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第5章 教会再生とアイドル作戦
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境内に入った瞬間、私はため息をついた。
石畳はひび割れ、壁は雨で黒ずみ、子どもたちが練習している歌声はやけに寂しげに響いている。
「……ここで人を集めるなんて無理でしょ」
でも、私は手を叩いて子どもたちの前に立った。
「今日から――“教会アイドルグループ”を結成します!」
ぽかんとする孤児たち。
下位貴族や司祭は眉をひそめて「信仰を軽んじるのか」とざわついた。
けれど、美形で歌の上手い子を数人前に出して、白布で即席の衣装を整えてやると、子どもたちはきらきらと目を輝かせた。
「わたしたちが……アイドル?」
「歌って踊るんだね!」
そうして迎えた祭り当日。
境内の中央に簡易舞台が組まれ、周囲には領民がぞろぞろと集まっていた。
屋台の湯気が漂い、子どもを肩車する父親、腕を組む母親……期待と不安の入り混じった視線が舞台に注がれる。
最初の一音が響いた瞬間、ざわめきが走った。
「……今までの賛美歌と違う?」
テンポは軽快、リズムは足を踏み鳴らしたくなる。
前世の記憶で知っていた有名曲を、神様や女神様の名前に差し替えただけ――なのに。
子どもたちの声が揃った瞬間、観客の空気が変わった。
最初に戸惑っていた下位貴族の誰かが手を叩くと、波のように拍手が広がっていく。
「す、素晴らしい賛美歌を……!」
「まるで新しい祈りの形だ!」
(いや、ただの替え歌なんだけど!?)
頭を抱えそうになったけど、横のグレーテはうっとりと微笑んでいた。
「お嬢様は流行を作られるのですね。素晴らしいことです」
私は口をあんぐり開けたまま固まるしかなかった。
その脇で、炊き出しも始まっていた。
大鍋に野菜の切れ端が投げ込まれ、ぐつぐつ煮立つスープ。
「野菜の端なんて……」と並んでいた平民たちが顔をしかめていたから、私は急いで口を挟んだ。
「リメイクですよ! 出汁を足して、ちょっと煮込み方を工夫すればもっと美味しくなるんです!」
調味料を足し、火加減を調整。
前世で覚えた庶民派レシピを駆使すると、あっという間にコクのある香りが広がった。
「……おいしい!」
「切れ端でもこんな味になるのか!」
笑顔があちこちに広がっていく。
祖父ディートフリートは大笑いしながら手を叩き、
「さすがはエレオノーラだ!」と胸を張った。
リヒャルトは横で小声で囁いた。
「お嬢様……歌を広めるのは本来、上位貴族の嗜み。作曲して広めるのは、自らの権勢を示すことなのです」
「……え、そんな重い意味あったの?」
(替え歌一発で、領主家の影響力アピールになっちゃうとか……どんなファンタジー世界だよ!?)
私は心の中で叫びながらも、舞台で笑顔を振りまく子どもたちを見上げた。
観客の頬が緩み、寄付箱には次々と硬貨が落ちていく。
――こうして、「教会アイドル作戦」は大成功を収めたのだった。
石畳はひび割れ、壁は雨で黒ずみ、子どもたちが練習している歌声はやけに寂しげに響いている。
「……ここで人を集めるなんて無理でしょ」
でも、私は手を叩いて子どもたちの前に立った。
「今日から――“教会アイドルグループ”を結成します!」
ぽかんとする孤児たち。
下位貴族や司祭は眉をひそめて「信仰を軽んじるのか」とざわついた。
けれど、美形で歌の上手い子を数人前に出して、白布で即席の衣装を整えてやると、子どもたちはきらきらと目を輝かせた。
「わたしたちが……アイドル?」
「歌って踊るんだね!」
そうして迎えた祭り当日。
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屋台の湯気が漂い、子どもを肩車する父親、腕を組む母親……期待と不安の入り混じった視線が舞台に注がれる。
最初の一音が響いた瞬間、ざわめきが走った。
「……今までの賛美歌と違う?」
テンポは軽快、リズムは足を踏み鳴らしたくなる。
前世の記憶で知っていた有名曲を、神様や女神様の名前に差し替えただけ――なのに。
子どもたちの声が揃った瞬間、観客の空気が変わった。
最初に戸惑っていた下位貴族の誰かが手を叩くと、波のように拍手が広がっていく。
「す、素晴らしい賛美歌を……!」
「まるで新しい祈りの形だ!」
(いや、ただの替え歌なんだけど!?)
頭を抱えそうになったけど、横のグレーテはうっとりと微笑んでいた。
「お嬢様は流行を作られるのですね。素晴らしいことです」
私は口をあんぐり開けたまま固まるしかなかった。
その脇で、炊き出しも始まっていた。
大鍋に野菜の切れ端が投げ込まれ、ぐつぐつ煮立つスープ。
「野菜の端なんて……」と並んでいた平民たちが顔をしかめていたから、私は急いで口を挟んだ。
「リメイクですよ! 出汁を足して、ちょっと煮込み方を工夫すればもっと美味しくなるんです!」
調味料を足し、火加減を調整。
前世で覚えた庶民派レシピを駆使すると、あっという間にコクのある香りが広がった。
「……おいしい!」
「切れ端でもこんな味になるのか!」
笑顔があちこちに広がっていく。
祖父ディートフリートは大笑いしながら手を叩き、
「さすがはエレオノーラだ!」と胸を張った。
リヒャルトは横で小声で囁いた。
「お嬢様……歌を広めるのは本来、上位貴族の嗜み。作曲して広めるのは、自らの権勢を示すことなのです」
「……え、そんな重い意味あったの?」
(替え歌一発で、領主家の影響力アピールになっちゃうとか……どんなファンタジー世界だよ!?)
私は心の中で叫びながらも、舞台で笑顔を振りまく子どもたちを見上げた。
観客の頬が緩み、寄付箱には次々と硬貨が落ちていく。
――こうして、「教会アイドル作戦」は大成功を収めたのだった。
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