没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊

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第10章 大蛇襲来

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「……これでもう一人、解決だね!」

翼を広げた自分を見下ろしながら、私は震える声で宣言した。

「出撃します。……行ける?ヴィルヘルム?」

振り返ると、ヴィルヘルムは一切の迷いなく、まっすぐに頷いた。

「神に誓っている」

その瞬間――私の手の甲と、ヴィルヘルムの額に、淡い光を帯びたアイリスの紋様が浮かび上がる。
それは彼の左手側の忠誠を示すしるし。
周囲の騎士たちが一斉に息を呑んだ。

「……忠誠の証だ」

誰かの囁きが、空気を震わせる。

だがヴィルヘルムは動じず、ただ瞳を燃やして言い切った。

「主と共に」

――重い。重すぎる。けど……頼もしい。

私はもう一人、信頼すべき存在に視線を向けた。

「リヒャルト。領都側をお願いします」

彼は一拍置いて、やわらかく微笑んだ。

「承知いたしました」

そう言うと、私の右手を取って、その甲に静かに額を当てた。

「神に誓いましょう、主と共にあることを」

(い、今!?……今ここでやるの!?)

心の中で叫んだが、貴族教育の賜物だ。
顔には出さず、私は静かに微笑んで忠誠を受け止めた。

……リヒャルトまで、さらりと重たい儀をするなんて。

けれど、ふと気づく。
――文官は“杖腕”の右手、武官は“剣腕”の左手。
ヴィルヘルムとリヒャルト、二人はそれぞれ象徴的な手で忠誠を誓ってくれたのだ。

胸の奥がぎゅっと熱くなる。

「……ありがとう、リヒャルト」

彼は軽く笑って、私を送り出すように一歩下がった。


空。
ミニドラゴンの背に跨るヴィルヘルムとシンシア、そして神具の翼で浮かぶ私。
三方向から、大蛇の三つの頭を狙う。

「エレオノーラ様にタイミングを合わせます」

ヴィルヘルムの鋭い声が飛ぶ。

(空飛んでるのに……なんで攻撃方法が剣に魔力込めて“斬首”なの……!?もっとこう、夢ある攻撃方法ないの!?)

内心でぼやきながらも、私も剣に魔力を込める。
地上では鉄砲隊と騎馬隊が必死に大蛇を引き離し、隙を作ってくれていた。

「今だ!」

三人の剣が一斉に閃いた。
空を裂く光とともに、大蛇の三つの首が同時に落ちる。

地響きのような咆哮が途絶え、重い巨体が崩れ落ちた。
領都を覆っていた恐怖が、静寂と歓喜に変わっていく。

(……終わった……!)

胸を押さえ、私は深く息を吐いた。
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