4 / 9
その笑顔の隣に立つために
しおりを挟む
「……で、どこ行くんだよ」
車の助手席で悠真は怪訝そうな顔をしていた。
「着いてからのお楽しみだ」
ハンドルを握る鷹臣は普段よりほんの少し緊張していた。このプラン……バレたら終わる。
今日はドライブデートという名目の外出。
でも実態は……式場候補の下見。舎弟たちはすでに現地入りして試しの装飾やドレス確認に追われている。
***
「問題発生です!」
「花が……全部白バラしか届いてません!」
「なんでだ!ラナンキュラスは!?」
「白バラに統一したって言ってたの兄貴っすよ!」
「えっ、マジで!?……兄貴って時々、天然入りますよね……」
「どうすんだよ……今から手配間に合うか!?」
会場内は地味に修羅場だった。その数十分後、鷹臣の車は郊外のガーデン付き式場に到着した。
白い洋館、爽やかな青空、小さな噴水……そしてラナンキュラス(※数本だけ)
「……なんだここ。結婚式場?」
「ま、まぁ、そういうのもやってるらしいな」
悠真がじっと鷹臣を見つめた。
「お前……ここでプロポーズとかしねぇよな?」
「はっ……!?」
「だって、お前……顔、真っ赤」
「隠してねぇ!お前が勝手に勘ぐってるだけだろ!」
めっっっちゃ勘が鋭い!!
とにかく……誤魔化すしかない。
「ほら、景色いいだろ。噴水の前、行ってみろよ」
「……え、なんで?」
「いや……いい感じだから」
誓いの言葉の予行ポイントなんて、死んでも言えねぇ……
不審そうな顔をしながらも、悠真は噴水の前に立った。
そして……その姿を見た瞬間。鷹臣は息をのんだ。
静かな陽の光の中、風がふわりと悠真の髪を揺らす。
白い噴水を背にして立つその姿が、まるで……
「……なに、ジッと見てんだよ」
「……似合ってんな、こういう場所」
「っは?なんか、変か?」
「いや。やっぱ俺の目に狂いはねぇって、思っただけだ」
「……っ、やめろよ、そういう……」
顔を赤くした悠真が視線を逸らす。その横顔を鷹臣はそっと見つめた。
いつか……ここで。ちゃんと隣に立ってくれ。
***
一方、式場の控室では舎弟たちが全力で作戦会議をしていた。
「悠真さん、さっき「ここでプロポーズされるのかと思った」って赤くなってたらしい!」
「やっべぇ……完全に気づきかけてる……!」
「もう今やっちゃう!? 指輪出す!?」
「ダメだバカ!兄貴が完璧なタイミングにこだわってんの知らねぇのかよ!」
「じゃ、今日の噴水前……本番その1として記録な」
「その1!?何段階あんの!?」
「プロポーズ計画は5段階構成だ。全部兄貴が直筆でメモしてた」
「兄貴……マジで本気だな。ガチで添い遂げる気、満々……」
舎弟たちは一斉にため息をこぼした。
***
帰りの車内で悠真はふと笑って、ぽつりとつぶやいた。
「……今日は、ありがとな」
「ん?」
「最近、気を遣われてばっかでさ。けど、こうやって外に出て普通に過ごすの……ちょっと嬉しかった」
鷹臣はちらりと横顔を見て、ゆっくり微笑んだ。
「……たまには、こういうのも悪くねぇな」
「うん……」
助手席の悠真は、ふわりとまどろみ始めた。静かな車内に心地よい寝息が広がっていた。
鷹臣はハンドルを握ったまま、そっと悠真の手に触れた。その指先のぬくもりが心に染み込んでいく。
……絶対に、この手を離さねぇ。サプライズでも誓いでも何度でも伝えてやる。
お前は、俺の宝物だって。
車の助手席で悠真は怪訝そうな顔をしていた。
「着いてからのお楽しみだ」
ハンドルを握る鷹臣は普段よりほんの少し緊張していた。このプラン……バレたら終わる。
今日はドライブデートという名目の外出。
でも実態は……式場候補の下見。舎弟たちはすでに現地入りして試しの装飾やドレス確認に追われている。
***
「問題発生です!」
「花が……全部白バラしか届いてません!」
「なんでだ!ラナンキュラスは!?」
「白バラに統一したって言ってたの兄貴っすよ!」
「えっ、マジで!?……兄貴って時々、天然入りますよね……」
「どうすんだよ……今から手配間に合うか!?」
会場内は地味に修羅場だった。その数十分後、鷹臣の車は郊外のガーデン付き式場に到着した。
白い洋館、爽やかな青空、小さな噴水……そしてラナンキュラス(※数本だけ)
「……なんだここ。結婚式場?」
「ま、まぁ、そういうのもやってるらしいな」
悠真がじっと鷹臣を見つめた。
「お前……ここでプロポーズとかしねぇよな?」
「はっ……!?」
「だって、お前……顔、真っ赤」
「隠してねぇ!お前が勝手に勘ぐってるだけだろ!」
めっっっちゃ勘が鋭い!!
