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第4章 噂の立ち上がり
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朝、学園の廊下がざわついていた。
通り過ぎるたびに、誰かの声がひそひそと落ちる。
『見た? また殿下とリステア様が一緒に……』
『え、お茶会じゃなくて視察の帰りも?』
『殿下、最近フローラ嬢よりあの人と話してるって……』
(やめて!? やめてくださいその“最近”って何!?)
俺は本気で頭を抱えた。
王太子と距離が近い、ってだけでどうしてこうなるんだ。
いや、近いのは事実なんだけど、近い理由が違う。
妹のためだ! 妹の!!
「アラン様?」
振り向くと、フローラが小さく首を傾げていた。
心配そうな緑の瞳がまっすぐ俺を見ている。
「顔色、悪いですよ?」
「だ、大丈夫だよ。ちょっと……噂が気になってて。」
「……殿下との?」
(刺すな! その直球は刺さる!)
「あ、あれは誤解で! 本当に! 殿下とはその……仕事の話というか、妹の未来的な……!」
言えば言うほど墓穴。
フローラは微妙な顔で笑った。
“あっ、この人うまく説明できないタイプだ”というやつだ。
「でも、アラン様が殿下と仲が良いのは素敵だと思いますよ。
私なんて、近づくだけで緊張してしまいますから。」
「いや、素敵とかじゃなくてですね、むしろ俺は――」
そのとき、廊下の向こうで誰かが囁いた。
『見て、フローラ嬢……リステア様と話してる……』
『やっぱり三角関係? 殿下、気づいてるのかしら……』
(ちがう!! ちがうんだって!!)
もはや叫びたい。
でも、ここで声を上げたら“図星リアクション”になる。
理性が止めた。
「……フローラ嬢。」
「はい?」
「その……今日の放課後、少しお時間をいただけませんか。
学園の庭で、話がしたい。」
「え? あの、わ、私と?」
「はい。誤解を解くために。」
自分で言って気づく。
この言い方、完全に告白イベントの導入じゃないか。
フローラの頬がほんのり染まっていく。
いやいやいや、違う! 違うんだって!
「護衛としてだ!」
「……護衛?」
「そう! 最近、噂のせいで変な視線も多いだろう?
だから俺が、君の安全を守る! 火消しのために!」
(冷静に言うと意味がわからないな?)
フローラはぽかんとしたあと、ふっと笑った。
「……ありがとうございます。頼もしいです、アラン様。」
その笑顔に、背後の生徒たちがざわっと反応する。
『やっぱり! リステア様、フローラ様の護衛なんて!』
『でも、殿下は令息とばかり……』
(誤解です!! 全部誤解ですぅぅぅ!!!)
心の中で絶叫しても、噂は止まらない。
むしろ勢いを増して、学園全体にさざ波のように広がっていく。
──その日から俺は、
「王太子に愛される男」兼「フローラ嬢の護衛」という
わけのわからない二つ名で呼ばれるようになった。
いや、だから違うんだって!!
通り過ぎるたびに、誰かの声がひそひそと落ちる。
『見た? また殿下とリステア様が一緒に……』
『え、お茶会じゃなくて視察の帰りも?』
『殿下、最近フローラ嬢よりあの人と話してるって……』
(やめて!? やめてくださいその“最近”って何!?)
俺は本気で頭を抱えた。
王太子と距離が近い、ってだけでどうしてこうなるんだ。
いや、近いのは事実なんだけど、近い理由が違う。
妹のためだ! 妹の!!
「アラン様?」
振り向くと、フローラが小さく首を傾げていた。
心配そうな緑の瞳がまっすぐ俺を見ている。
「顔色、悪いですよ?」
「だ、大丈夫だよ。ちょっと……噂が気になってて。」
「……殿下との?」
(刺すな! その直球は刺さる!)
「あ、あれは誤解で! 本当に! 殿下とはその……仕事の話というか、妹の未来的な……!」
言えば言うほど墓穴。
フローラは微妙な顔で笑った。
“あっ、この人うまく説明できないタイプだ”というやつだ。
「でも、アラン様が殿下と仲が良いのは素敵だと思いますよ。
私なんて、近づくだけで緊張してしまいますから。」
「いや、素敵とかじゃなくてですね、むしろ俺は――」
そのとき、廊下の向こうで誰かが囁いた。
『見て、フローラ嬢……リステア様と話してる……』
『やっぱり三角関係? 殿下、気づいてるのかしら……』
(ちがう!! ちがうんだって!!)
もはや叫びたい。
でも、ここで声を上げたら“図星リアクション”になる。
理性が止めた。
「……フローラ嬢。」
「はい?」
「その……今日の放課後、少しお時間をいただけませんか。
学園の庭で、話がしたい。」
「え? あの、わ、私と?」
「はい。誤解を解くために。」
自分で言って気づく。
この言い方、完全に告白イベントの導入じゃないか。
フローラの頬がほんのり染まっていく。
いやいやいや、違う! 違うんだって!
「護衛としてだ!」
「……護衛?」
「そう! 最近、噂のせいで変な視線も多いだろう?
だから俺が、君の安全を守る! 火消しのために!」
(冷静に言うと意味がわからないな?)
フローラはぽかんとしたあと、ふっと笑った。
「……ありがとうございます。頼もしいです、アラン様。」
その笑顔に、背後の生徒たちがざわっと反応する。
『やっぱり! リステア様、フローラ様の護衛なんて!』
『でも、殿下は令息とばかり……』
(誤解です!! 全部誤解ですぅぅぅ!!!)
心の中で絶叫しても、噂は止まらない。
むしろ勢いを増して、学園全体にさざ波のように広がっていく。
──その日から俺は、
「王太子に愛される男」兼「フローラ嬢の護衛」という
わけのわからない二つ名で呼ばれるようになった。
いや、だから違うんだって!!
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