没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました

藤原遊

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第3章 音楽の才能と胃痛のお茶会

6

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セレスティーナ王女殿下の一言で、騒がしかった広間は再び落ち着きを取り戻した。
その優雅な笑みのまま、殿下は列席する領主一族たちの方へ歩みを進める。

「ローザリアのアレクシス様、先日の模擬戦ではさすがの采配でした」
「カメリアのコンスタンティン様、授業でも常に模範を示してくださっていると伺っています」
「ヴェルベリアのエインズ様、研究棟では大変お世話になっております」

一人ひとりに的確な言葉をかけるその姿に、さすがは王族だと感じずにはいられない。
声を掛けられた各領主一族も堂々と応じ、場は穏やかな社交の空気へと戻っていった。

やがて、セレスティーナ殿下の視線がこちらを向いた。

「今日は――以前から噂になっていましたアイリシア領のお二人をお招きしています。イザベラ様、そしてエレオノーラ様」

「……っ」

広間の視線が一斉に集まり、心臓がきゅっと縮む。
隣に立つイザベラ姉様は余裕の笑みを浮かべていて、対照的に私の背筋は強張った。

「どうか、皆さまにお披露目を」

セレスティーナ殿下の言葉に従い、私は竪琴を抱える。
指先が弦に触れた瞬間、あれほどざわついていた心がすっと静まった。

(大丈夫……マルガレータ様とグレーテに散々鍛えられたじゃない。ここで示すのが、アイリシアの芸術)

音が広間に満ちていく。
前世の記憶から紡いだ旋律を賛美歌風に編み直し、声を重ねた。
透き通るような音色と歌声が天井に届き、煌めく光と溶け合う。

――曲が終わると、ひと呼吸の静寂。
次いで、拍手が広間を包んだ。

「素晴らしい……! やはり芸術のアイリシアですね」

セレスティーナ殿下が微笑みながらそう告げると、周囲の貴族たちも次々と賛辞を重ねる。

「確かに噂に違わぬ」
「見事なお披露目でした」

(……よかった……なんとか形になった……!)

心の底で安堵しながらも、胃の痛みはまだ消えなかった。
華やかな拍手に包まれながら、私は静かに竪琴を抱きしめた。
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