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第二章 魔王と勇者
第十五話 邪神教団動き出す
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邪神教団 本拠地・黒曜殿
暗黒の大聖堂。
天井から吊るされた無数の燭台が、赤黒い光で壁を染めていた。
その中央の玉座には、黒と金の法衣を纏った男――教皇イラミール・ゼトラスが座している。
冷たい銀の瞳がゆっくりと開かれた。
「……地下工場が壊滅、か」
低く響く声に、堂内の空気が張り詰める。
「犯人は不明ですが、残された死体から、ただの盗賊や衛兵の仕業ではないかと――」
報告しようとした司祭が、言葉を終える前に、イラミールの指先から放たれた闇の鎖に絡め取られ、骨ごと圧し潰される。
「戯言を。あれほどの施設を破壊できる者など限られている。……奴らを呼べ」
重い扉が開き、四つの影が現れる。
それぞれが人間離れした存在感を纏っていた。
1. 災槍王バルザーク
──全身を黒鉄の鎧で覆い、背に巨大な三叉槍を担ぐ。戦を求める獣のような笑みを浮かべる。
「へぇ……誰が俺の獲物を奪いやがった?」
2. 幻毒王リュミエール
──艶やかな微笑を浮かべる美女。長い指先からは、淡い紫の毒霧が揺らめく。
「面白い香りがするわ……怯えと反抗の混じった匂い」
3. 骸砂王ドルマグ
──朽ちたローブに身を包み、全身が砂でできた骸骨。
「……血の匂いが消えておる。殺すより、攫っておるのか?」
4. 深淵王オルガルド
──漆黒の外套を纏い、顔を仮面で隠した男。声は低く、冷淡。
「教皇様……我らに命を」
⸻
イラミールはゆっくりと立ち上がり、四人を見下ろす。
「この件……我らの計画を嗅ぎ回る者を放置するわけにはいかぬ」
「見つけ次第――跡形もなく葬れ」
バルザークが嗤い、リュミエールが艶やかに舌なめずりをする。
ドルマグは無言で砂を握り潰し、オルガルドは一礼と共に闇に溶けた。
ギルド本部
夜の帳が降りたギルドの奥まった部屋。
密やかに一通の書類が受付長へ届けられた。
中には麻薬製造工場の位置、規模、そして邪神教団の関与を示す証拠が、丁寧にまとめられていた。
「……こ、これは……! この情報はどこから?」
受付長が目を見開くが、これを持ってきた受付嬢は「気がついたらカウンターに置かれていました。
誰が持ち込んだかは不明です。」と答えた。
受付長はすぐに緊急会議を開き、ギルド幹部たちが資料を回しながら険しい顔で議論を始める。
やがて――一枚の依頼書が作成された。
⸻
勇者パーティーへの依頼
翌日。
ロディアスたち勇者パーティーはギルドの応接室へ呼び出された。
「……邪神教団か。以前から警戒はしていたが、やっと俺たちの出番ってわけだな!」
胸を叩いて笑うロディアス。
「はぁ……だからって全部正面突破で行くのやめてよね? 後始末大変なんだから」
天真爛漫な魔法使いのアリスが、いつものように溜息混じりに笑う。
「おいおい、どうせロディアスは止まらねぇんだし、楽しもうぜ」
槍使いのマイクが陽気に槍の柄を肩に乗せる。
「……ふむ。邪神教団か。昔より厄介になっていると聞くが……慎重にな」
老魔導士バレスティーは、穏やかな声で仲間を諭す。
依頼内容は、麻薬製造工場の破壊と教団の拠点調査。
ロディアスは拳を握りしめ、迷わず引き受けた。
⸻
ギルドの喧騒の隅で、その様子をティアと臣下たちは遠巻きに見ていた。
「……動いたわね」
ティアが小さく呟く。
「我らが手を出す必要はありませんね」
セリアが頷く。
ティアは静かに椅子に腰掛け、足を組む。
「人間界の問題は、人間たちが裁くべき……。今回は、ただ彼らに目を向けさせたかっただけ」
カインが腕を組んで言う。
「だが、あの勇者……あまり軽く見ない方がいい」
ティアは視線をギルドの奥――依頼書を受け取ったロディアスへ向けた。
彼は満面の笑みで仲間と会話しているが、その背中には確かな決意が見えた。
「……面倒な存在ね」
そう呟きながらも、ティアの口元には僅かな笑みが浮かんでいた。
ギルド・受付前
ロディアスがカウンターに歩み寄ってきた。
その顔には、どこか決意と寂しさが混じっている。
「ティア、ちょっとの間、会えなくなる」
「……勇者様が、何かご用事ですか?」
