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第七章 シャクイードの使者
第五十九話 会長選挙
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会長選挙戦も大詰めを迎えていた。
それはファンクラブにとっても重要な時期であり、彼らの熱意は、まるでアイドルを推す時のそれと同じ──いや、それ以上に熱を帯びていた。
ティア自身も、その空気に押されるように不思議なほど前向きになっていた。
「メリル。
……私、頑張ってみる」
「うん!
私も全力で応援するから!」
それからのティアは、自らファンクラブと共に活動を始めるようになる。
登校時間には校門前で生徒に声をかけ、昼休みには講堂で演説会を開く。
最初は恥ずかしさで声も小さかったが、次第にティアの真剣さが生徒達の心を動かしていった。
そして──会長選挙の投票日。
講堂には全校生徒が集まっていた。
壇上には、現副会長レゼントと、対するティア。
いよいよ、最後の演説が始まろうとしている。
「それでは──王立魔法学園フェルミナンス学園、生徒会長選挙の最終演説を始めます。
両候補の演説が終わり次第、直ちに投票を行い、即時集計の上、次期会長を発表いたします。
それではまず、現副会長──レゼント・アーセナスさん、よろしくお願いいたします!」
司会の言葉に、会場から拍手が起こる。
レゼントはゆっくりと前に出て、生徒たちを見渡した。
堂々としたその姿に、やはり王族の気品が漂っている。
「フェルミナンスの諸君。
私はこれまで副会長として、生徒会の一員として、学園を支えてきました。
学園はただ学ぶ場ではなく、我々が未来に羽ばたくための礎です。
私はこれをより強固なものにしたい。
秩序を守り、規律を正し、誰もが安心して魔法の研鑽に打ち込める環境を整える。
そのために私は生徒会長に立候補しました」
静かな声だが、一言一言に重みがある。
「──諸君。
学園に必要なのは、ただの人気や一時の熱狂ではありません。
真に学園を導く“責任ある力”なのです。
私はその責務を担える者だと自負しています。
どうか皆さんの一票を、私に託していただきたい」
レゼントが一礼すると、講堂は大きな拍手に包まれた。
王族としての威厳、そして副会長としての実績──確かに説得力は十分だ。
だが、その一方で、ティアを推すファンクラブの面々は息を呑みながら次の瞬間を待っていた。
「ありがとうございました。
それでは続きまして──ティア・ミサナミ候補、お願いいたします!」
会場の視線が一斉にティアに集まる。
彼女は深呼吸をして、一歩前に踏み出した。
ティアは深呼吸を一つして壇上に立ち、少し緊張したように口を開いた。
「えっと……まず最初に。
私を会長候補として推してくれた人たちに、心からありがとうって言いたいです。
皆さんの応援がなければ、ここに立つことなんて絶対にありませんでした」
会場から温かな拍手が起こる。
ティアは頬を赤らめながら、続けた。
「私は、この国の人間じゃありません。
途中からこの学園に転入してきた“外から来た生徒”です。
でも……そんな私を受け入れてくれて、一緒に笑ったり、泣いたり、時には競い合ったり……。
たくさんの思い出を、皆からもらうことができました。
そのおかげで、私はこの学園が大好きになりました」
少し言葉を詰まらせたが、彼女の目は真っ直ぐに生徒たちを見ている。
「最初は、生徒会会長なんて私には向いてないって思っていました。
でも……“ティアが好きだよ”って、そう言って応援してくれる人たちがいて。
その気持ちがすごく嬉しくて……私も応えたいって思うようになりました」
会場のあちこちから「ティアー!」と声援が飛ぶ。
「もし私が会長になれたら……皆がもっと楽しく、安心して魔法を学べるような環境を作りたいです。
勉強も、友達も、部活動も、恋も──全部が青春だと思うから。
だから……みんな! 一緒に青春を楽しもう!」
最後は力強く叫び、ティアは大きく両手を広げた。
会場は一瞬の静寂の後、割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。
講堂の空気は、今まさに沸点に達しようとしていた。
演説が終わると同時に、学園手帳を手にした生徒たちが一斉にアプリを開き始める。
この「学園手帳」は生徒全員に配布される必須の魔導具で、身分証にもなり、授業や寮の管理、そして──こうした投票にも使われる。
「ピッ」という音がそこかしこから鳴り響き、電子投票が始まった。
「それでは投票を開始してください!」
係員の声と同時に、生徒たちが画面に指を滑らせる。
「ティアに一票!」
「いやいや、殿下だろ!」
ざわめきと笑いが飛び交う中、数分も経たずに全校生徒の投票が完了してしまう。
壇上の大きな水晶スクリーンに、集計が光の数字として浮かび上がる。
「結果発表──!」
表示されたのは、誰もが目を疑うような数字だった。
総投票数 525票
ティア: 356票
レゼント:169票
一瞬、会場が静まり返った。
次の瞬間──
「「「うおおおおおおおおおっ!!!」」」
ティア支持者たちが立ち上がり、講堂は地響きのような歓声に包まれる。
紙吹雪の魔法が舞い、ティアファンクラブの面々は抱き合いながら涙を流し、宙を舞っているような勢いだ。
「ティア! ティア! ティア!」
「女神降臨だぁぁぁ!」
「推しが……会長になったぁぁぁ!」
あまりの熱狂に、壇上のティアは頬を真っ赤にして両手をぶんぶん振り回していた。
「ちょ、ちょっと!
