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第5章 初めての領主会議と序列の壁
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ふと視線を上げると、見慣れた青銀色の髪が目に入った。
コンスタンティン・カメリア。序列二位、軍事力で有名なカメリア領の領主一族だ。学院では見慣れているけど、この場で見ると迫力が違う。
制服ではなく私服姿――のはずなのに、どう見ても軍服にしか見えなかった。
深い色合いの上着は飾り気を排しておらず、きっちりと締められたベルトに剣が収まっている。
その佇まいは「騎士団長閣下」といった風格で、思わず息を呑む。
(……似合いすぎてる……)
後ろに控える側近たちも同じだ。
おそらく文官も混じっているのだろうが、誰がそうなのか判別できない。
全員が武人のように見え、まさしく軍事領カメリアの特色をそのまま体現していた。
「エレオノーラ殿」
低く通る声に呼ばれ、私は慌てて立ち上がる。
下位領地の私が、序列二位に属する彼に声をかけられるなど、想定もしていなかった。
周囲の視線が一斉に集まる中、コンスタンティンは一歩前に出て微笑んだ。
灰色の瞳がまっすぐにこちらを射抜く。
「息災か」
短い言葉。けれど、そこには確かな気遣いがにじんでいた。
「は、はい。おかげさまで」
思わず背筋を正すと、彼は頷いた。
「領主候補として初めての場だろうが、気負うことはない。……レオポルト様から学ぶと良い」
凛とした声音が、胸の奥に響く。
まるで教練の場で諭されるようで、思わず深く頭を垂れた。
周囲からの訝しげな視線に応えるように、ふっと少しだけ口角を上げて、コンスタンティンは言葉を続けた。
「先日の王女殿下のお茶会では、良い演奏を聞かせてもらった。また、いずれ」
コンスタンティンの口からそう告げられると、場がすっと落ち着く。
嘘ではない。だが真実をすべて語っているわけでもない。
絶妙に切り取った言葉が、彼の口からは自然に響いていた。
「なるほど……それならば」
「芸術好きの王女殿下のご交友なら、確かに」
他領の人々も納得したように頷く。
(……これが、外交……!)
ただ事実を述べるだけでなく、相手がどう受け止めるかを計算して発言する。
その巧妙さに、私は背筋を伸ばさずにはいられなかった。
やがて話題は私の方へと移った。
「芸術のアイリシアか」
「楽士としても実績のあるレオポルト殿の娘なら、なるほど」
序列二十位の下位領地が首席を取ったという事実は本来なら異例のはず。
けれど、レオポルトの名と「芸術の領」の看板と、芸術好きの王女殿下がいらっしゃるだけで、非常識が常識へと変わってしまう。
(……普段は頼りないって思ってたけど……父様のおかげで、今は騒ぎにならずに済んでるんだ……)
胸の奥で小さく感謝を呟きながら、私は再び席へと戻った。
コンスタンティン・カメリア。序列二位、軍事力で有名なカメリア領の領主一族だ。学院では見慣れているけど、この場で見ると迫力が違う。
制服ではなく私服姿――のはずなのに、どう見ても軍服にしか見えなかった。
深い色合いの上着は飾り気を排しておらず、きっちりと締められたベルトに剣が収まっている。
その佇まいは「騎士団長閣下」といった風格で、思わず息を呑む。
(……似合いすぎてる……)
後ろに控える側近たちも同じだ。
おそらく文官も混じっているのだろうが、誰がそうなのか判別できない。
全員が武人のように見え、まさしく軍事領カメリアの特色をそのまま体現していた。
「エレオノーラ殿」
低く通る声に呼ばれ、私は慌てて立ち上がる。
下位領地の私が、序列二位に属する彼に声をかけられるなど、想定もしていなかった。
周囲の視線が一斉に集まる中、コンスタンティンは一歩前に出て微笑んだ。
灰色の瞳がまっすぐにこちらを射抜く。
「息災か」
短い言葉。けれど、そこには確かな気遣いがにじんでいた。
「は、はい。おかげさまで」
思わず背筋を正すと、彼は頷いた。
「領主候補として初めての場だろうが、気負うことはない。……レオポルト様から学ぶと良い」
凛とした声音が、胸の奥に響く。
まるで教練の場で諭されるようで、思わず深く頭を垂れた。
周囲からの訝しげな視線に応えるように、ふっと少しだけ口角を上げて、コンスタンティンは言葉を続けた。
「先日の王女殿下のお茶会では、良い演奏を聞かせてもらった。また、いずれ」
コンスタンティンの口からそう告げられると、場がすっと落ち着く。
嘘ではない。だが真実をすべて語っているわけでもない。
絶妙に切り取った言葉が、彼の口からは自然に響いていた。
「なるほど……それならば」
「芸術好きの王女殿下のご交友なら、確かに」
他領の人々も納得したように頷く。
(……これが、外交……!)
ただ事実を述べるだけでなく、相手がどう受け止めるかを計算して発言する。
その巧妙さに、私は背筋を伸ばさずにはいられなかった。
やがて話題は私の方へと移った。
「芸術のアイリシアか」
「楽士としても実績のあるレオポルト殿の娘なら、なるほど」
序列二十位の下位領地が首席を取ったという事実は本来なら異例のはず。
けれど、レオポルトの名と「芸術の領」の看板と、芸術好きの王女殿下がいらっしゃるだけで、非常識が常識へと変わってしまう。
(……普段は頼りないって思ってたけど……父様のおかげで、今は騒ぎにならずに済んでるんだ……)
胸の奥で小さく感謝を呟きながら、私は再び席へと戻った。
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