若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの

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「伝わる愛」と「言えない誓い」

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「……誓いの言葉を自然に言うにはどうしたらいい?」

その朝。鷹臣は真顔で舎弟たちに聞いていた。

「自然に……ですか?」

「そうだ。練習じゃねぇ。ガチで本番に近づけたいがバレずに言いたい」

「……ムリでは?」

「いや、ムリじゃねぇ。俺ならできる」

「その根拠どこから来るんですか兄貴……」

舎弟たちは震える手でメモを取りながら頷いた。

「では、本日のテーマは……日常に溶け込ませたサプライズ誓いの言葉!」

「回を追うごとにイベントの名前が高度になっていく……!」

「これを制する者が愛を制す!」

「誰が言った!?それ!!」

***

リビングでは悠真がソファーで雑誌をパラパラとめくっていた。

「へぇ最近の結婚式って指輪じゃなくてネックレス渡すパターンもあるんだな」

「お前には似合わねぇ。指輪の方がいい」

「え、俺……?なんで?」

「細い指してんだ……いや、なんでもねぇ」

「今、なんか言いかけたよな?」

「言ってねぇ」

あっぶね……。ガチで危なかった。第3段階の誓い「お前の指にしか合わない」が口から出かけてた。

***

その日の夕食。

鷹臣が皿を差し出しながら、ぼそりと呟いた。

「……これからの人生、毎日お前の髪の毛を乾かしてやってもいいと思った」

「え、なにその急な献身発言こわっ」

「一生、飽きねぇって意味だ」

「なにそれ……やば。でもなんかちょっと照れる……」

よし、第2段階「飽きない未来」……自然に入れられた。

相変わらず廊下で盗み聞きをしていた舎弟たちは見事な滑り出しにガッツポーズをした。

「兄貴、今日キレてる……!」

「今のは完全にプロ誓い……!」

「違う意味でプロフェッショナル……!」

***

そして夜。
寝室に入ると悠真がぽつりと呟いた。

「なあ、最近のお前……ちょっと優しすぎない?」

「そうか?」

鷹臣はふっと微笑んだ。

「お前にただいまって言われる場所、ずっと守りてぇって思ってるだけだ」

「……っ」

悠真の顔が赤く染まった。

「……お前さ、なんか……最近、言葉がいちいち重い」

「誓いの言葉の練習してるからな」

「ん?今、なんて?」

「反省の練習って言ったんだよ」

「ぜってぇ嘘だろ!!」

「ほら寝ろ。明日もお前の寝顔見るために早起きすっから」

「……バカ」

布団に入った悠真は顔を枕にうずめながら小さく笑った。なんかよくわかんねぇけど……あいつの優しさ、ずるいくらいに甘くて、あったかい。

……こういうの誓いとか言わなくても、ちゃんと伝わってんだろうな。

***

その頃、別室で舎弟たちは今日の反省会中だった。

「……もう兄貴の誓いの言葉、5回は入ってたよな」

「入ってたとかとか全部。ズルいわ~」

「悠真さん気づいてないけど、あれもうプロポーズ超えて愛の連打だよな」

「ていうか……もういっそ、ちゃんと言ってあげてもいいのに」

そのとき背後のドアがスッと開き鷹臣が立っていた。

「言うタイミングは……全部、俺が決める」

「ヒィ……!」

「そのために完璧な日を作ってんだ。あんときは勢いで言っちまったからな……俺の全部を、あいつに渡す日を……」

静かにそう言って鷹臣は部屋を出ていった。
その背中を見ながら舎弟たちは全員、心の中でそっと呟いた。

「……兄貴、マジで本物だわ」

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