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「……そうそう、これ。カミラ様からの伝言」
エドガーは懐から封筒を取り出して、無造作に机の上へ置いた。
金色の封蝋には、宰相家の紋章──月と羽根──が刻まれている。
リリーナは少し目を細め、手紙を受け取る。
「また、視察報告書の添削依頼かしら」
「いや、今回はそれだけじゃない。“来週、直接話しに行く”ってさ。
“お前の顔を見ないと安心できないから”って、姉貴みたいなこと言ってたぞ」
「……あの人が、姉扱いされるのを好むと思ってるの?」
「いや? でも実際、リリーナには頭が上がらないだろ。
いくら女傑でも、お前だけは敵に回したくないって言ってたし」
「お世辞でも、言葉にしてもらえるだけありがたいわ」
リリーナは微笑を浮かべながら、封を開けた。
中には、簡潔な筆致で書かれた数行の文章──しかし、内容はいつも通り要点を突いたものだった。
「ふふ、来週の予定がまた増えたわね。どうしようかしら」
「無理するなよ」
エドガーがふいに低く言う。その目は、真っ直ぐだった。
「お前の体は、取り替えが利かないんだからな」
「……ええ、わかってるわ。私の価値も、限界も。だからこそ、使い切る価値があるの」
そう答えたリリーナの声には、覚悟が滲んでいた。
エドガーはそれ以上何も言わず、椅子を引いて立ち上がった。
「じゃ、俺はこれで。姫さまも、少しは休めよ」
「ええ。ありがとう、エドガー」
扉が閉まると、部屋に再び静寂が戻る。
リリーナは手紙を胸に当て、ふぅと息を吐いた。
──カミラが来る。それは、戦略会議の始まりを意味する。
彼女は、政を動かす女。己の意志で婿を迎え、宰相家を引き継ぐと決めた女傑。
(さあ、駒は揃いつつある。あとは盤面をどう動かすか)
リリーナは静かに目を伏せた。
その表情には、聖女らしい穏やかさはもうなかった。
エドガーは懐から封筒を取り出して、無造作に机の上へ置いた。
金色の封蝋には、宰相家の紋章──月と羽根──が刻まれている。
リリーナは少し目を細め、手紙を受け取る。
「また、視察報告書の添削依頼かしら」
「いや、今回はそれだけじゃない。“来週、直接話しに行く”ってさ。
“お前の顔を見ないと安心できないから”って、姉貴みたいなこと言ってたぞ」
「……あの人が、姉扱いされるのを好むと思ってるの?」
「いや? でも実際、リリーナには頭が上がらないだろ。
いくら女傑でも、お前だけは敵に回したくないって言ってたし」
「お世辞でも、言葉にしてもらえるだけありがたいわ」
リリーナは微笑を浮かべながら、封を開けた。
中には、簡潔な筆致で書かれた数行の文章──しかし、内容はいつも通り要点を突いたものだった。
「ふふ、来週の予定がまた増えたわね。どうしようかしら」
「無理するなよ」
エドガーがふいに低く言う。その目は、真っ直ぐだった。
「お前の体は、取り替えが利かないんだからな」
「……ええ、わかってるわ。私の価値も、限界も。だからこそ、使い切る価値があるの」
そう答えたリリーナの声には、覚悟が滲んでいた。
エドガーはそれ以上何も言わず、椅子を引いて立ち上がった。
「じゃ、俺はこれで。姫さまも、少しは休めよ」
「ええ。ありがとう、エドガー」
扉が閉まると、部屋に再び静寂が戻る。
リリーナは手紙を胸に当て、ふぅと息を吐いた。
──カミラが来る。それは、戦略会議の始まりを意味する。
彼女は、政を動かす女。己の意志で婿を迎え、宰相家を引き継ぐと決めた女傑。
(さあ、駒は揃いつつある。あとは盤面をどう動かすか)
リリーナは静かに目を伏せた。
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