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第6章 恋愛作曲と大蛇討伐
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まぶたを開けると、見慣れた天蓋が目に入った。
柔らかな布団の重みと、窓から差し込む光――ここは、城の私室。
「……目を覚まされましたか」
耳に馴染んだ声。顔を向ければ、ベッド脇の椅子に腰掛けるグレーテがいた。
彼女の両手はきつく組まれていて、わずかに震えている。
「……ご無事で、何よりでございました」
その一言に胸が詰まる。
(……心配を、かけてしまったんだ……)
すぐに城の医師が呼ばれ、診察を受けた。
「魔力は徐々に回復しております。もう大丈夫でしょう」
穏やかな声に安堵したのも束の間、身体を動かした瞬間、全身に鈍い痛みが走った。
「……っ、いた……筋肉痛……?」
(あんな爆発を起こして、代償が筋肉痛程度って……この世界、とんでもなさすぎでしょ……)
呆れが込み上げる一方で、背筋を冷やす感覚が拭えなかった。
三日は絶対安静、お見舞いも禁止、と言い渡される。
「なぜそこまで」と尋ねれば、グレーテは苦い顔で言った。
「……体調もですが、あの魔法を目にした人々の熱狂が、大変なことになっておりまして」
言葉を濁しながらも、目の奥に浮かんでいるのは恐れだった。
それだけで、どれほど大きな騒ぎになっているかが察せられる。
けれど――さらに聞かされた事実に、心臓が凍りついた。
「エレオノーラ様が眠りについてすぐ、ヴィルヘルム様とリヒャルト様の意識も落ちました」
「えっ……!」
「……おそらくは、魔力量の低下で“証”を維持できなかったのでしょう。領内では一時、エレオノーラ様ご危篤と騒ぎになりかけました」
頭が真っ白になった。
息が詰まり、手が震える。
(私の……せいで?)
脳裏に、二人の姿が浮かんだ。
いつも護衛として、文官として、黙々と支えてくれる彼らが――自分が倒れたせいで、生命の灯火まで揺らいでいた。
(もし……戻ってこなかったら? 二人を、死なせてしまったら……?)
考えただけで、胃がねじれるように痛んだ。
心臓が早鐘を打ち、視界が歪む。
「……いや……いやだ……」
声に出すと、喉の奥が熱くなった。
怖い。
力を振るったはずなのに、守るどころか、大切な人たちまで巻き込むところだった。
拳を握り締め、布団を爪で掴んだ――その時だった。
「……でも、置いていかれてしまうより」
静かな声が降りてくる。
顔を上げると、グレーテが穏やかな微笑を浮かべていた。
「私たちは……置いていかれてしまう方が、もっと怖いと思っているのです」
その言葉に息を呑む。
グレーテは、一度すでに経験しているのだ。
――母を。主を。若すぎる別れで見送ってしまった痛みを。
「ですから、エレオノーラ様。どうか自らを責めすぎませんように」
胸がじわりと熱くなった。
恐怖はまだ消えない。けれど、そこに少しだけ温もりが差し込んだ気がした。
柔らかな布団の重みと、窓から差し込む光――ここは、城の私室。
「……目を覚まされましたか」
耳に馴染んだ声。顔を向ければ、ベッド脇の椅子に腰掛けるグレーテがいた。
彼女の両手はきつく組まれていて、わずかに震えている。
「……ご無事で、何よりでございました」
その一言に胸が詰まる。
(……心配を、かけてしまったんだ……)
すぐに城の医師が呼ばれ、診察を受けた。
「魔力は徐々に回復しております。もう大丈夫でしょう」
穏やかな声に安堵したのも束の間、身体を動かした瞬間、全身に鈍い痛みが走った。
「……っ、いた……筋肉痛……?」
(あんな爆発を起こして、代償が筋肉痛程度って……この世界、とんでもなさすぎでしょ……)
呆れが込み上げる一方で、背筋を冷やす感覚が拭えなかった。
三日は絶対安静、お見舞いも禁止、と言い渡される。
「なぜそこまで」と尋ねれば、グレーテは苦い顔で言った。
「……体調もですが、あの魔法を目にした人々の熱狂が、大変なことになっておりまして」
言葉を濁しながらも、目の奥に浮かんでいるのは恐れだった。
それだけで、どれほど大きな騒ぎになっているかが察せられる。
けれど――さらに聞かされた事実に、心臓が凍りついた。
「エレオノーラ様が眠りについてすぐ、ヴィルヘルム様とリヒャルト様の意識も落ちました」
「えっ……!」
「……おそらくは、魔力量の低下で“証”を維持できなかったのでしょう。領内では一時、エレオノーラ様ご危篤と騒ぎになりかけました」
頭が真っ白になった。
息が詰まり、手が震える。
(私の……せいで?)
脳裏に、二人の姿が浮かんだ。
いつも護衛として、文官として、黙々と支えてくれる彼らが――自分が倒れたせいで、生命の灯火まで揺らいでいた。
(もし……戻ってこなかったら? 二人を、死なせてしまったら……?)
考えただけで、胃がねじれるように痛んだ。
心臓が早鐘を打ち、視界が歪む。
「……いや……いやだ……」
声に出すと、喉の奥が熱くなった。
怖い。
力を振るったはずなのに、守るどころか、大切な人たちまで巻き込むところだった。
拳を握り締め、布団を爪で掴んだ――その時だった。
「……でも、置いていかれてしまうより」
静かな声が降りてくる。
顔を上げると、グレーテが穏やかな微笑を浮かべていた。
「私たちは……置いていかれてしまう方が、もっと怖いと思っているのです」
その言葉に息を呑む。
グレーテは、一度すでに経験しているのだ。
――母を。主を。若すぎる別れで見送ってしまった痛みを。
「ですから、エレオノーラ様。どうか自らを責めすぎませんように」
胸がじわりと熱くなった。
恐怖はまだ消えない。けれど、そこに少しだけ温もりが差し込んだ気がした。
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