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一人残されたエリーネは、自身を落ち着かせるように深く呼吸をした後、覚悟を決めてノルトの方へと足を向けた。
「ノルト様」
エリーネが声をかけると、ノルトは足を止めてエリーネに目を向ける。
「昨日は素敵なお食事をありがとうございました」
「…こちらこそ、充実した時間だった」
「今日は生徒会のお仕事ですか?」
「ああ、エリーネ嬢はもう帰るところか?」
「ええ、先程まで友人と話しておりまして。これから帰宅するところです」
「そうか…」
会話が途切れて、ノルトは何かを考えるように顎に手を当てる。
「エリーネ嬢は、明日何か用事があるだろうか」
「学園はお休みですし、特にはございませんが…」
「それでは、明日また…その…貴女が良ければなのだが―――」
「ノルト様っ!」
ノルトの言葉を遮って、彼を呼ぶ大きな声が辺りに響いた。
「ベルティーナ嬢か」
「ふふ、ノルト様をお見掛けして、つい追いかけてきてしまいました」
駆け寄ってきたベルティーナが、2人の間に割り込むようにして体をノルトに近付ける。
その勢いに、エリーネは思わず一歩退いた。
ベルテーナを纏う甘い香りが、エリーネの鼻をくすぐる。
「生徒会室まで行かれるのですか?でしたら、途中までご一緒させてください」
「…いや、今はエリーネ嬢と少し話をしていた」
「え?あぁ、エリーネ様。ごきげんよう」
「…ごきげんよう、ベルティーナ様」
まるでたった今エリーネの存在に気付いたかのような物言いに、遣り切れない感情が沸き上がる。
「ご紹介いただいた本、とても勉強になりましたわ」
「それは良かった」
「特にこの部分なんですけれど…」
べルティーナは持っていた本を開き、中身を指差しながらノルトに肩を寄せる。
手が触れ合うほどの距離で並ぶ二人を前に、エリーネは込み上げてくるものを耐えるために、ぐっと手に力を籠める。
「よく励んでいるようだな」
「光栄ですわ。それで、次の試験に向けて、またご教授頂けたらと思うのですが」
「それは…」
ベルティーナの誘いに、ノルトは困ったように言葉を濁す。
その様子を見て、ベルティーナは「あっ」と声をあげ、あからさまに申し訳なさそうな表情をエリーネに向けた。
「申し訳ございません。婚約者であるエリーネ様の前でするお話ではありませんでしたね」
「私は、その…」
二人で会うのは嫌だと、はっきり言えなかった。
ノルトの行動を制限することなんて、していいわけがない。
とはいえ、明確に許しの言葉を口にすることは、エリーネの心が許さなかった。
そんなエリーネの心境を知ってか知らぬか、べルティーナはくすっと笑う。
「そういえば、エリーネ様ってそのようなお化粧もなさるんですね」
思いがけない言葉に、エリーネは驚いて顔を上げる。
「でも…フフッ…控えた方がいいと思いますよ。まるで、子どもが母親の真似事をしているみたいですもの」
カァッと、エリーネの顔が赤くなる。
思わず手の甲で口元を拭うと、赤い口紅が頬に広がった。
あらあらと、ベルティーナは意地の悪い笑みを浮かべて笑う。
―――恥ずかしい。
激しい羞恥心に苛まれる。
不相応だとわかっていたのに、少しでも彼の目を引けるならと、夢を見てしまった。
この人に奪われたくないと、思ってしまった。
笑うべルティーナと今にも泣きだしそうなエリーネを見て、その異質な空気感を打ち破るように、ノルトが口を開いた。
「…べルティーナ嬢、私は女性の化粧には詳しくないが、エリーネ嬢に何か問題があっただろうか」
その声は、微かに怒りを含んでいるように感じられた。
ベルティーナはびくっと肩を震わせた後、慌てて笑顔を作る。
「問題ではありませんわ。えぇと…そう!助言です!」