とにかく……誤魔化すしかない。
「ほら、景色いいだろ。噴水の前、行ってみろよ」
「……え、なんで?」
「いや……いい感じだから」
誓いの言葉の予行ポイントなんて、死んでも言えねぇ……
不審そうな顔をしながらも、悠真は噴水の前に立った。
そして……その姿を見た瞬間。鷹臣は息をのんだ。
静かな陽の光の中、風がふわりと悠真の髪を揺らす。
白い噴水を背にして立つその姿が、まるで……
「……なに、ジッと見てんだよ」
「……似合ってんな、こういう場所」
「っは?なんか、変か?」
「いや。やっぱ俺の目に狂いはねぇって、思っただけだ」
「……っ、やめろよ、そういう……」
顔を赤くした悠真が視線を逸らす。その横顔を鷹臣はそっと見つめた。
いつか……ここで。ちゃんと隣に立ってくれ。
***
一方、式場の控室では舎弟たちが全力で作戦会議をしていた。
「悠真さん、さっき「ここでプロポーズされるのかと思った」って赤くなってたらしい!」
「やっべぇ……完全に気づきかけてる……!」
「もう今やっちゃう!? 指輪出す!?」
「ダメだバカ!兄貴が完璧なタイミングにこだわってんの知らねぇのかよ!」
「じゃ、今日の噴水前……本番その1として記録な」
「その1!?何段階あんの!?」
「プロポーズ計画は5段階構成だ。全部兄貴が直筆でメモしてた」
「兄貴……マジで本気だな。ガチで添い遂げる気、満々……」
舎弟たちは一斉にため息をこぼした。
***
帰りの車内で悠真はふと笑って、ぽつりとつぶやいた。
「……今日は、ありがとな」
「ん?」
「最近、気を遣われてばっかでさ。けど、こうやって外に出て普通に過ごすの……ちょっと嬉しかった」
鷹臣はちらりと横顔を見て、ゆっくり微笑んだ。
「……たまには、こういうのも悪くねぇな」
「うん……」
助手席の悠真は、ふわりとまどろみ始めた。静かな車内に心地よい寝息が広がっていた。
鷹臣はハンドルを握ったまま、そっと悠真の手に触れた。その指先のぬくもりが心に染み込んでいく。
……絶対に、この手を離さねぇ。サプライズでも誓いでも何度でも伝えてやる。
お前は、俺の宝物だって。
194
あなたにおすすめの小説
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
『アルファ拒食症』のオメガですが、運命の番に出会いました
小池 月
BL
大学一年の半田壱兎<はんだ いちと>は男性オメガ。壱兎は生涯ひとりを貫くことを決めた『アルファ拒食症』のバース性診断をうけている。
壱兎は過去に、オメガであるために男子の輪に入れず、女子からは異端として避けられ、孤独を経験している。
加えてベータ男子からの性的からかいを受けて不登校も経験した。そんな経緯から徹底してオメガ性を抑えベータとして生きる『アルファ拒食症』の道を選んだ。
大学に入り壱兎は初めてアルファと出会う。
そのアルファ男性が、壱兎とは違う学部の相川弘夢<あいかわ ひろむ>だった。壱兎と弘夢はすぐに仲良くなるが、弘夢のアルファフェロモンの影響で壱兎に発情期が来てしまう。そこから壱兎のオメガ性との向き合い、弘夢との関係への向き合いが始まるーー。
☆BLです。全年齢対応作品です☆
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる