114 / 162
第十四章 セイントスター世界学園へ
第百十四話 神域の学び舎
しおりを挟む
講堂に足を踏み入れると、既に多くの生徒たちが集まっていた。
ざわめきの中で挨拶を交わす声や、早くも打ち解けた様子の笑い声が響いている。
天井は高く、荘厳な魔法光が柔らかく空間を照らしており、空気そのものがどこか非現実的だった。
ティアがゆっくりと奥へ進もうとしたその時――。
「へぇ~……すげぇ美人じゃねぇか。」
低く響く声と共に、前方に影が立ち塞がった。
黒髪に、額から短く突き出た二本の角。
紅い瞳は鋭く光り、青白い肌にはまるで戦の痕のような気迫が宿っている。
その全身から放たれる圧は、まるで獣のようだった。
「どうだ、俺の女になれよ!」
講堂が一瞬、静まり返る。
誰もが目を見張る中、ティアは一歩も退かずに微笑んだ。
「あら、いきなり口説かれるなんて光栄ね。
でも――あなた、私より弱そうだわ。
引っ込んでなさい。」
軽く手を振るような仕草でその男子を払い除け、何事もなかったように歩き出すティア。
その瞬間、空気が一変した。
「弱そうだと……?」
怒気を孕んだ声が背後から響く。
ティアはゆるりと振り返り、紅い瞳を真っ直ぐに見据えた。
「ええ、そう言ったと思うけど?」
その余裕の態度に、男子生徒の額に青筋が浮かぶ。
「偉そうな女だな!
まったく……!
こんな制服まで着せられて、何考えてやがるんだ、この学園は!」
「あら、この制服、可愛いと思うけど?」
「フン!
そんな短いスカート履いて、男を誘ってるんじゃねぇのか?」
ティアはくすりと笑い、涼しい声で返した。
「貧相な発想ね。
短いスカートは“可愛い”から履いてるのよ。
少なくとも、あなたを誘ってるわけじゃないわ。
――もっと、紳士的で礼儀正しい方に興味があるの。」
「……いい度胸だ!」
男は怒りに燃える眼で睨みつけた。
「俺の名はザフラ・トフ。
鬼神族の長の嫡男だ!
この学園には“決闘制度”があるらしいな。
最初の相手はお前だ、ティア・リブン!
逃げるなよ!」
「逃げる?
ふふ……その必要はないわ。
いつでも相手になってあげる。」
ティアは微笑んで、静かに名を名乗る。
「私はティア・リブン。
――神魔族よ。」
「神魔族、だと?
聞いたことねぇな。
魔族の一種か……まあいい。
楽しみにしてるぜ。」
ザフラは鼻を鳴らすと、肩をいからせて去っていった。
その背に残る魔力の圧は、確かに只者ではない。
セリアがすぐにティアの傍へ寄り、低い声で告げた。
「主様。
あの者――かなりの手練れです。
不意を突く可能性もございます。」
ティアは小さく頷き、ふっと笑みを浮かべる。
「ええ、気をつけておくわ。
でも……悪くない刺激ね。」
その笑顔は、どこか楽しげで――嵐の前の静けさを孕んでいた。
講堂の奥は、ざわめきと緊張の気配に包まれていた。
先ほどティアが遭遇したような口論や小競り合いが、あちらこちらで起こっている。
獣神族と鬼神族が睨み合い、エルフと精霊族が言葉を交わし、種族ごとの誇りが火花を散らしていた。
そんな中、背後から落ち着いた低音の声が響いた。
「さっき絡まれてたな。
可愛い顔して、凄むとは……中々面白そうな女だ。」
振り向くと、長身の青年が腕を組んで立っていた。
銀灰色の髪に、龍のような紋様がうっすらと浮かぶ肌。
瞳は深い琥珀色で、覇気と静寂を同時に宿している。
「俺は龍神族のソウ・クラウ・ドュスロ。
ソウで構わないぜ。」
「どうも。
私は神魔族のティア・リブンです。」
「神魔族……珍しい種族だな。」
ソウは興味深そうにティアを見つめた。
「そういえば、男子寮にも一人。
神魔族が居たな。」
「えっ?
本当ですか?」
「ああ。
確か――ユサリス・ロードとか名乗ってた。」
ティアは小さく眉を寄せる。
「ユサリス……聞いたことはないわ。」
「そうか。」
ソウは腕を組んだまま、講堂のざわめきを見渡した。
「それにしても、おかしいと思わねぇか?
見渡しても聞いたことのねぇ種族ばかりだ。
何のために集められたんだ、俺たちは。」
ティアも頷いた。
「ええ、私も同じことを考えていました。
少し確認なんですが――ソウさん。
フィレン帝国をご存じですか?」
「ん? フィレン帝国?
