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第七章 シャクイードの使者
第五十四話 魔法大祭典
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魔法大祭典の日。
学園中がざわめきと熱気に包まれていた。各会場には観客席が設けられ、保護者や他学年の生徒たちが詰めかけている。
「三試合目! 一年一組 VS 一年三組!」
実況役の教師が声を張り上げ、会場がさらに沸いた。
ティアは深呼吸をしてクリスタルの前に立つ。
観客席のあちこちから「鉄壁のティアだ!」「守備最強だぞ!」と声援が飛ぶ。
男子達の視線が集まるのを肌で感じ、思わず頬を赤らめてしまった。
「ティア、頼んだわよ!」
ナディアの声に、ティアは力強く頷いた。
試合開始の笛が鳴る。
瞬間、三組の前衛が猛攻を仕掛けてきた。炎弾、氷槍、風刃──次々と飛来する魔法がクリスタルへ迫る。
しかし、ティアは落ち着いていた。
「【多層防壁】!」
透明な魔法障壁が重なり、光の層となってクリスタルを覆う。攻撃魔法はことごとく弾かれ、まるで美しい花火のように弾け散った。
「くっ……全然通らない!」
三組の生徒が焦りの声を上げる。
一方で、前衛のクラニル、ランクルリット、カルリットの三人は大声を張り上げて突進した。
「今だ! 全力でいけ!」
エマとナディアが支援魔法で彼らを後押しする。
ついに男子三人の放った連携魔法が相手の防御を打ち破り、三組のクリスタルに直撃した。
──ゴォォォォン!!
会場に鳴り響く勝利の鐘。
「勝者──一年一組!」
観客席からは歓声と拍手が湧き起こる。
「やっぱり鉄壁のティアだ!」
「守備完璧すぎる!」
「可愛いのに強いとか反則だろ!」
照れくさそうに笑うティアを中心に、チームは初戦を快勝で飾ったのだった。
少し休憩を挟んで2回戦が開始される。
次の相手は3年生優勝候補。
3年1組はシードで一回戦を戦っていないが、模擬戦でも全く他のクラスを寄せ付けない強さを見せていた。
「これより、2回戦目を開始します。
3年1組と1年1組の生徒は集合して下さい。
そして、2回戦よりルールが追加されます。
敵のチーム全員に一定ダメージを与えても勝利となります。」
アナウンスが流れると会場は一層盛り上がりを見せた。
魔法競技試合チーム戦は勝ち上がり2回戦以降ルールが追加される。
より戦略的要素が追加される。
2回戦目からはクリスタルを守るだけでは勝てなくなる。
味方が一定ダメージを受けて全員戦闘不能になると負けとなる。
競技用のスーツには2回戦からダメージカウンターがダウンロードされる。
一定ダメージを受けると白いスーツが真っ赤になりその時点で戦闘不能と見なされる。
場外に退去しなければならない。
対戦相手の3年1組には、デビッド・グロリアスとセリカ・ビンセントの2人が双璧として前衛に立つ。
神速の魔皇子と呼ばれ、電撃で一瞬にして相手を黙らせるデビッド。
風絶の飛鳥と呼ばれ、神速の風になり相手を一瞬で薙ぎ倒すセリカ。
この2人がティア達の前に立ちはだかる。
ナディア達はその威圧感に息を呑んでいた。
ティアもその威圧感にどう対処すべきか思案していた。
観客席は立ち見が出るほどの人だかりとなり、試合開始前から地鳴りのような歓声が響いていた。
「おい見ろよ!一年と三年一組が当たるぞ!」
「デビッドとセリカのコンビだろ?
一年なんて瞬殺されるに決まってる!」
「でも鉄壁のティアがいるんだぜ?