「助言とは、相手のことを思ってするものだ。今の言い方には明確な悪意を感じたが」
「あ、悪意などありません!だってほら、ノルト様も思いませんか?こういう化粧は、色気のある女性にこそ似合うのです!」
「…彼女には似合わない、と?」
「そうですわ!だって、こんな冴えない顔、美しくない―――」
「エリーネは美しい」
ノルトのその一言で、辺りが静まり返る。
信じられないとばかりに目を丸くするべルティーナを、ノルトの鋭い眼光が睨みつける。
「これ以上私の大切な婚約者を侮辱するようなら、私も容赦はしない」
徐々にべルティーナの表情が歪み、悔しそうに声を漏らす。
ノルトとの距離を二、三歩取った後、持っていた本を床に投げつけた。
「はぁ!?なにそれ、王子様気取り!?うざいんだけど!」
豹変したべルティーナの様子に思わずエリーネが身構えると、それを庇うようにしてノルトが前に立った。
「あんただってどうせ私に下心あったくせに!」
「そんなものは最初からない」
「勉強なんて口実で、私に会いたかったんでしょ!」
「生徒のサポートをするは、生徒会員の義務だ」
「じゃあ、私には何の興味もなかったわけ!?」
「私が興味あるのは、エリーネだけだ」
何の躊躇いもなくそう言ったノルトに、ベルティーナは何も返せずに俯いて唇を嚙み締める。
二人にも聞こえるように舌打ちをした後、ノルトをキッと睨みつけた。
「あんたなんか顔がいいだけのつまんない男のくせに!二度と話しかけないで!」
そう怒鳴った後、べルティーナは二人に背を向け、大きな足音を鳴らしながら去っていった。
やがて彼女の姿が見えなくなると、はぁ、とノルトが小さく溜め息をつく。
「彼女が改心すれば少しは学園の風紀も良くなると思ったが…そううまくは行かないな」
呆れたように呟いた後、エリーネの方へ振り返る。
ポケットからハンカチを出して、困惑したままのエリーネの頬を優しく拭った。
「の、ノルト様のハンカチが汚れてしまいます…」
「気にしなくていい」
エリーネの右手を包むように持ち上げ、その甲についた口紅も拭き取る。
ノルトの触れる手が熱を帯び、エリーネは恥ずかしさから思わず顔を逸らした。
「…貴女を傷つけてしまい、申し訳なかった」
「ノルト様が謝ることではありません!その…かばってくださって、嬉しかったです」
ノルトの言ったことが例えその場しのぎの言葉だったとしても、彼が守ってくれたということがエリーネの心を満たしてくれた。
「…実は、ノルト様がべルティーナ様と一緒にいるのを、何度かお見かけしておりました」
「そうだったのか」
「それで、その…嫉妬、していたのです」
「嫉妬を?貴女が?」
コクンと、エリーネが小さく頷く。
「べルティーナ様のように美しくなれば、ノルト様が私を見てくれるのではないかと思ってしまったのです」
気落ちした様子でそう言ったエリーネを見て、ノルトは何かに気付いたように「あぁ」と声を漏らした。
「もしや、それで昨晩はあのようなドレスを…?」
「…恥ずかしながら、その通りです」
ノルトは申し訳なさそうに眉を寄せ、エリーネの手をそっと離した。
「すまない、着飾った貴女を見て、私は何も言えなかった。その―――貴女が、あまりにも綺麗だったから」
「…え?」
思いがけず、素っ頓狂な声がエリーネから漏れる。
顔を赤くしたノルトは、それを隠すかのように片手で自身の口元を覆い、ふいと横を向いた。
「わ、私、そのように思っていただけていたなんて、まったく…」
「何も言わなかった私が悪いのだ」
「…でも、少し安心いたしました。ランヴァール伯爵様に選んでいただいたんですもの。少しでもノルト様に相応しい女性にならなければ」
「いや、それは…」
何かを言いかけて口を噤んだノルトに、エリーネが不思議そうに首を傾げる。