そんな国、聞いたこともねぇ。」
「やっぱり……。」
ティアの瞳に鋭い光が宿る。
「私の予想が正しければ、ここは“神域”。
恐らく――神園(しんえん)のどこかだと思います。」
「神域だと? 冗談だろ?
俺たちは普通に街から学園の門を通ってここに来たんだぞ。」
「その“門”が鍵です。
あれは、ただの門じゃない。
神域へ繋がる扉――そう考えれば、
聞いたこともない種族が勢揃いしている理由も説明できます。」
ソウは腕を下ろし、口笛を吹いた。
「なるほどな……そうなると、面白い話になってきた。」
ティアは微笑を浮かべると、再び講堂の奥へと歩き出した。
「同じ神魔族の男性……ユサリス。
どんな人なのか、見てみたいわ。」
歩きながら周囲を見渡していると、陽気な声が響く。
「おっと、これはこれは!
凄ぇ可愛い女子を発見だ!」
声の主は、長い白髪を無造作に結った青年。
白衣のような服を纏い、目尻に笑い皺を刻んでいる。
「俺は仙人族のウルタビ・ヒドって者だ。
よろしくな。」
ティアは軽く会釈して微笑んだ。
「褒めてくださってありがとうございます。
私は神魔族のティア・リブンです。
ちょっとお尋ねしますが、私と同じ神魔族の男性――ご存じですか?」
「神魔族?
いやぁ、聞いたことねぇな。
残念!」
「そうですか。
ありがとうございます。」
ティアは軽く頭を下げ、再び人の群れを見渡した。
――だがその時。
壇上に、三人の大人の姿が現れた。
それだけで場の空気がぴたりと静まり返る。
中央に立つ男性が、両手を広げて声を響かせた。
「さて――皆さん、こちらにご注目ください。」
その声は講堂全体に響き渡り、緊張と期待が走る。
「セイントスター世界魔法学園へのご入学、おめでとうございます。
あなたたちは――“選ばれし種族”です!」
その言葉に、講堂中がざわめいた。
誰もが、自分たちが“なぜここに居るのか”を知りたくてたまらなかった。
ティアは黙って壇上を見つめながら、胸の奥で呟いた。
――“選ばれし種族”ね。
壇上の男性の声は、まだ終わりではなかった。
静まり返る講堂に、再び響く低くよく通る声。
「セイントスター学園で、あなた方が何を学ぶのか……気になりますよね。」
彼はゆっくりと歩きながら言葉を続けた。
「それは――神の領域の魔法と知識です。」
一瞬、会場がどよめく。
ティアの胸の奥にも、淡い緊張が走った。
「お気づきの方もいるかもしれませんが、あなた方はそれぞれ異なる次元世界から選ばれ、スカウトされました。
この学園は、神域における“特別な試練の場”でもあります。」
教師の一人が手をかざすと、講堂の空間に魔法陣が浮かび上がる。
その光が波紋のように広がり、全員の視界に情報が映し出された。
「そして、学園の日課として――毎日、決闘を実施していただきます。
それによって、我々は皆さんの実力を測り、学園内で序列を定めます。」
講堂中が一気にざわつく。
戦闘に自信を見せる者もいれば、驚きに声を漏らす者もいた。
「決闘のルールや詳細は、各クラスで説明します。
それでは――今からクラス分けを発表します。」
その言葉と同時に、講堂の壁面が光を放ち、
魔法文字が浮かび上がる。
ティアの目がある一点で止まった。
《一組 ティア・リブン》
「一組……ね。」
ティアは立ち上がり、講堂を後にした。
校舎の一階、左端にある「一組」の教室へ。
扉を開くと、そこにはまるで王族用の学習室のような光景が広がっていた。
「……立派な机と椅子ね。」
磨き抜かれた木製の机は滑らかで、座り心地の良さそうな椅子。
机の上には魔導式の電子端末が埋め込まれ、
引き出しには魔法具を収納するスペースがいくつも設けられている。
教壇の後ろには巨大な魔導モニターが設置されており、
最新の神技術が詰まっていることがひと目で分かった。
ティアは自分の名前が貼られた席を見つけ、腰を下ろす。
「ティアさん。
同じクラスね。」
声をかけてきたのはアリーシアだった。
「あら、アリーシアさん。
良かったわ。
知っている人がいるだけで、少し安心するわね。」
「それ、私も思いました。」
2人は顔を見合わせて、穏やかに微笑み合った。
その瞬間――
「よぉ!