ちょっとは面白い勝負になるんじゃねぇか?」
会場は熱狂と期待で揺れていた。
「ティア、大丈夫?」
ナディアが心配そうに声をかける。
「うん。
……でも、ただ守るだけじゃ勝てない。
攻めるチャンスを見つけないとね。」
ティアは静かに答える。
開始の合図を待つ両チーム。
対峙した瞬間、空気が変わった。
デビッドの身体からはビリビリと青白い電撃が漏れ、場の空気を焦がす。
セリカの髪は風に舞い、まるで嵐そのものがそこに立っているかのようだった。
「鉄壁のティアか……噂通りなら楽しませてくれよ。」
デビッドが薄く笑う。
「可愛い後輩ちゃん。あんまり泣かせるのも趣味じゃないんだけど……」
セリカが挑発的にウインクする。
その威圧感だけで、クラニル達前衛三人は汗を垂らし、エマとナディアは息を呑んでいた。
ティアは一歩前に出る。
「……泣かされる気はないわ。
私達だって、一年生の力を見せる!」
──ピィィィィィッ!!
笛の音と同時に、試合が始まった。
瞬間、デビッドの身体が雷光に包まれ、稲妻の閃光と共に前線へ。
同時にセリカの姿が風に溶け、まるで消えたかのようにティアの視界から消え失せる。
「っ……速い!」
ナディアの悲鳴にも似た声が響く。
初手から、神速の双璧が一年生チームに牙を剥いた──。
開始の笛が鳴ると同時に、デビッドとセリカが一気に飛び出した。
「行くぞ、セリカ!」
「ええ、瞬殺で終わらせるわ!」
雷と風が交差する。
デビッドの雷速の突撃とセリカの風斬りは、前衛に立ったクラニル達3人を一瞬で飲み込んだ。
「うわっ――!」
「防げねぇ……!」
「ぐっ……!」
雷撃を浴び、風の刃に吹き飛ばされ、男子3人はスーツが赤く染まる。
開始わずか十数秒で戦闘不能――その速さに会場がどよめいた。
「……嘘だろ……」
観客席から悲鳴にも似た声が上がる。
「一年の前衛が、瞬きする間に……!」
残されたのは、エマとナディア、そしてティアのみ。
「二人とも!私が援護するわ!」
ナディアが結界を張り、エマが氷の槍を次々と放つ。
風と雷を相手にしながら、必死に前へと踏み込む。
「……ふん、やるじゃない。」
セリカが風の刃で氷槍を切り裂く。
「だけど、その程度じゃ――!」
「まだっ……!」
ナディアの声が震える。
必死に結界を重ね、仲間を守ろうとするが、次の瞬間、デビッドの稲妻が結界を貫いた。
「くっ……あぁっ!」
ナディアのスーツが真っ赤に染まり、場外へと退場させられる。
「ナディアッ!」
エマが叫びながら氷壁を展開し、最後の抵抗を試みる。
だが――
「遅い!」
デビッドの雷撃が壁を破り、セリカの風がエマを吹き飛ばす。
「きゃああっ!」
彼女のスーツも真っ赤に染まり、無念の退場となった。
残るは、ティアただ一人。
「……なるほど。」
仲間が倒れていく様を見届け、ティアは静かに瞼を伏せた。
「本気を出す事は無いと思っていたけれど――」
唇に笑みが浮かぶ。
ー学園では全力の1%未満と決めていた。
……その1%が先輩達を上回るか。先輩達が私の1%を超えてくるか。
ちょっと、面白そうじゃない。ー
その瞬間――
ティアから放たれた魔力の波動がホールを覆った。
空気が凍りつき、観客は一斉に息を呑む。
「な、何だ……この圧……!」
「一年生……だと……!?」
デビッドとセリカすら、思わず動きを止める。
ティアが解放した“わずか1%”の魔力は、絶対的な存在感でその場を支配していた。
「……さぁ、ここからが本番よ。」