ノルトは気まずそうに顔を顰めた後、観念したのか、深く呼吸をして口を開いた。
「ノルト様」
エリーネが声をかけると、ノルトは足を止めてエリーネに目を向ける。
「昨日は素敵なお食事をありがとうございました」
「…こちらこそ、充実した時間だった」
「今日は生徒会のお仕事ですか?」
「ああ、エリーネ嬢はもう帰るところか?」
「ええ、先程まで友人と話しておりまして。これから帰宅するところです」
「そうか…」
会話が途切れて、ノルトは何かを考えるように顎に手を当てる。
「エリーネ嬢は、明日何か用事があるだろうか」
「学園はお休みですし、特にはございませんが…」
「それでは、明日また…その…貴女が良ければなのだが―――」
「ノルト様っ!」
ノルトの言葉を遮って、彼を呼ぶ大きな声が辺りに響いた。
「ベルティーナ嬢か」
「ふふ、ノルト様をお見掛けして、つい追いかけてきてしまいました」
駆け寄ってきたベルティーナが、2人の間に割り込むようにして体をノルトに近付ける。
その勢いに、エリーネは思わず一歩退いた。
ベルテーナを纏う甘い香りが、エリーネの鼻をくすぐる。
「生徒会室まで行かれるのですか?でしたら、途中までご一緒させてください」
「…いや、今はエリーネ嬢と少し話をしていた」
「え?あぁ、エリーネ様。ごきげんよう」
「…ごきげんよう、ベルティーナ様」
まるでたった今エリーネの存在に気付いたかのような物言いに、遣り切れない感情が沸き上がる。
「ご紹介いただいた本、とても勉強になりましたわ」
「それは良かった」
「特にこの部分なんですけれど…」
べルティーナは持っていた本を開き、中身を指差しながらノルトに肩を寄せる。
手が触れ合うほどの距離で並ぶ二人を前に、エリーネは込み上げてくるものを耐えるために、ぐっと手に力を籠める。
「よく励んでいるようだな」
「光栄ですわ。それで、次の試験に向けて、またご教授頂けたらと思うのですが」
「それは…」
ベルティーナの誘いに、ノルトは困ったように言葉を濁す。
その様子を見て、ベルティーナは「あっ」と声をあげ、あからさまに申し訳なさそうな表情をエリーネに向けた。
「申し訳ございません。婚約者であるエリーネ様の前でするお話ではありませんでしたね」
「私は、その…」
二人で会うのは嫌だと、はっきり言えなかった。
ノルトの行動を制限することなんて、していいわけがない。
とはいえ、明確に許しの言葉を口にすることは、エリーネの心が許さなかった。
そんなエリーネの心境を知ってか知らぬか、べルティーナはくすっと笑う。
「そういえば、エリーネ様ってそのようなお化粧もなさるんですね」
思いがけない言葉に、エリーネは驚いて顔を上げる。
「でも…フフッ…控えた方がいいと思いますよ。まるで、子どもが母親の真似事をしているみたいですもの」
カァッと、エリーネの顔が赤くなる。
思わず手の甲で口元を拭うと、赤い口紅が頬に広がった。
あらあらと、ベルティーナは意地の悪い笑みを浮かべて笑う。
―――恥ずかしい。
激しい羞恥心に苛まれる。
不相応だとわかっていたのに、少しでも彼の目を引けるならと、夢を見てしまった。
この人に奪われたくないと、思ってしまった。
笑うべルティーナと今にも泣きだしそうなエリーネを見て、その異質な空気感を打ち破るように、ノルトが口を開いた。
「…べルティーナ嬢、私は女性の化粧には詳しくないが、エリーネ嬢に何か問題があっただろうか」
その声は、微かに怒りを含んでいるように感じられた。
ベルティーナはびくっと肩を震わせた後、慌てて笑顔を作る。
「問題ではありませんわ。えぇと…そう!助言です!」
「助言とは、相手のことを思ってするものだ。今の言い方には明確な悪意を感じたが」
「あ、悪意などありません!だってほら、ノルト様も思いませんか?こういう化粧は、色気のある女性にこそ似合うのです!」
