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第1章 序列二十位と模擬戦
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奉納模擬戦――神々への奉納として、学生たちが領地の旗を掲げて戦う。
奪い合うのは神具の象徴とされる大杖。聖書の挿絵に描かれるような、大ぶりで装飾の多いものだ。とはいえ、演習用なので、壊しても構わない。
「参加は武官課程が中心ですが、希望があれば文官も可能です」
学院の役人が声を張り上げた。
観客席からざわめきが広がる。文官がわざわざ前に出ることなど滅多にない。
だが私は、魔導銃を肩にかけて立っていた。
父から申請されていた「魔導銃持ち込み」は、正式に許可が下りている。
ただし大規模魔法の使用は禁止。会場全体を巻き込む攻撃は神意を乱すからだという宗教的な話と、他領地にこの武器は大したことがないと知らしめるのを目的に奉納模擬戦に持ち込んだから。
下位領地が国家転覆のために開発したわけてはない、たくさん持ってても多数の上位騎士を抱える大領地には無害だよを示す意味合いがある。
「長い……」
銃を持ち上げて、思わず呟いた。
文官向けの小ぶりな銃ではなく、鈍器としても使える長銃身のもの。
ずしりとした重みが腕に食い込む。
「けれど……これなら」
私は深呼吸し、地図を広げて仲間たちを見渡した。
「平原での大規模戦は、二十位の私たちでは勝ち目がありません。ですから……森に潜みましょう」
「森に、でございますか?」
クラベルが目を丸くする。
「はい。正面からは勝てません。けれど陰に隠れれば機動力が活きます。狙い撃ちして、数を削っていくのです」
「……なるほど」
ソフィは小声で頷き、素早く計算を書きつけた。
「時間稼ぎは可能かと存じます。弾薬も十分にございます」
クラベルが拳を握った。
「承知いたしました! 出たり引っ込んだりするのは得意でございます!」
私はうなずき、銃を握り直した。
演習場の森は湿った匂いが立ち込めていた。
葉の影に身を潜めると、外の光と歓声が遠ざかっていく。
「敵が参ります!」
クラベルが剣を構え、前へ飛び出す。
弾丸が放たれ、鋭い光が敵陣に走った。
驚いたように隊列が崩れる。
「今です!」
私が合図を出し、ソフィの指示で次の小隊が飛び出した。
銃床で盾を叩きつけ、敵を転ばせる。
小競り合いの末、神具の杖をひとつ奪い取ることに成功した。
観客席がざわめいた。
「二十位が……!」
「あり得ない……!」
声が耳に届く。
胸が高鳴る。
(やれる……! 知恵を尽くせば、二十位でも!)
奪った杖を抱えて退却する私たち。
森の奥へと走り込み、敵を翻弄する。
だが――その先に、赤い旗が見えた。
堂々とした隊列。
鍛えられた兵士の動き。
ひときわ鮮やかな赤髪が、先頭に立っていた。
「……ローザリア」
序列一位、ローザリア領。
そして、その指揮を執るのは――
(あの少年……!)
私の視線と、赤い瞳が交錯する。
アレクシス・ローザリア。
圧倒的な存在感が、森の空気を震わせた。
奪い合うのは神具の象徴とされる大杖。聖書の挿絵に描かれるような、大ぶりで装飾の多いものだ。とはいえ、演習用なので、壊しても構わない。
「参加は武官課程が中心ですが、希望があれば文官も可能です」
学院の役人が声を張り上げた。
観客席からざわめきが広がる。文官がわざわざ前に出ることなど滅多にない。
だが私は、魔導銃を肩にかけて立っていた。
父から申請されていた「魔導銃持ち込み」は、正式に許可が下りている。
ただし大規模魔法の使用は禁止。会場全体を巻き込む攻撃は神意を乱すからだという宗教的な話と、他領地にこの武器は大したことがないと知らしめるのを目的に奉納模擬戦に持ち込んだから。
下位領地が国家転覆のために開発したわけてはない、たくさん持ってても多数の上位騎士を抱える大領地には無害だよを示す意味合いがある。
「長い……」
銃を持ち上げて、思わず呟いた。
文官向けの小ぶりな銃ではなく、鈍器としても使える長銃身のもの。
ずしりとした重みが腕に食い込む。
「けれど……これなら」
私は深呼吸し、地図を広げて仲間たちを見渡した。
「平原での大規模戦は、二十位の私たちでは勝ち目がありません。ですから……森に潜みましょう」
「森に、でございますか?」
クラベルが目を丸くする。
「はい。正面からは勝てません。けれど陰に隠れれば機動力が活きます。狙い撃ちして、数を削っていくのです」
「……なるほど」
ソフィは小声で頷き、素早く計算を書きつけた。
「時間稼ぎは可能かと存じます。弾薬も十分にございます」
クラベルが拳を握った。
「承知いたしました! 出たり引っ込んだりするのは得意でございます!」
私はうなずき、銃を握り直した。
演習場の森は湿った匂いが立ち込めていた。
葉の影に身を潜めると、外の光と歓声が遠ざかっていく。
「敵が参ります!」
クラベルが剣を構え、前へ飛び出す。
弾丸が放たれ、鋭い光が敵陣に走った。
驚いたように隊列が崩れる。
「今です!」
私が合図を出し、ソフィの指示で次の小隊が飛び出した。
銃床で盾を叩きつけ、敵を転ばせる。
小競り合いの末、神具の杖をひとつ奪い取ることに成功した。
観客席がざわめいた。
「二十位が……!」
「あり得ない……!」
声が耳に届く。
胸が高鳴る。
(やれる……! 知恵を尽くせば、二十位でも!)
奪った杖を抱えて退却する私たち。
森の奥へと走り込み、敵を翻弄する。
だが――その先に、赤い旗が見えた。
堂々とした隊列。
鍛えられた兵士の動き。
ひときわ鮮やかな赤髪が、先頭に立っていた。
「……ローザリア」
序列一位、ローザリア領。
そして、その指揮を執るのは――
(あの少年……!)
私の視線と、赤い瞳が交錯する。
アレクシス・ローザリア。
圧倒的な存在感が、森の空気を震わせた。
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