鉄壁の守護者は、孤高の戦士へと姿を変えた。
ティアの前に立ちはだかるのは、雷と風の双璧。
デビッドの電光が閃く。
セリカの疾風が駆け抜ける。
――だが、そのすべてをティアはかわしていた。
「っ……速い!?」
デビッドの雷撃が彼女の頬をかすめる。
「私の風より速い……だなんて!」
セリカの突撃が空を切る。
ティアの身体は光を帯びる様に滑らかに、しなやかに躱していく。
回避の一閃、その反撃の一撃。
普通の観客には全く追えない。
ただ光と衝撃だけがホールを支配し、目の前で何が起きているのかさえ理解できなかった。
「――ッはは!」
デビッドの口元に笑みが浮かぶ。
「こんな奴が……一年にいるのか!」
セリカの瞳も、戦いの昂揚に輝いていた。
「最高じゃない!」
三人は常人の目には見えぬ速さで攻防を繰り返す。
雷と風が交わり、そこにティアの光刃が閃く。
避け、躱し、撃ち合い、またすれ違う。
――それでもティアは一度も“守り”に徹しない。
(私は……1%以上は出さない。
さあ、先輩達、私の1%を超えて見せて)
容赦ない速度戦は次第にデビッドとセリカの肉体を蝕んでいった。
呼吸は荒く、魔力は限界を迎えつつある。
それでも二人は笑みを浮かべる。
ーくぅ、もう限界だー
ーあの子、息も切らせてないのにー
2人は遂に限界を超えた。
「デビッド、合わせるわよ!」
「ああ、来い!」
二人の連携が頂点に達する。
雷と風が一条の槍となり、ティアを狙う。
「……っ!」
先輩達、早くなってる
初めて、ティアの視界に閃光が迫った。
避けきれない。
雷光が身体を穿ち、風刃が背を叩く。
「……っああ!」
白いスーツが一気に真紅に染まった。
次の瞬間、ティアの身体は光に包まれ、場外へ転送されていく。
「――……負けた?」
観客席がどよめく。
鉄壁のティア、絶対無敗と囁かれた少女の敗北。
だがその表情は、不思議なほど晴れやかだった。
「……いいわ。
先輩達、私の1%に……届いたのね。」
観客が息を呑み、歓声が爆発する。
デビッドとセリカは肩で息をしながら、互いに拳をぶつけ合った。
「最高の相手だったな。」
「ええ――あんな一年生、見たことないわ。」
敗北と同時に、ティアの存在は学園全体に刻み込まれた。
学園中がざわめきと熱気に包まれていた。各会場には観客席が設けられ、保護者や他学年の生徒たちが詰めかけている。
「三試合目! 一年一組 VS 一年三組!」
実況役の教師が声を張り上げ、会場がさらに沸いた。
ティアは深呼吸をしてクリスタルの前に立つ。
観客席のあちこちから「鉄壁のティアだ!」「守備最強だぞ!」と声援が飛ぶ。
男子達の視線が集まるのを肌で感じ、思わず頬を赤らめてしまった。
「ティア、頼んだわよ!」
ナディアの声に、ティアは力強く頷いた。
試合開始の笛が鳴る。
瞬間、三組の前衛が猛攻を仕掛けてきた。炎弾、氷槍、風刃──次々と飛来する魔法がクリスタルへ迫る。
しかし、ティアは落ち着いていた。
「【多層防壁】!」
透明な魔法障壁が重なり、光の層となってクリスタルを覆う。攻撃魔法はことごとく弾かれ、まるで美しい花火のように弾け散った。
「くっ……全然通らない!」
三組の生徒が焦りの声を上げる。
一方で、前衛のクラニル、ランクルリット、カルリットの三人は大声を張り上げて突進した。
「今だ! 全力でいけ!」
エマとナディアが支援魔法で彼らを後押しする。
ついに男子三人の放った連携魔法が相手の防御を打ち破り、三組のクリスタルに直撃した。
──ゴォォォォン!!