「…彼女には似合わない、と?」
「そうですわ!だって、こんな冴えない顔、美しくない―――」
「エリーネは美しい」
ノルトのその一言で、辺りが静まり返る。
信じられないとばかりに目を丸くするべルティーナを、ノルトの鋭い眼光が睨みつける。
「これ以上私の大切な婚約者を侮辱するようなら、私も容赦はしない」
徐々にべルティーナの表情が歪み、悔しそうに声を漏らす。
ノルトとの距離を二、三歩取った後、持っていた本を床に投げつけた。
「はぁ!?なにそれ、王子様気取り!?うざいんだけど!」
豹変したべルティーナの様子に思わずエリーネが身構えると、それを庇うようにしてノルトが前に立った。
「あんただってどうせ私に下心あったくせに!」
「そんなものは最初からない」
「勉強なんて口実で、私に会いたかったんでしょ!」
「生徒のサポートをするは、生徒会員の義務だ」
「じゃあ、私には何の興味もなかったわけ!?」
「私が興味あるのは、エリーネだけだ」
何の躊躇いもなくそう言ったノルトに、ベルティーナは何も返せずに俯いて唇を嚙み締める。
二人にも聞こえるように舌打ちをした後、ノルトをキッと睨みつけた。
「あんたなんか顔がいいだけのつまんない男のくせに!二度と話しかけないで!」
そう怒鳴った後、べルティーナは二人に背を向け、大きな足音を鳴らしながら去っていった。
やがて彼女の姿が見えなくなると、はぁ、とノルトが小さく溜め息をつく。
「彼女が改心すれば少しは学園の風紀も良くなると思ったが…そううまくは行かないな」
呆れたように呟いた後、エリーネの方へ振り返る。
ポケットからハンカチを出して、困惑したままのエリーネの頬を優しく拭った。
「の、ノルト様のハンカチが汚れてしまいます…」
「気にしなくていい」
エリーネの右手を包むように持ち上げ、その甲についた口紅も拭き取る。
ノルトの触れる手が熱を帯び、エリーネは恥ずかしさから思わず顔を逸らした。
「…貴女を傷つけてしまい、申し訳なかった」
「ノルト様が謝ることではありません!その…かばってくださって、嬉しかったです」
ノルトの言ったことが例えその場しのぎの言葉だったとしても、彼が守ってくれたということがエリーネの心を満たしてくれた。
「…実は、ノルト様がべルティーナ様と一緒にいるのを、何度かお見かけしておりました」
「そうだったのか」
「それで、その…嫉妬、していたのです」
「嫉妬を?貴女が?」
コクンと、エリーネが小さく頷く。
「べルティーナ様のように美しくなれば、ノルト様が私を見てくれるのではないかと思ってしまったのです」
気落ちした様子でそう言ったエリーネを見て、ノルトは何かに気付いたように「あぁ」と声を漏らした。
「もしや、それで昨晩はあのようなドレスを…?」
「…恥ずかしながら、その通りです」
ノルトは申し訳なさそうに眉を寄せ、エリーネの手をそっと離した。
「すまない、着飾った貴女を見て、私は何も言えなかった。その―――貴女が、あまりにも綺麗だったから」
「…え?」
思いがけず、素っ頓狂な声がエリーネから漏れる。
顔を赤くしたノルトは、それを隠すかのように片手で自身の口元を覆い、ふいと横を向いた。
「わ、私、そのように思っていただけていたなんて、まったく…」
「何も言わなかった私が悪いのだ」
「…でも、少し安心いたしました。ランヴァール伯爵様に選んでいただいたんですもの。少しでもノルト様に相応しい女性にならなければ」
「いや、それは…」
何かを言いかけて口を噤んだノルトに、エリーネが不思議そうに首を傾げる。
ノルトは気まずそうに顔を顰めた後、観念したのか、深く呼吸をして口を開いた。
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