね」

「それは海斗限定だけどな」
なんだか甘い雰囲気になりそうな予感がしてソファーから立ち上がった。
「副社長、お仕事してくださいね」

「わかってる。それより海斗、旅行にでも行かないか?」

「旅行ですか?」

「そう、俺の誕生日に学たちから旅行券もらっただろ?いつ行くんだって言われてて、来週末くらいどうだ?」

「来週末ですか?でも来週は…」

「うん。知ってるよ。海斗の合格発表だ。だから行こう?受かってたら温泉でお祝い。もし、不合格だったら温泉浸かって残念会しよう」

「どっちにしても温泉行くんじゃないですか」

「たまには都会から離れて空気が美味しいところで、美味しい料理と贅沢な温泉三昧しようよ。海斗はどこに行きたい?俺はここなんかいいと思うけどな」

そこは露天風呂がお部屋についてるお部屋だった。ここから車で1時間半くらいの場所だし、電車でも行きやすい。有名な観光地だった。

「僕もここがいいです」

「無理してないか?」

「はい。ここ有名じゃないですか。観光するところもいっぱいあるし」

「そうだな。じゃあここにするか」

「でも空いてますかね?」

「今は観光シーズンでもないから大丈夫だろう。ただ雪が降ったら車では行きづらいな」

「じゃあ電車で行きましょう」

「楽しみだな。それじゃあ来週、仕事が入らないようにちゃんと仕事するよ」

「はい。僕も頑張ります」
来週がとっても楽しみになってきた。
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