ティアは普段通りの微笑みを浮かべるが、声の奥にわずかな棘を忍ばせた。
「用事っていうか……邪神教団の調査だ。しばらくこの街には戻れない。……だから、その……ちょっと寂しい」
真っ直ぐな瞳がティアを見つめる。
その瞬間、胸の奥に小さな波紋が広がるのを、ティアは自覚してしまった。
――寂しいと、思ってしまった。
魔王である自分が。
「……ふふ。気をつけて、勇者様」
言葉だけは軽く流すが、その微笑みにはほんのわずかな温もりが宿っていた。
⸻
麻薬製造工場跡地
数日後、ロディアスたちは情報を頼りに山奥の古びた建物へ辿り着く。
だがそこは、すでに黒煙が立ち上り、崩れた壁と瓦礫の山が広がっていた。
「……遅かったか」
ロディアスは周囲を見回し、剣の柄に手を添える。
「おい、見ろ。地下への入口があるぞ」
マイクが瓦礫をどかし、階段を指差す。
地下室に降りると、そこには血と薬品の匂いが漂っていた。
鎖に繋がれたままの幹部らしき男が、口に布を詰められてうずくまっている。
「……生きてるな。こいつが黒幕か」
バレスティーが小さく頷く。
「誰がやったんだ……」
ロディアスは剣を下ろし、現場を歩き回る。
壁には戦闘の跡が残っているが、どれも正確無比な攻撃。
無駄な破壊も、過剰な殺戮もない。
――まるで、何かをわざと残したような……。
「ロディアス、どうする?」
アリスの問いに、勇者は一瞬だけ振り返り、唇を引き結んだ。
「……関係者全員、徹底的に洗う。
邪神教団の巣を探し出す」
そうして、彼らは新たな調査に乗り出した。
背後で、そのすべてを静かに見守る者たちがいるとも知らずに――。
廃工場・外周
地下から地上へ戻ったロディアスたちは、崩れかけた外壁の影を抜け、冷たい外気を吸い込んだ。
山の夜は静かで、月光が瓦礫を青白く照らしている。
「……ひとまず、依頼主への報告だな」
マイクが荷物を背負い直した、その時――。
――ザッ……。
瓦礫の向こうから、黒い法衣を纏った長身の男が姿を現した。
髪は銀色で背中まで伸び、冷たい紅の瞳が勇者一行を射抜く。
その背後には、漆黒の仮面をつけた部下らしき影が数人。
「……貴様らか。麻薬工場を破壊したのは」
低く響く声には、怒りよりも興味の色が濃い。
ロディアスは剣を抜き、男を睨み返した。
「お前は……邪神教団の人間か」
男の口元がわずかに歪む。
「ほう……勇者ロディアス。
名前は聞いている。だが……」
視線が鋭くなる。
次の瞬間、仮面の部下たちが武器を構えかけたが、男が片手を上げて制した。
「……今は時期ではない」
その言葉と同時に、黒い霧が足元から立ち昇り、幹部と部下たちの姿を包み込む。
霧が晴れた時、そこにはただ冷たい風だけが残っていた。
「……逃げた、だと?」
マイクが剣を下ろす。
ロディアスは空を見上げ、唇を固く結んだ。
「……あいつ、ただ者じゃない」
――一方その頃、廃工場から少し離れた森の闇の中。
黒い法衣の幹部は静かに呟いた。
「勇者……か。
面倒な相手が動き始めたな」
ギルド作戦室
重厚な扉が閉じられると、部屋の中は油ランプの明かりだけになった。
ロディアスは机の上に簡易地図を広げ、廃工場で遭遇した黒い法衣の男について説明する。
「長身で銀髪、紅い瞳。背後に黒い仮面を付けた部下が数人……奴の気配は、間違いなくただの人間じゃない」
「……その特徴。邪神教団の高位幹部、“四邪王”の一人かもしれん」
ギルド幹部の一人が低く唸る。
別の幹部が地図上に印をつけた。
「麻薬工場が破壊されたことで、教団は必ず報復か新たな工作に動く。今が好機だ。
ロディアス、お前たち勇者パーティーには正式に調査を依頼する。必要とあれば、奴らの拠点を突き止め、殲滅してくれ」
ロディアスは迷わず頷く。
「わかった。
必ずケリをつける」
⸻
ギルド・受付カウンター裏
会議室から出てきたロディアスの表情を、カウンター奥にいたティアは見逃さなかった。
彼の目に宿る決意は、いつもの無邪気さとは違う、鋭い光を放っていた。
(……やっぱり、本格的に動き出す気ね)
心中は穏やかではなかった。
邪神教団の幹部が現れた時点で、これは遊びや軽い依頼ではなくなる。
魔王としての自分にとって、勇者がどうなろうと関係ない――はずだった。
けれど胸の奥で、ほんの小さな棘のような不安が疼く。
(……あの真っ直ぐで馬鹿みたいな男が、もし……)