会場に鳴り響く勝利の鐘。
「勝者──一年一組!」
観客席からは歓声と拍手が湧き起こる。
「やっぱり鉄壁のティアだ!」
「守備完璧すぎる!」
「可愛いのに強いとか反則だろ!」
照れくさそうに笑うティアを中心に、チームは初戦を快勝で飾ったのだった。
少し休憩を挟んで2回戦が開始される。
次の相手は3年生優勝候補。
3年1組はシードで一回戦を戦っていないが、模擬戦でも全く他のクラスを寄せ付けない強さを見せていた。
「これより、2回戦目を開始します。
3年1組と1年1組の生徒は集合して下さい。
そして、2回戦よりルールが追加されます。
敵のチーム全員に一定ダメージを与えても勝利となります。」
アナウンスが流れると会場は一層盛り上がりを見せた。
魔法競技試合チーム戦は勝ち上がり2回戦以降ルールが追加される。
より戦略的要素が追加される。
2回戦目からはクリスタルを守るだけでは勝てなくなる。
味方が一定ダメージを受けて全員戦闘不能になると負けとなる。
競技用のスーツには2回戦からダメージカウンターがダウンロードされる。
一定ダメージを受けると白いスーツが真っ赤になりその時点で戦闘不能と見なされる。
場外に退去しなければならない。
対戦相手の3年1組には、デビッド・グロリアスとセリカ・ビンセントの2人が双璧として前衛に立つ。
神速の魔皇子と呼ばれ、電撃で一瞬にして相手を黙らせるデビッド。
風絶の飛鳥と呼ばれ、神速の風になり相手を一瞬で薙ぎ倒すセリカ。
この2人がティア達の前に立ちはだかる。
ナディア達はその威圧感に息を呑んでいた。
ティアもその威圧感にどう対処すべきか思案していた。
観客席は立ち見が出るほどの人だかりとなり、試合開始前から地鳴りのような歓声が響いていた。
「おい見ろよ!一年と三年一組が当たるぞ!」
「デビッドとセリカのコンビだろ?
一年なんて瞬殺されるに決まってる!」
「でも鉄壁のティアがいるんだぜ?
ちょっとは面白い勝負になるんじゃねぇか?」
会場は熱狂と期待で揺れていた。
「ティア、大丈夫?」
ナディアが心配そうに声をかける。
「うん。
……でも、ただ守るだけじゃ勝てない。
攻めるチャンスを見つけないとね。」
ティアは静かに答える。
開始の合図を待つ両チーム。
対峙した瞬間、空気が変わった。
デビッドの身体からはビリビリと青白い電撃が漏れ、場の空気を焦がす。
セリカの髪は風に舞い、まるで嵐そのものがそこに立っているかのようだった。
「鉄壁のティアか……噂通りなら楽しませてくれよ。」
デビッドが薄く笑う。
「可愛い後輩ちゃん。あんまり泣かせるのも趣味じゃないんだけど……」
セリカが挑発的にウインクする。
その威圧感だけで、クラニル達前衛三人は汗を垂らし、エマとナディアは息を呑んでいた。
ティアは一歩前に出る。
「……泣かされる気はないわ。
私達だって、一年生の力を見せる!」
──ピィィィィィッ!!
笛の音と同時に、試合が始まった。
瞬間、デビッドの身体が雷光に包まれ、稲妻の閃光と共に前線へ。
同時にセリカの姿が風に溶け、まるで消えたかのようにティアの視界から消え失せる。
「っ……速い!」
ナディアの悲鳴にも似た声が響く。
初手から、神速の双璧が一年生チームに牙を剥いた──。
開始の笛が鳴ると同時に、デビッドとセリカが一気に飛び出した。
「行くぞ、セリカ!」
「ええ、瞬殺で終わらせるわ!」
雷と風が交差する。
デビッドの雷速の突撃とセリカの風斬りは、前衛に立ったクラニル達3人を一瞬で飲み込んだ。
「うわっ――!」
「防げねぇ……!」
「ぐっ……!」
雷撃を浴び、風の刃に吹き飛ばされ、男子3人はスーツが赤く染まる。
開始わずか十数秒で戦闘不能――その速さに会場がどよめいた。
「……嘘だろ……」
観客席から悲鳴にも似た声が上がる。
「一年の前衛が、瞬きする間に……!」
残されたのは、エマとナディア、そしてティアのみ。
