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第1章 序列二十位と模擬戦
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ローザリア領の旗を見つける少し前のこと。
森を歩いていると、鼻をつく焦げ臭さが漂ってきた。
開けたところをみれば、地面は黒く抉れ、折れた盾や槍が散乱している。
安全のための魔法が働くと聞いてはいても、ヒヤリとする光景だ。
「……これは」
ソフィが息を呑む。
「戦闘の痕跡でございます。つい先ほどまで……」
足元には、魔力で焼け焦げた土。剣で斬られた木々が鋭く物語っていた。
ただの小競り合いではない。領地同士がぶつかった痕だ。
「ローザリアが通ったのですわ」
イザベラの側近シンシアが小声で告げる。
ローザリア領は放送によると、既に七つの領地を撃破していた。そのうち四つは十位以内の上位領地。
堂々たる旗頭の進軍に、誰ひとり抗えなかった証がここにあった。
「……まるで戦場そのもの」
模擬戦だから威力は加減されてるはずなのに、それでも惨憺たる有様を見て、私は銃を握りしめた。
進む先に、赤い旗が翻った。
整然とした隊列。鉄壁の防御。
その中央に、赤い髪を光らせた少年がいた。
アレクシス・ローザリア。
序列一位の領地を率いる領主一族。その姿は、ただ立っているだけで空気を支配していた。
「来たな、アイリシア」
赤い瞳がこちらを見据える。
背筋に冷たいものが走った。
「……散開」
私は短く指示を出す。
クラベルが前に、ソフィが後ろに回る。シンシアは指揮補佐に回り、森の影で全体を見渡す。
正面からでは勝てない。
陽動と奇襲しか道はない。
私は息を吸い込み、風の神具に魔力を込めた。
背中に半透明の翼が生え、身体が宙へと浮かび上がる。
(空から――殴り込む!)
ローザリアの学生が気付いてざわめいた。だが遅い。
私は一気に降下し、狙いを大杖へと定めた。
杖の周囲には、淡い光の防御障壁。あれでは、魔法では突破できない。
ならば――
「はぁぁっ!」
銃床を振り下ろす。
金属が防御を叩き割り、鈍い音が響いた。
障壁がひび割れ、杖が軋む。
「……っ」
ローザリアの神具に傷を付けたのだ。
その瞬間、アレクシスが笑った。
「ははははっ!」
爆笑が響く。
「そうか!そんな手があったか!」
赤い瞳が爛々と輝き、まるで獲物を見つけた獅子のように牙を剥いた。
根っからのファンタジー世界の騎士では――杖を壊すのに魔法以外を使う発想など、なかったのだろう。
けれど今、目の前で杖を砕かれかけ、逆に心を震わせている。
「面白い! もっと見せてみろ、アイリシア!」
その声に、胸が強く打ち鳴った。
(……この人は、笑いながら本気で戦うんだ……!)
圧倒的な一位との激突。
その幕が切って落とされた。
森を歩いていると、鼻をつく焦げ臭さが漂ってきた。
開けたところをみれば、地面は黒く抉れ、折れた盾や槍が散乱している。
安全のための魔法が働くと聞いてはいても、ヒヤリとする光景だ。
「……これは」
ソフィが息を呑む。
「戦闘の痕跡でございます。つい先ほどまで……」
足元には、魔力で焼け焦げた土。剣で斬られた木々が鋭く物語っていた。
ただの小競り合いではない。領地同士がぶつかった痕だ。
「ローザリアが通ったのですわ」
イザベラの側近シンシアが小声で告げる。
ローザリア領は放送によると、既に七つの領地を撃破していた。そのうち四つは十位以内の上位領地。
堂々たる旗頭の進軍に、誰ひとり抗えなかった証がここにあった。
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模擬戦だから威力は加減されてるはずなのに、それでも惨憺たる有様を見て、私は銃を握りしめた。
進む先に、赤い旗が翻った。
整然とした隊列。鉄壁の防御。
その中央に、赤い髪を光らせた少年がいた。
アレクシス・ローザリア。
序列一位の領地を率いる領主一族。その姿は、ただ立っているだけで空気を支配していた。
「来たな、アイリシア」
赤い瞳がこちらを見据える。
背筋に冷たいものが走った。
「……散開」
私は短く指示を出す。
クラベルが前に、ソフィが後ろに回る。シンシアは指揮補佐に回り、森の影で全体を見渡す。
正面からでは勝てない。
陽動と奇襲しか道はない。
私は息を吸い込み、風の神具に魔力を込めた。
背中に半透明の翼が生え、身体が宙へと浮かび上がる。
(空から――殴り込む!)
ローザリアの学生が気付いてざわめいた。だが遅い。
私は一気に降下し、狙いを大杖へと定めた。
杖の周囲には、淡い光の防御障壁。あれでは、魔法では突破できない。
ならば――
「はぁぁっ!」
銃床を振り下ろす。
金属が防御を叩き割り、鈍い音が響いた。
障壁がひび割れ、杖が軋む。
「……っ」
ローザリアの神具に傷を付けたのだ。
その瞬間、アレクシスが笑った。
「ははははっ!」
爆笑が響く。
「そうか!そんな手があったか!」
赤い瞳が爛々と輝き、まるで獲物を見つけた獅子のように牙を剥いた。
根っからのファンタジー世界の騎士では――杖を壊すのに魔法以外を使う発想など、なかったのだろう。
けれど今、目の前で杖を砕かれかけ、逆に心を震わせている。
「面白い! もっと見せてみろ、アイリシア!」
その声に、胸が強く打ち鳴った。
(……この人は、笑いながら本気で戦うんだ……!)
圧倒的な一位との激突。
その幕が切って落とされた。
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