猫カフェの溺愛契約〜獣人の甘い約束〜

なの

文字の大きさ
11 / 12

最終決戦

しおりを挟む
その夜、予想通り白石たちが現れた。

今度は大勢の研究員と、警備員らしき屈強な男たちを連れている。

「悠月君、最後のチャンスです」

白石が店の前で声をかけた。

「大人しく来てくれれば、店や猫たちには手を出しません」

「お断りします」

悠月は震え声ながらも、きっぱりと答えた。

「そうですか。では、実力行使させていただきます」

白石が合図すると、研究員たちが特殊な装置を取り出した。

「動物麻酔銃です。猫たちを人質に取らせていただきます」

その瞬間、猫たちが一斉に行動を起こした。

「みんな、作戦開始ニャ!」

コロの号令で、猫たちが店内の様々な場所に散らばった。

ミケが研究員の足に絡みつき、転倒させた。

「わあああ!」

ルナが装置のコードを噛みちぎった。

「あれ?機械が……動かない!」

マルは別の研究員の荷物を引っ掻き回した。

「何だ!この猫は!」

シロが優しく鳴きながら外に出た。

「あら、どうしたの?」
「何をしてるの、この人たち?」

近所の人たちが集まり始めた。

「悠月、二階に!健太郎さんも一緒に!」

玲音の声に緊迫感があった。

「でも、玲音が一人じゃ……」

「大丈夫だ。俺に任せろ」

健太郎は悠月の肩を押した。

「桐生さんを信じよう。悠月、上に行くぞ」

二人が二階に上がった後、玲音は店内で白石たちと対峙した。

「君たちの相手は俺だ」

玲音は研究員たちの前に立ちはだかった。

「おや、君も何か特別な能力の持ち主のようですね」

白石が興味深そうに見つめた。

「二人とも確保できれば、研究がより進むでしょう」

「させるか」

その瞬間、玲音の瞳だけが一瞬金色に光った。野性的な威圧感が店内に満ちる。

「な、何だこの迫力は……」

研究員たちは、玲音の正体には気づかないまま、ただならぬ雰囲気に圧倒された。

玲音は人間の姿のまま、しかし獣人としての身体能力と威圧感で相手を制圧した。

二階から見ていた悠月だけが、玲音の瞳の変化に気づいていた。

玲音……

研究員たちは後ずさりしていた。

二階から見ていた悠月は、玲音が一人で戦っているのを見て決心した。

「僕も降りる」

「今は、危険だ!」

健太郎が止めようとしたが、悠月の決意は固かった。

「みんな、聞こえる?」

悠月が一階に降りると、その声が店内だけでなく、近所中の動物たちに届いた。

「悪い人たちが、僕たちの家族を脅かしてるの。みんな、助けて!」

すると、近所の犬たちが一斉に吠え始めた。

「ワンワンワン!」

猫たちも、あちこちから集まってきた。

「ニャーニャー!」

鳥たちも空から威嚇するように鳴いている。

「何だ、これは……」

研究員たちも混乱した。

その騒ぎに気づいた近所の人たちも、店の前に集まってきた。

「何事だ?」
「悠月くんたちに何かあったのか?」

常連のお客さんたちも駆けつけてきた。

「この店を守らなきゃ」
「警察を呼んだ方がいい」
「こんな夜中に、何をしてるんだ!」

白石たちは、予想外の事態に慌てていた。

「撤退だ!」

「待て」

玲音が立ちはだかった。

「もう逃がさない」

その時、警察のサイレンが響いた。

健太郎が事前に通報していたのだ。

「バイオテック・リサーチの皆さん、違法研究と誘拐未遂の容疑で逮捕します」

警察官たちが白石たちを取り囲んだ。

「そんな、証拠はない」

「ありますよ」

玲音が録画装置を見せた。

「今夜の犯行は、全て記録されています」

「それに、隠しカメラによる不法な監視行為の証拠もあります」

健太郎が付け加えた。

「過去の被害者の証言も集まっています」

白石の顔が青ざめた。

「これで終わりです」

こうして、長い戦いは終わりを告げた。

警察が去った後、店には平穏が戻った。

「みんな、本当にありがとう」

悠月は猫たちを撫でながら感謝した。

「当然だよ」

ミケが嬉しそうに鳴いた。

「家族だもん」

コロが誇らしげに答えた。

「...みんなで守った」

ルナが小さく微笑んだ。

「協力すれば、何でもできる」

シロが穏やかに言った。

「やったー!勝ったー!」

マルが元気よく跳ね回った。

「健太郎さんも、ありがとうございました」

玲音が健太郎に頭を下げた。

「何を言ってるんだ。家族を守るのは当たり前だ」

健太郎は二人を見回した。

「それに、悠月の能力は素晴らしいものだ。誇りに思う」

悠月の目に涙が浮かんだ。

「叔父さん……」

「これからも、みんなで支え合っていこう」

近所の人たちも、温かい言葉をかけてくれた。

「何かあったら、いつでも声をかけて」
「この店は、地域の宝だから」

悠月は、多くの人に愛されていることを実感した。

本当の家族の絆を、改めて感じた夜だった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

僕だけの番

五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。 その中の獣人族にだけ存在する番。 でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。 僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。 それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。 出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。 そのうえ、彼には恋人もいて……。 後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。

【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐
BL
「好きです」 「…手離せよ」 「いやだ、」 じっと見つめてくる眼力に気圧される。 ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26) 閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、 一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨ 短期でサクッと読める完結作です♡ ぜひぜひ ゆるりとお楽しみください☻* ・───────────・ 🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧 ❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21 ・───────────・ 応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪) なにとぞ、よしなに♡ ・───────────・

冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている

春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」 王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。 冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、 なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。 誰に対しても一切の温情を見せないその男が、 唯一リクにだけは、優しく微笑む―― その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。 孤児の少年が踏み入れたのは、 権謀術数渦巻く宰相の世界と、 その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。 これは、孤独なふたりが出会い、 やがて世界を変えていく、 静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。

【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。 異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。 ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。 そして、コスプレと思っていた男性は……。

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。

黒茶
BL
超鈍感すぎる真面目男子×謎多き親友の異世界ファンタジーBL。 ※このお話だけでも読める内容ですが、 同じくアルファポリスさんで公開しております 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 と合わせて読んでいただけると、 10倍くらい楽しんでいただけると思います。 同じ世界のお話で、登場人物も一部再登場したりします。 魔法と剣で戦う世界のお話。 幼い頃から王太子殿下の専属護衛騎士になるのが夢のラルフだが、 魔法の名門の家系でありながら魔法の才能がイマイチで、 家族にはバカにされるのがイヤで夢のことを言いだせずにいた。 魔法騎士になるために魔法騎士学院に入学して出会ったエルに、 「魔法より剣のほうが才能あるんじゃない?」と言われ、 二人で剣の特訓を始めたが、 その頃から自分の身体(主に心臓あたり)に異変が現れ始め・・・ これは病気か!? 持病があっても騎士団に入団できるのか!? と不安になるラルフ。 ラルフは無事に専属護衛騎士になれるのか!? ツッコミどころの多い攻めと、 謎が多いながらもそんなラルフと一緒にいてくれる頼りになる受けの 異世界ラブコメBLです。 健全な全年齢です。笑 マンガに換算したら全一巻くらいの短めのお話なのでさくっと読めると思います。 よろしくお願いします!

処理中です...