「二人とも!私が援護するわ!」
ナディアが結界を張り、エマが氷の槍を次々と放つ。
風と雷を相手にしながら、必死に前へと踏み込む。
「……ふん、やるじゃない。」
セリカが風の刃で氷槍を切り裂く。
「だけど、その程度じゃ――!」
「まだっ……!」
ナディアの声が震える。
必死に結界を重ね、仲間を守ろうとするが、次の瞬間、デビッドの稲妻が結界を貫いた。
「くっ……あぁっ!」
ナディアのスーツが真っ赤に染まり、場外へと退場させられる。
「ナディアッ!」
エマが叫びながら氷壁を展開し、最後の抵抗を試みる。
だが――
「遅い!」
デビッドの雷撃が壁を破り、セリカの風がエマを吹き飛ばす。
「きゃああっ!」
彼女のスーツも真っ赤に染まり、無念の退場となった。
残るは、ティアただ一人。
「……なるほど。」
仲間が倒れていく様を見届け、ティアは静かに瞼を伏せた。
「本気を出す事は無いと思っていたけれど――」
唇に笑みが浮かぶ。
ー学園では全力の1%未満と決めていた。
……その1%が先輩達を上回るか。先輩達が私の1%を超えてくるか。
ちょっと、面白そうじゃない。ー
その瞬間――
ティアから放たれた魔力の波動がホールを覆った。
空気が凍りつき、観客は一斉に息を呑む。
「な、何だ……この圧……!」
「一年生……だと……!?」
デビッドとセリカすら、思わず動きを止める。
ティアが解放した“わずか1%”の魔力は、絶対的な存在感でその場を支配していた。
「……さぁ、ここからが本番よ。」
鉄壁の守護者は、孤高の戦士へと姿を変えた。
ティアの前に立ちはだかるのは、雷と風の双璧。
デビッドの電光が閃く。
セリカの疾風が駆け抜ける。
――だが、そのすべてをティアはかわしていた。
「っ……速い!?」
デビッドの雷撃が彼女の頬をかすめる。
「私の風より速い……だなんて!」
セリカの突撃が空を切る。
ティアの身体は光を帯びる様に滑らかに、しなやかに躱していく。
回避の一閃、その反撃の一撃。
普通の観客には全く追えない。
ただ光と衝撃だけがホールを支配し、目の前で何が起きているのかさえ理解できなかった。
「――ッはは!」
デビッドの口元に笑みが浮かぶ。
「こんな奴が……一年にいるのか!」
セリカの瞳も、戦いの昂揚に輝いていた。
「最高じゃない!」
三人は常人の目には見えぬ速さで攻防を繰り返す。
雷と風が交わり、そこにティアの光刃が閃く。
避け、躱し、撃ち合い、またすれ違う。
――それでもティアは一度も“守り”に徹しない。
(私は……1%以上は出さない。
さあ、先輩達、私の1%を超えて見せて)
容赦ない速度戦は次第にデビッドとセリカの肉体を蝕んでいった。
呼吸は荒く、魔力は限界を迎えつつある。
それでも二人は笑みを浮かべる。
ーくぅ、もう限界だー
ーあの子、息も切らせてないのにー
2人は遂に限界を超えた。
「デビッド、合わせるわよ!」
「ああ、来い!」
二人の連携が頂点に達する。
雷と風が一条の槍となり、ティアを狙う。
「……っ!」
先輩達、早くなってる
初めて、ティアの視界に閃光が迫った。
避けきれない。
雷光が身体を穿ち、風刃が背を叩く。
「……っああ!」
白いスーツが一気に真紅に染まった。
次の瞬間、ティアの身体は光に包まれ、場外へ転送されていく。
「――……負けた?」
観客席がどよめく。
鉄壁のティア、絶対無敗と囁かれた少女の敗北。
だがその表情は、不思議なほど晴れやかだった。
「……いいわ。
先輩達、私の1%に……届いたのね。」
観客が息を呑み、歓声が爆発する。
デビッドとセリカは肩で息をしながら、互いに拳をぶつけ合った。
「最高の相手だったな。」
「ええ――あんな一年生、見たことないわ。」
敗北と同時に、ティアの存在は学園全体に刻み込まれた。
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