生意気な女が同じクラスか!」
聞き覚えのある声が響く。鬼神族のザフラが腕を組んで立っていた。
「まあ、すぐに俺の前に跪くことになるだろうがな!」
ティアはため息をひとつ。
「それはどうかしらね。
……まあ、仲良くやりましょうよ?」
軽く微笑んで返すティアに、ザフラは一瞬むっとした表情を見せたが、すぐに鼻で笑った。
「ティアさんっていうのね。」
今度は柔らかい声が背後からかかった。
振り向くと、長い金髪に翡翠色の瞳を持つエルフの女性が立っている。
「私は精霊族エルフのミカーニャ・ヘブン。
あなた、とても強いわね。
見てすぐに分かった。
他の人たちとは……格が違うわ。」
「あら、ありがとうございます。」
ティアは軽く会釈を返す。
「私は神魔族のティア・リブン。
よろしくね。」
その名を聞いた瞬間、周囲の女子たちが興味深そうに集まってきた。
「神魔族って初めて聞く!」
「制服の着こなしがすごく綺麗!」
「髪も肌も……人間とは違う透明感ね!」
気付けば、ティアの周りには小さな輪ができていた。
微笑を浮かべながらも、ティアは心の奥で思う。
――“選ばれし種族”。
決闘に序列、神の魔法……。
やはり、この学園にはただの教育以上の“目的”がある。
胸の奥で静かに、神魔族の血が高鳴った。
ざわめきの中で挨拶を交わす声や、早くも打ち解けた様子の笑い声が響いている。
天井は高く、荘厳な魔法光が柔らかく空間を照らしており、空気そのものがどこか非現実的だった。
ティアがゆっくりと奥へ進もうとしたその時――。
「へぇ~……すげぇ美人じゃねぇか。」
低く響く声と共に、前方に影が立ち塞がった。
黒髪に、額から短く突き出た二本の角。
紅い瞳は鋭く光り、青白い肌にはまるで戦の痕のような気迫が宿っている。
その全身から放たれる圧は、まるで獣のようだった。
「どうだ、俺の女になれよ!」
講堂が一瞬、静まり返る。
誰もが目を見張る中、ティアは一歩も退かずに微笑んだ。
「あら、いきなり口説かれるなんて光栄ね。
でも――あなた、私より弱そうだわ。
引っ込んでなさい。」
軽く手を振るような仕草でその男子を払い除け、何事もなかったように歩き出すティア。
その瞬間、空気が一変した。
「弱そうだと……?」
怒気を孕んだ声が背後から響く。
ティアはゆるりと振り返り、紅い瞳を真っ直ぐに見据えた。
「ええ、そう言ったと思うけど?」
その余裕の態度に、男子生徒の額に青筋が浮かぶ。
「偉そうな女だな!
まったく……!
こんな制服まで着せられて、何考えてやがるんだ、この学園は!」
「あら、この制服、可愛いと思うけど?」
「フン!
そんな短いスカート履いて、男を誘ってるんじゃねぇのか?」
ティアはくすりと笑い、涼しい声で返した。
「貧相な発想ね。
短いスカートは“可愛い”から履いてるのよ。
少なくとも、あなたを誘ってるわけじゃないわ。
――もっと、紳士的で礼儀正しい方に興味があるの。」
「……いい度胸だ!」
男は怒りに燃える眼で睨みつけた。
「俺の名はザフラ・トフ。
鬼神族の長の嫡男だ!
この学園には“決闘制度”があるらしいな。
最初の相手はお前だ、ティア・リブン!
逃げるなよ!」
「逃げる?
ふふ……その必要はないわ。
いつでも相手になってあげる。」
ティアは微笑んで、静かに名を名乗る。
「私はティア・リブン。
――神魔族よ。」
「神魔族、だと?
聞いたことねぇな。
魔族の一種か……まあいい。
楽しみにしてるぜ。」
ザフラは鼻を鳴らすと、肩をいからせて去っていった。
その背に残る魔力の圧は、確かに只者ではない。
セリアがすぐにティアの傍へ寄り、低い声で告げた。
「主様。
あの者――かなりの手練れです。
不意を突く可能性もございます。」
ティアは小さく頷き、ふっと笑みを浮かべる。
「ええ、気をつけておくわ。
でも……悪くない刺激ね。」
その笑顔は、どこか楽しげで――嵐の前の静けさを孕んでいた。
講堂の奥は、ざわめきと緊張の気配に包まれていた。
先ほどティアが遭遇したような口論や小競り合いが、あちらこちらで起こっている。
獣神族と鬼神族が睨み合い、エルフと精霊族が言葉を交わし、種族ごとの誇りが火花を散らしていた。
そんな中、背後から落ち着いた低音の声が響いた。
「さっき絡まれてたな。
可愛い顔して、凄むとは……中々面白そうな女だ。」
振り向くと、長身の青年が腕を組んで立っていた。
銀灰色の髪に、龍のような紋様がうっすらと浮かぶ肌。
瞳は深い琥珀色で、覇気と静寂を同時に宿している。
「俺は龍神族のソウ・クラウ・ドュスロ。
ソウで構わないぜ。」
「どうも。
私は神魔族のティア・リブンです。」
「神魔族……珍しい種族だな。」
ソウは興味深そうにティアを見つめた。
「そういえば、男子寮にも一人。
神魔族が居たな。」
「えっ?