そんな自分の心の揺れに気づき、ティアは小さく舌打ちした。
「……何を考えてるのよ、私」
暗黒の大聖堂。
天井から吊るされた無数の燭台が、赤黒い光で壁を染めていた。
その中央の玉座には、黒と金の法衣を纏った男――教皇イラミール・ゼトラスが座している。
冷たい銀の瞳がゆっくりと開かれた。
「……地下工場が壊滅、か」
低く響く声に、堂内の空気が張り詰める。
「犯人は不明ですが、残された死体から、ただの盗賊や衛兵の仕業ではないかと――」
報告しようとした司祭が、言葉を終える前に、イラミールの指先から放たれた闇の鎖に絡め取られ、骨ごと圧し潰される。
「戯言を。あれほどの施設を破壊できる者など限られている。……奴らを呼べ」
重い扉が開き、四つの影が現れる。
それぞれが人間離れした存在感を纏っていた。
1. 災槍王バルザーク
──全身を黒鉄の鎧で覆い、背に巨大な三叉槍を担ぐ。戦を求める獣のような笑みを浮かべる。
「へぇ……誰が俺の獲物を奪いやがった?」
2. 幻毒王リュミエール
──艶やかな微笑を浮かべる美女。長い指先からは、淡い紫の毒霧が揺らめく。
「面白い香りがするわ……怯えと反抗の混じった匂い」
3. 骸砂王ドルマグ
──朽ちたローブに身を包み、全身が砂でできた骸骨。
「……血の匂いが消えておる。殺すより、攫っておるのか?」
4. 深淵王オルガルド
──漆黒の外套を纏い、顔を仮面で隠した男。声は低く、冷淡。
「教皇様……我らに命を」
⸻
イラミールはゆっくりと立ち上がり、四人を見下ろす。
「この件……我らの計画を嗅ぎ回る者を放置するわけにはいかぬ」
「見つけ次第――跡形もなく葬れ」
バルザークが嗤い、リュミエールが艶やかに舌なめずりをする。
ドルマグは無言で砂を握り潰し、オルガルドは一礼と共に闇に溶けた。
ギルド本部
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密やかに一通の書類が受付長へ届けられた。
中には麻薬製造工場の位置、規模、そして邪神教団の関与を示す証拠が、丁寧にまとめられていた。
「……こ、これは……! この情報はどこから?」
受付長が目を見開くが、これを持ってきた受付嬢は「気がついたらカウンターに置かれていました。
誰が持ち込んだかは不明です。」と答えた。
受付長はすぐに緊急会議を開き、ギルド幹部たちが資料を回しながら険しい顔で議論を始める。
やがて――一枚の依頼書が作成された。
⸻
勇者パーティーへの依頼
翌日。
ロディアスたち勇者パーティーはギルドの応接室へ呼び出された。
「……邪神教団か。以前から警戒はしていたが、やっと俺たちの出番ってわけだな!」
胸を叩いて笑うロディアス。
「はぁ……だからって全部正面突破で行くのやめてよね? 後始末大変なんだから」
天真爛漫な魔法使いのアリスが、いつものように溜息混じりに笑う。
「おいおい、どうせロディアスは止まらねぇんだし、楽しもうぜ」
槍使いのマイクが陽気に槍の柄を肩に乗せる。
「……ふむ。邪神教団か。昔より厄介になっていると聞くが……慎重にな」
老魔導士バレスティーは、穏やかな声で仲間を諭す。
依頼内容は、麻薬製造工場の破壊と教団の拠点調査。
ロディアスは拳を握りしめ、迷わず引き受けた。
⸻
ギルドの喧騒の隅で、その様子をティアと臣下たちは遠巻きに見ていた。
「……動いたわね」
ティアが小さく呟く。
「我らが手を出す必要はありませんね」
セリアが頷く。
ティアは静かに椅子に腰掛け、足を組む。
「人間界の問題は、人間たちが裁くべき……。今回は、ただ彼らに目を向けさせたかっただけ」
カインが腕を組んで言う。
「だが、あの勇者……あまり軽く見ない方がいい」
ティアは視線をギルドの奥――依頼書を受け取ったロディアスへ向けた。
彼は満面の笑みで仲間と会話しているが、その背中には確かな決意が見えた。
「……面倒な存在ね」
そう呟きながらも、ティアの口元には僅かな笑みが浮かんでいた。
ギルド・受付前
ロディアスがカウンターに歩み寄ってきた。
その顔には、どこか決意と寂しさが混じっている。
「ティア、ちょっとの間、会えなくなる」
「……勇者様が、何かご用事ですか?」
ティアは普段通りの微笑みを浮かべるが、声の奥にわずかな棘を忍ばせた。
「用事っていうか……邪神教団の調査だ。しばらくこの街には戻れない。……だから、その……ちょっと寂しい」
