鬼上司と秘密の同居

なの

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番外編

初めての旅行

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「透さん、早く早く」

「海斗、そんなに急がなくても大丈夫だ。海斗が作ってくれた朝ごはんをとりあえず堪能させてくれ」

今日から俺たちは1泊2日で学たちから貰った旅行券で温泉に行く。海斗は遠足に行く子どものように俺より早く起きて朝ごはんを作ってくれていた。毎日が遠足なら海斗は早起きできるのか?なんて思ってしまった。

実は昨日、海斗の秘書検定合格のお祝いを親父と母さんが提案してくれたのだが今日から旅行だから帰ってきたら、またうなぎ食べに連れてってくださいと親父にお願いしていた。

まぁ…その前日に合格が嬉しすぎて愛し合ってしまった。加減はしたつもりだったが腰が痛いと言ってたからな…親父たちにバレるのも恥ずかしいのだろう。この旅行でも海斗と愛し合いたい俺はカバンの隅にゴムとローションをこっそりと入れている。いつもと違う場所で…なんて想像しただけでも中心に熱が集まるのを感じる。本当に海斗が愛しすぎる。

「さて、準備するか」
もう海斗は準備万端でソファーに腰掛けながら足をぶらぶらさせている。待ちくたびれてる子どものようで抱きしめてキスをすると「もう」っと口を尖らせる海斗が可愛くてまた唇を奪ってしまった。

「あと30分後に出発するから待ってて」
そう言うと早くしてね。と俺が作成した「旅行のしおり」を眺めていた。
まさか自分が学校の先生みたいに旅行のしおりなんて作るとは思わなかったが、海斗が喜ぶことはやってやりたいと思う自分がいる。こんな俺にも誰よりも愛しく思う愛する人ができるんだと過去の自分に教えてやりたい。

今回のプランは昼頃に着く電車の予定だ。現地に到着したら事前に予約してあるホテルに荷物を運んでもらうから手ぶらで観光できる。ランチは前に2人で番組を見ていた時、ここの餃子が美味しそうだと言ってたことを思い出して電車に乗ってこの餃子を食べてから、初めての陶芸教室に行く。色んなのを作れるが今回はカレー皿を作ろうと決めた。そしてお互いに作ったものを交換し合うことになっている。海斗は少し不器用だが、それも愛嬌だろう。そのあとホテルに行って温泉と食事を満喫する。明日の予定も書いてあるが、はたしてどれくらい予定通りに進むかは今日のホテルでの愛し合い方次第だろう。旅行も今回だけじゃないからまぁ、怒られたらその時は仕方がないか…リベンジでまた連れてってやってもいいなと考えていたら

「透さん用意できましたか?」
と海斗の声がかかった。

「あぁ出発しようか」

「はい楽しみです」
2人ともダウンコートを羽織り、俺は2人分の着替えが入ったボストンバックを持ち、海斗はボディバックを持った。

「透さん僕の荷物も入れてもらってすみません。重くないですか?」

「全然大丈夫だから。じゃあ行こう」
戸締りをして駅に向かった。久しぶりの電車は土曜日で空いてるかと思ったが、案外混んでいて座ることはできなかったがそのまま手を繋いでいられるのは嬉しかった。電車の揺れに合わせて海斗の頭が揺れる。足は踏ん張ってるが、時たま俺の胸元に頬がぶつかる。俺はそっと手を離して海斗の耳元で俺に捕まってろと言い海斗の腰を抱きしめた。俺よりいくらか低い海斗の耳が徐々に真っ赤に染まってくるのがわかる。こんな人前で密着するのは恥ずかしいんだろうが周りを見ても誰も俺たちを気にする様子はない。俺は片手にバック、片手に海斗を抱きしめながら2人で初めての旅行がいい思い出になるようにと考えていた。

駅に着くとほとんどの人が降りるため流されそうな海斗の手を引き乗り場へと足を進めた。
予定通りの電車に乗り目的地まで1時間と少しで着いてしまう。海斗は終始、俺の作ったしおりを見ながら今日はお天気が良くてよかったとかお部屋の露天風呂からお星さまは見れますかね?明日も天気だったら嬉しいな。と言ってはしゃいでいた。かたや俺は下心満載で海斗の話を頷いて聞いてるふりをしながら今夜はどんなふうに過ごそうかとそんなことばかりを考えていた。

現地について、すぐに荷物をホテルまで送ってもらう手続きをし、電車に乗り換えて目的の餃子屋さんに向かった。12時を少し回った頃だが、すでに5組ほどが並んでいた。それでも30分しないくらいでお店の中に入れた。海斗は餃子定食、俺は手羽餃子定食、単品でしそ餃子を頼んだ。2人でシェアしながら美味しく食べた。結構なボリュームでお腹が出ちゃうと言う海斗に、じゃあ後で見ようかな?と意地悪な質問をすると顔を真っ赤にしてもう恥ずかしいです。とそっぽをむかれてしまった。冗談なのに本気にされてしまった。なんとか海斗の機嫌を取り時間があったので、ゆっくりと手を繋ぎながら陶芸工房の場所に向かった。

工房に着いてひと通りの説明を受けた。
俺たちの他には家族連れと女性2人組とカップルがいた。俺たちは電動ろくろを使ってカレー皿にすることに決めていたので、電動ろくろの使い方や説明を受けていざ初めてみると、これがなかなか難しい。水をつけながら形を整えていくのだが歪まないように気をつけながら…と海斗の様子を気にすることなく没頭して作成してしまった。ふと見ると海斗も一生懸命作っている姿が可愛くてつい写真を撮ってしまった。
「できました」
海斗と共に釉薬を選び後ろにサインをして作成は終了だ。あとは工房の方が乾燥して焼いてくれる。出来上がるのは2~3ヶ月後と言われたので配送をお願いした。
ここの工房では作品も販売していて2人とも一目惚れしてしまったお茶碗を記念に買って帰ることにした。
「透さん、出来上がるの楽しみですね」

「そうだな。海斗の作ったお皿を使うのが楽しみで毎日使いそうだな」
そんなことを言ってると

「あの~」
さっき工房で見かけた女性2人組に声をかけられた。
「もしよかったらこの後、あそこでコーヒーでも飲みませんか?」
まさかの逆ナン?と思ったが、俺は咄嗟に海斗の手を取り夫夫ふうふなんで…と言って歩き出した。

後ろで本当に男同士なんているんだぁ~リアルBL~なんて声が聞こえたが気にせず海斗を見ると俯いていた。
「どうした?ごめん堂々と言って嫌だったか?」
少し心配になって聞いてみると

「嬉しかったんです。知らない人にも堂々と言ってくれて…透さんとパートナーになれて僕、幸せです」
なんて潤んだ瞳に見つめられて嬉しいことを言ってくれた海斗の肩を抱きホテルへと足を進めた。
今日はきっといい記念日になる。抱き潰さないようにしようと思いながらも最悪、明日のプランをプランBに変更する可能性がありそうだなと思ってしまった。



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