皆、落ち着いて!
そんなに騒がなくても──!」
だがその声すら歓声にかき消され、講堂の熱気は収まるどころかさらに増していった。
こうして、ティアは圧倒的な支持をもって、生徒会長に選ばれたのであった。
大歓声の中、ティアは壇上に立たされていた。
顔は真っ赤、胸はどきどき。
こんなに大勢の視線を浴びるのは戦闘の時よりよっぽど緊張する。
「え、えっと……」
マイクにあたる魔導具を持ちながら、ティアは一度深呼吸した。
そして、ふっと笑みを浮かべて口を開く。
「まだ本当に信じられません。
選挙戦から沢山の人たちと話し合って語り合ってここまで来ました。
こんな私が生徒会長なんて、未だに不思議です。
でも……皆が、こんな私を推してくれて、支えてくれて……その気持ちが本当に嬉しかったんです。
だから、これからは──皆が楽しく魔法を学べるように、私も頑張ります!」
言葉を詰まらせながらも、最後は大きな声で叫んだ。
「みんな……ありがとうーー!!!」
再び講堂が割れるような歓声に包まれる。
ティアは思わず両手で顔を覆い、照れ隠しするしかなかった。
その横に立っていた副会長・レゼントが、肩をすくめながらぼそっと声をかける。
「ふん……まあ、結果がすべてだ。
心配するな、俺がしっかり支えてやる。」
不器用な言葉に、ティアは思わず目を丸くし──次の瞬間、にっこりと微笑んだ。
「ありがとうございます、レゼント先輩。」
壇下ではメリルがすでに涙をこぼしていた。
「ティア……本当にすごいよ……! よく頑張ったね!」
クラスメイトたちも次々と駆け寄り、ファンクラブ会員たちは「ティア! ティア!」と声を合わせる。
誰もが笑顔で、誰もが誇らしげにティアを見つめていた。
こうして、王立魔法学園フェルミナンスの生徒会長選挙は幕を閉じ──新たな会長、ティアの時代が始まったのであった。
それはファンクラブにとっても重要な時期であり、彼らの熱意は、まるでアイドルを推す時のそれと同じ──いや、それ以上に熱を帯びていた。
ティア自身も、その空気に押されるように不思議なほど前向きになっていた。
「メリル。
……私、頑張ってみる」
「うん!
私も全力で応援するから!」
それからのティアは、自らファンクラブと共に活動を始めるようになる。
登校時間には校門前で生徒に声をかけ、昼休みには講堂で演説会を開く。
最初は恥ずかしさで声も小さかったが、次第にティアの真剣さが生徒達の心を動かしていった。
そして──会長選挙の投票日。
講堂には全校生徒が集まっていた。
壇上には、現副会長レゼントと、対するティア。
いよいよ、最後の演説が始まろうとしている。
「それでは──王立魔法学園フェルミナンス学園、生徒会長選挙の最終演説を始めます。
両候補の演説が終わり次第、直ちに投票を行い、即時集計の上、次期会長を発表いたします。
それではまず、現副会長──レゼント・アーセナスさん、よろしくお願いいたします!」
司会の言葉に、会場から拍手が起こる。
レゼントはゆっくりと前に出て、生徒たちを見渡した。
堂々としたその姿に、やはり王族の気品が漂っている。
「フェルミナンスの諸君。
私はこれまで副会長として、生徒会の一員として、学園を支えてきました。
学園はただ学ぶ場ではなく、我々が未来に羽ばたくための礎です。
私はこれをより強固なものにしたい。
秩序を守り、規律を正し、誰もが安心して魔法の研鑽に打ち込める環境を整える。
そのために私は生徒会長に立候補しました」
静かな声だが、一言一言に重みがある。
「──諸君。
学園に必要なのは、ただの人気や一時の熱狂ではありません。
真に学園を導く“責任ある力”なのです。
私はその責務を担える者だと自負しています。
どうか皆さんの一票を、私に託していただきたい」
レゼントが一礼すると、講堂は大きな拍手に包まれた。
王族としての威厳、そして副会長としての実績──確かに説得力は十分だ。
だが、その一方で、ティアを推すファンクラブの面々は息を呑みながら次の瞬間を待っていた。
「ありがとうございました。
それでは続きまして──ティア・ミサナミ候補、お願いいたします!」
会場の視線が一斉にティアに集まる。
彼女は深呼吸をして、一歩前に踏み出した。
ティアは深呼吸を一つして壇上に立ち、少し緊張したように口を開いた。
「えっと……まず最初に。
私を会長候補として推してくれた人たちに、心からありがとうって言いたいです。
皆さんの応援がなければ、ここに立つことなんて絶対にありませんでした」
