異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。

佐々木サイ

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軍事編

第16話 遮断

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戦争は、情報戦でもある。

確かに軍事力も必要だ、だが情報網を遮断され孤立すれば、もはや勝ち目はない。




✳︎




「どうなっているのだっ!」



「別働隊に向けて放った斥候は全員帰って来ておりません。おそらく、敵に見つかり捕らえられたのだと思います。」



サラージア王国軍の本陣で、サラージア国王は焦っていた。いつまで経っても別働隊からの斥候がやって来ず、こちらが出した斥候も戻って来ない。



別働隊を派遣してからもうすぐ7日目、流石に遅すぎる。2万5000もの大軍を送っている以上、連絡が取れるまでこの場を離れるわけにはいかず、かといって攻撃するのは危険すぎる。そのため、じっとこの場で留まる選択をしたのだ。



そんなサラージア王国軍には、一つ深刻な問題があった。それは、食料だ。

今回の戦争に向けて用意したのは1万人が300日間耐えられるだけの食料だった。



しかし、王都を出た日から今日までに250日分を消費し、別働隊に25日分を渡したので残りは25日分しかない。

そして、サラージア王国軍本陣には現在5万の兵がいるので後5日で食料が尽きる計算だ。



もちろん対策として、近隣の村や町に食料を調達するように命じたが、そこはすでにもぬけの殻となっていた。しかも、食料などは一切残っておらず、調達はできなかった。小さな綻びは、やがて大きな損害に繋がる。



「報告しますっ!複数の部隊に分かれて10個ほどの村や町を回りましたが、1人も住民がいませんでした。」



「農民が1人もいないだと?そんな馬鹿な!農民など、畑で採れるだろうがっ!」



王は、その話がとても信じられなかった。

農民など、畑で採れるのではないかと疑うほどたくさんいるというイメージであった。そのため、調査部隊の怠慢だと勝手に判断していた。



それに対して、ソラーノ将軍の代わりに軍師を務める事となった男が正解を言い当てた。



「陛下、おそらくこれは兵糧攻めだと思われます。」



「兵糧攻めだと?」



「はい、我が軍の食料は、あと5日、頑張っても10日で無くなります。敵は付近の村や町を潰す事で我が軍を孤立させようとしていると思われます。」



実際、本陣にいる兵達の士気は下がる一方であった。歴戦の猛者と呼ばれたソラーノ将軍が戦死し、一度襲撃があったものの何もしないまま、すでに7日が経過したのだ。さらに、食料もだんだんと量が減らされ、不満はどんどん溜まっていった。



「なんだとっ!そんな事が・・・・・・だが、ライカ将軍の方はどうなっている。ハーンブルク軍は多くても1万だと聞く、2万5000で負けるはずがないだろう。」



「そちらの方は、おそらく道に迷ったのだと思います。」



「道に迷っただと?」



「はい、戦争で敵を全滅させるというのは非常に難しい事です。なので、敵にやられたのではなく、道に迷い斥候を送れなくなったと考えるのが妥当かと・・・・・・」



「そんな馬鹿な話があるかっ!」



「ですが、それ以外に連絡が途絶えるような要因はありません・・・・・・」



部下の意見は状況的にありそうな話であった。実際、過去の戦争で同じような事をした将軍がいたと聞いた事がある。

国王はしばらく考えたが名案が思いつかず、軍師に今後の方針を訪ねた。



「ならばどうするのだ。」



「はっ!私は、再び別働隊を派遣すべきだと思います。別働隊を送れば、ライカ将軍を捜索できる上、その分だけ食料問題に余裕ができるます。」



もちろん本当の目的は後者である。少ない食料を持たせて出撃させ、帰って来なければ撤退すればいいのだ。

もはや、捨て駒以外の何者でもない。国王も、今の状況を理解しており、その案を採用する事にした。



「なるほど、ならば誰が適任か?」



「ベルダルス殿が適任かと。」



「理由は?」



「あの者は、平民を優遇する政策を行おうとしている平民派の筆頭です。この辺で潰しておいた方が、後々得になるかと。」



「なるほど、いいだろう。ベルダルスに2万の兵をつける、今すぐ出撃しライカ将軍の捜索もしくは敵拠点の征圧をしろっ!」



「了解いたしました。ベルダルス殿を呼んで参ります。」



「うむ。」



サラージア王国の選択は、やがて自らの首を絞める事となる。




✳︎




敵の別働隊およそ2万5000をナパーム弾で全滅させてから6日後、ついにサラージア王国軍に動きがあった。



「報告いたします。サラージア王国は、再び別働隊およそ2万を派遣しました。」



俺たちは、再び先ほどと同じ敵の本陣が見える丘にやってくると、我慢比べをしていた。

別働隊が出撃した情報はすぐに俺の耳に届いた。

ちなみにナパーム弾を食らった別働隊の第一陣の生き残りはわずか100名ほどであった。

生き残った者たちの内の半分は魔力持ちであり、彼らは全員捕虜としてドレスデンに送られた。捕虜の中に指揮官に該当する者はおらず、おそらく戦後は強制労働が待っているだろう。



話を戻して別働隊の第二陣の方も、すぐに発見した。しかし、この部隊には少し違和感があった。



「敵の補給部隊の数を確認しろ。妙に少ない気がする。」



「確認します・・・・・・そうですね、敵の食料は2日分も無いと思われます。」



「やっぱり。」



【おそらく敵の食料が枯渇寸前なのでしょう。そこで、味方の兵数を減らし、食料の消費を減らす事が目的でしょう。倫理的には問題ですが、軍を維持しつつ敵を攻撃できるという点では上策だと思います。】



でも食料が2日分しかないなら何もしなくても勝てるんじゃ・・・・・・



【負ける事は無いでしょうが、勝つ以上に有効的な使い道があります。味方に引き入れ、食料の供給を条件にサラージア王国と停戦交渉のテーブルを用意してもらうべきです。】



でも味方にならないんじゃ。



【別働隊のリーダーとて、自分達が捨て駒にされた事には気づいているでしょう。忠誠心があまりない人物であれば、十分可能です。仮に断られたとしても、降伏勧告などの橋渡し役になります。】



わかった。

なら今すぐ話し合いの席を設けるべきだな。

俺は、部下に紙とペンを用意させると、ささっと内容を書き、これを渡すように命じた。



「別働隊のリーダーをこちら側に引き入れようと思う。この手紙を別働隊のリーダーに送ってくれ。」



「今こちらに向かっている別働隊のですか?」



「あぁ、上手くいけば敵に大ダメージを与える事ができるかも知れん。」



「了解致しました。」




俺は、別働隊の第二陣の2日分の食料を譲渡する事を条件に、別働隊のリーダーを引っ張り出す事に成功した。

そして次の日、お供を5人ほど連れた1人の男が、ハーンブルク軍の仮拠点を訪れた。

勝負はここからだ。




____________________________________________________



どうでもいい話

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