真っ直ぐな瞳がティアを見つめる。
その瞬間、胸の奥に小さな波紋が広がるのを、ティアは自覚してしまった。
――寂しいと、思ってしまった。
魔王である自分が。
「……ふふ。気をつけて、勇者様」
言葉だけは軽く流すが、その微笑みにはほんのわずかな温もりが宿っていた。
⸻
麻薬製造工場跡地
数日後、ロディアスたちは情報を頼りに山奥の古びた建物へ辿り着く。
だがそこは、すでに黒煙が立ち上り、崩れた壁と瓦礫の山が広がっていた。
「……遅かったか」
ロディアスは周囲を見回し、剣の柄に手を添える。
「おい、見ろ。地下への入口があるぞ」
マイクが瓦礫をどかし、階段を指差す。
地下室に降りると、そこには血と薬品の匂いが漂っていた。
鎖に繋がれたままの幹部らしき男が、口に布を詰められてうずくまっている。
「……生きてるな。こいつが黒幕か」
バレスティーが小さく頷く。
「誰がやったんだ……」
ロディアスは剣を下ろし、現場を歩き回る。
壁には戦闘の跡が残っているが、どれも正確無比な攻撃。
無駄な破壊も、過剰な殺戮もない。
――まるで、何かをわざと残したような……。
「ロディアス、どうする?」
アリスの問いに、勇者は一瞬だけ振り返り、唇を引き結んだ。
「……関係者全員、徹底的に洗う。
邪神教団の巣を探し出す」
そうして、彼らは新たな調査に乗り出した。
背後で、そのすべてを静かに見守る者たちがいるとも知らずに――。
廃工場・外周
地下から地上へ戻ったロディアスたちは、崩れかけた外壁の影を抜け、冷たい外気を吸い込んだ。
山の夜は静かで、月光が瓦礫を青白く照らしている。
「……ひとまず、依頼主への報告だな」
マイクが荷物を背負い直した、その時――。
――ザッ……。
瓦礫の向こうから、黒い法衣を纏った長身の男が姿を現した。
髪は銀色で背中まで伸び、冷たい紅の瞳が勇者一行を射抜く。
その背後には、漆黒の仮面をつけた部下らしき影が数人。
「……貴様らか。麻薬工場を破壊したのは」
低く響く声には、怒りよりも興味の色が濃い。
ロディアスは剣を抜き、男を睨み返した。
「お前は……邪神教団の人間か」
男の口元がわずかに歪む。
「ほう……勇者ロディアス。
名前は聞いている。だが……」
視線が鋭くなる。
次の瞬間、仮面の部下たちが武器を構えかけたが、男が片手を上げて制した。
「……今は時期ではない」
その言葉と同時に、黒い霧が足元から立ち昇り、幹部と部下たちの姿を包み込む。
霧が晴れた時、そこにはただ冷たい風だけが残っていた。
「……逃げた、だと?」
マイクが剣を下ろす。
ロディアスは空を見上げ、唇を固く結んだ。
「……あいつ、ただ者じゃない」
――一方その頃、廃工場から少し離れた森の闇の中。
黒い法衣の幹部は静かに呟いた。
「勇者……か。
面倒な相手が動き始めたな」
ギルド作戦室
重厚な扉が閉じられると、部屋の中は油ランプの明かりだけになった。
ロディアスは机の上に簡易地図を広げ、廃工場で遭遇した黒い法衣の男について説明する。
「長身で銀髪、紅い瞳。背後に黒い仮面を付けた部下が数人……奴の気配は、間違いなくただの人間じゃない」
「……その特徴。邪神教団の高位幹部、“四邪王”の一人かもしれん」
ギルド幹部の一人が低く唸る。
別の幹部が地図上に印をつけた。
「麻薬工場が破壊されたことで、教団は必ず報復か新たな工作に動く。今が好機だ。
ロディアス、お前たち勇者パーティーには正式に調査を依頼する。必要とあれば、奴らの拠点を突き止め、殲滅してくれ」
ロディアスは迷わず頷く。
「わかった。
必ずケリをつける」
⸻
ギルド・受付カウンター裏
会議室から出てきたロディアスの表情を、カウンター奥にいたティアは見逃さなかった。
彼の目に宿る決意は、いつもの無邪気さとは違う、鋭い光を放っていた。
(……やっぱり、本格的に動き出す気ね)
心中は穏やかではなかった。
邪神教団の幹部が現れた時点で、これは遊びや軽い依頼ではなくなる。
魔王としての自分にとって、勇者がどうなろうと関係ない――はずだった。
けれど胸の奥で、ほんの小さな棘のような不安が疼く。
(……あの真っ直ぐで馬鹿みたいな男が、もし……)
そんな自分の心の揺れに気づき、ティアは小さく舌打ちした。
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