会場から温かな拍手が起こる。
ティアは頬を赤らめながら、続けた。
「私は、この国の人間じゃありません。
途中からこの学園に転入してきた“外から来た生徒”です。
でも……そんな私を受け入れてくれて、一緒に笑ったり、泣いたり、時には競い合ったり……。
たくさんの思い出を、皆からもらうことができました。
そのおかげで、私はこの学園が大好きになりました」
少し言葉を詰まらせたが、彼女の目は真っ直ぐに生徒たちを見ている。
「最初は、生徒会会長なんて私には向いてないって思っていました。
でも……“ティアが好きだよ”って、そう言って応援してくれる人たちがいて。
その気持ちがすごく嬉しくて……私も応えたいって思うようになりました」
会場のあちこちから「ティアー!」と声援が飛ぶ。
「もし私が会長になれたら……皆がもっと楽しく、安心して魔法を学べるような環境を作りたいです。
勉強も、友達も、部活動も、恋も──全部が青春だと思うから。
だから……みんな! 一緒に青春を楽しもう!」
最後は力強く叫び、ティアは大きく両手を広げた。
会場は一瞬の静寂の後、割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。
講堂の空気は、今まさに沸点に達しようとしていた。
演説が終わると同時に、学園手帳を手にした生徒たちが一斉にアプリを開き始める。
この「学園手帳」は生徒全員に配布される必須の魔導具で、身分証にもなり、授業や寮の管理、そして──こうした投票にも使われる。
「ピッ」という音がそこかしこから鳴り響き、電子投票が始まった。
「それでは投票を開始してください!」
係員の声と同時に、生徒たちが画面に指を滑らせる。
「ティアに一票!」
「いやいや、殿下だろ!」
ざわめきと笑いが飛び交う中、数分も経たずに全校生徒の投票が完了してしまう。
壇上の大きな水晶スクリーンに、集計が光の数字として浮かび上がる。
「結果発表──!」
表示されたのは、誰もが目を疑うような数字だった。
総投票数 525票
ティア: 356票
レゼント:169票
一瞬、会場が静まり返った。
次の瞬間──
「「「うおおおおおおおおおっ!!!」」」
ティア支持者たちが立ち上がり、講堂は地響きのような歓声に包まれる。
紙吹雪の魔法が舞い、ティアファンクラブの面々は抱き合いながら涙を流し、宙を舞っているような勢いだ。
「ティア! ティア! ティア!」
「女神降臨だぁぁぁ!」
「推しが……会長になったぁぁぁ!」
あまりの熱狂に、壇上のティアは頬を真っ赤にして両手をぶんぶん振り回していた。
「ちょ、ちょっと!
皆、落ち着いて!
そんなに騒がなくても──!」
だがその声すら歓声にかき消され、講堂の熱気は収まるどころかさらに増していった。
こうして、ティアは圧倒的な支持をもって、生徒会長に選ばれたのであった。
大歓声の中、ティアは壇上に立たされていた。
顔は真っ赤、胸はどきどき。
こんなに大勢の視線を浴びるのは戦闘の時よりよっぽど緊張する。
「え、えっと……」
マイクにあたる魔導具を持ちながら、ティアは一度深呼吸した。
そして、ふっと笑みを浮かべて口を開く。
「まだ本当に信じられません。
選挙戦から沢山の人たちと話し合って語り合ってここまで来ました。
こんな私が生徒会長なんて、未だに不思議です。
でも……皆が、こんな私を推してくれて、支えてくれて……その気持ちが本当に嬉しかったんです。
だから、これからは──皆が楽しく魔法を学べるように、私も頑張ります!」
言葉を詰まらせながらも、最後は大きな声で叫んだ。
「みんな……ありがとうーー!!!」
再び講堂が割れるような歓声に包まれる。
ティアは思わず両手で顔を覆い、照れ隠しするしかなかった。
その横に立っていた副会長・レゼントが、肩をすくめながらぼそっと声をかける。
「ふん……まあ、結果がすべてだ。
心配するな、俺がしっかり支えてやる。」
不器用な言葉に、ティアは思わず目を丸くし──次の瞬間、にっこりと微笑んだ。
「ありがとうございます、レゼント先輩。」
壇下ではメリルがすでに涙をこぼしていた。
「ティア……本当にすごいよ……! よく頑張ったね!」
クラスメイトたちも次々と駆け寄り、ファンクラブ会員たちは「ティア! ティア!」と声を合わせる。
誰もが笑顔で、誰もが誇らしげにティアを見つめていた。
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