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第4章 首席の証と重すぎる注目
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「エレオノーラ、今日も一緒に行きましょう?」
アドリアナ・ローザリアは、相変わらず天真爛漫な笑顔で手を取ってくる。
同い年だというのに、社交の場では誰よりも自然に振る舞っていて、こちらの方が引っ張られてしまう。
「……は、はい」
断れるわけもなく、今日も私は彼女に連れ回される。
授業の合間、廊下を歩くだけで、周囲の視線が刺さる。
序列一位と二十位の領地の子女が並んで歩けば、当然のことだ。
そして――その先には、必ず赤髪の少年がいた。
「今日も可憐だな、エレオノーラ。学院の庭も色めき立つな」
「エレオノーラはまるで風に揺れるアイリスのようだ。目が離せないよ」
「…………」
アレクシス・ローザリア。
会うたびに、こんな調子で口説き文句を浴びせてくる。
堂々と、しかも屈託なく。
(……いや、なんで毎回違うレパートリーなのよ!? 前世で読んだ恋愛小説の“おもしれぇ女”枠に、完全に入れられてるじゃない……!)
胃がきりきりと痛むのを必死に隠し、どうにか笑顔でやり過ごす。
そんな日々が続いたある夕方。
館に戻ってから、私はソフィとクラベルに、ずっと積み重なっていた違和感を思わずこぼしてしまった。
「……あの兄妹、仲が良いのに、何か違和感があるのだけど」
「え? 仲良いのは良いことでは……?」
ソフィが小首をかしげる。
すると、背後に控えていたイルマが静かに口を開いた。
「エレオノーラ様。異母兄妹であれば、実際には殺し合っていてもおかしくありません」
「……えっ」
背筋がぞわりと冷える。
「領主の椅子を巡って、一族の期待を背負い競い合う間柄です。普通は、仲良しなどあり得ません。ただ――領地外の方に不仲を晒す必要はない。ですから、今はそう見せているだけかと」
「そ、そうなんだ……」
(え……じゃあ、アドリアナ様の無邪気な笑顔って……どこまで本物?)
内心震え上がる私を見て、ソフィがさらに不思議そうに首を傾げた。
「でも、イザベラ様とエレオノーラ様は仲良しですのよね?」
今度はイルマがきっぱりと答える。
「アイリシア領の状態はかなり珍しいのです。見ている限り、イザベラ様とエレオノーラ様は“同母の姉妹”として周囲に認識されているでしょう」
「……」
その瞬間、胸の奥がじんと熱くなった。
普通ならば、血を分けた兄妹ですら争うのが当たり前の世界。
そんな中で、ずっと寄り添ってくれた姉様の優しさが、改めて胸に沁みる。
(……イザベラ姉様。本当に、ありがとう)
私はそっと目を伏せ、姉への感謝を噛みしめた。
アドリアナ・ローザリアは、相変わらず天真爛漫な笑顔で手を取ってくる。
同い年だというのに、社交の場では誰よりも自然に振る舞っていて、こちらの方が引っ張られてしまう。
「……は、はい」
断れるわけもなく、今日も私は彼女に連れ回される。
授業の合間、廊下を歩くだけで、周囲の視線が刺さる。
序列一位と二十位の領地の子女が並んで歩けば、当然のことだ。
そして――その先には、必ず赤髪の少年がいた。
「今日も可憐だな、エレオノーラ。学院の庭も色めき立つな」
「エレオノーラはまるで風に揺れるアイリスのようだ。目が離せないよ」
「…………」
アレクシス・ローザリア。
会うたびに、こんな調子で口説き文句を浴びせてくる。
堂々と、しかも屈託なく。
(……いや、なんで毎回違うレパートリーなのよ!? 前世で読んだ恋愛小説の“おもしれぇ女”枠に、完全に入れられてるじゃない……!)
胃がきりきりと痛むのを必死に隠し、どうにか笑顔でやり過ごす。
そんな日々が続いたある夕方。
館に戻ってから、私はソフィとクラベルに、ずっと積み重なっていた違和感を思わずこぼしてしまった。
「……あの兄妹、仲が良いのに、何か違和感があるのだけど」
「え? 仲良いのは良いことでは……?」
ソフィが小首をかしげる。
すると、背後に控えていたイルマが静かに口を開いた。
「エレオノーラ様。異母兄妹であれば、実際には殺し合っていてもおかしくありません」
「……えっ」
背筋がぞわりと冷える。
「領主の椅子を巡って、一族の期待を背負い競い合う間柄です。普通は、仲良しなどあり得ません。ただ――領地外の方に不仲を晒す必要はない。ですから、今はそう見せているだけかと」
「そ、そうなんだ……」
(え……じゃあ、アドリアナ様の無邪気な笑顔って……どこまで本物?)
内心震え上がる私を見て、ソフィがさらに不思議そうに首を傾げた。
「でも、イザベラ様とエレオノーラ様は仲良しですのよね?」
今度はイルマがきっぱりと答える。
「アイリシア領の状態はかなり珍しいのです。見ている限り、イザベラ様とエレオノーラ様は“同母の姉妹”として周囲に認識されているでしょう」
「……」
その瞬間、胸の奥がじんと熱くなった。
普通ならば、血を分けた兄妹ですら争うのが当たり前の世界。
そんな中で、ずっと寄り添ってくれた姉様の優しさが、改めて胸に沁みる。
(……イザベラ姉様。本当に、ありがとう)
私はそっと目を伏せ、姉への感謝を噛みしめた。
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