本当ですか?」
「ああ。
確か――ユサリス・ロードとか名乗ってた。」
ティアは小さく眉を寄せる。
「ユサリス……聞いたことはないわ。」
「そうか。」
ソウは腕を組んだまま、講堂のざわめきを見渡した。
「それにしても、おかしいと思わねぇか?
見渡しても聞いたことのねぇ種族ばかりだ。
何のために集められたんだ、俺たちは。」
ティアも頷いた。
「ええ、私も同じことを考えていました。
少し確認なんですが――ソウさん。
フィレン帝国をご存じですか?」
「ん? フィレン帝国?
そんな国、聞いたこともねぇ。」
「やっぱり……。」
ティアの瞳に鋭い光が宿る。
「私の予想が正しければ、ここは“神域”。
恐らく――神園(しんえん)のどこかだと思います。」
「神域だと? 冗談だろ?
俺たちは普通に街から学園の門を通ってここに来たんだぞ。」
「その“門”が鍵です。
あれは、ただの門じゃない。
神域へ繋がる扉――そう考えれば、
聞いたこともない種族が勢揃いしている理由も説明できます。」
ソウは腕を下ろし、口笛を吹いた。
「なるほどな……そうなると、面白い話になってきた。」
ティアは微笑を浮かべると、再び講堂の奥へと歩き出した。
「同じ神魔族の男性……ユサリス。
どんな人なのか、見てみたいわ。」
歩きながら周囲を見渡していると、陽気な声が響く。
「おっと、これはこれは!
凄ぇ可愛い女子を発見だ!」
声の主は、長い白髪を無造作に結った青年。
白衣のような服を纏い、目尻に笑い皺を刻んでいる。
「俺は仙人族のウルタビ・ヒドって者だ。
よろしくな。」
ティアは軽く会釈して微笑んだ。
「褒めてくださってありがとうございます。
私は神魔族のティア・リブンです。
ちょっとお尋ねしますが、私と同じ神魔族の男性――ご存じですか?」
「神魔族?
いやぁ、聞いたことねぇな。
残念!」
「そうですか。
ありがとうございます。」
ティアは軽く頭を下げ、再び人の群れを見渡した。
――だがその時。
壇上に、三人の大人の姿が現れた。
それだけで場の空気がぴたりと静まり返る。
中央に立つ男性が、両手を広げて声を響かせた。
「さて――皆さん、こちらにご注目ください。」
その声は講堂全体に響き渡り、緊張と期待が走る。
「セイントスター世界魔法学園へのご入学、おめでとうございます。
あなたたちは――“選ばれし種族”です!」
その言葉に、講堂中がざわめいた。
誰もが、自分たちが“なぜここに居るのか”を知りたくてたまらなかった。
ティアは黙って壇上を見つめながら、胸の奥で呟いた。
――“選ばれし種族”ね。
壇上の男性の声は、まだ終わりではなかった。
静まり返る講堂に、再び響く低くよく通る声。
「セイントスター学園で、あなた方が何を学ぶのか……気になりますよね。」
彼はゆっくりと歩きながら言葉を続けた。
「それは――神の領域の魔法と知識です。」
一瞬、会場がどよめく。
ティアの胸の奥にも、淡い緊張が走った。
「お気づきの方もいるかもしれませんが、あなた方はそれぞれ異なる次元世界から選ばれ、スカウトされました。
この学園は、神域における“特別な試練の場”でもあります。」
教師の一人が手をかざすと、講堂の空間に魔法陣が浮かび上がる。
その光が波紋のように広がり、全員の視界に情報が映し出された。
「そして、学園の日課として――毎日、決闘を実施していただきます。
それによって、我々は皆さんの実力を測り、学園内で序列を定めます。」
講堂中が一気にざわつく。
戦闘に自信を見せる者もいれば、驚きに声を漏らす者もいた。
「決闘のルールや詳細は、各クラスで説明します。
それでは――今からクラス分けを発表します。」
その言葉と同時に、講堂の壁面が光を放ち、
魔法文字が浮かび上がる。
ティアの目がある一点で止まった。
《一組 ティア・リブン》
「一組……ね。」
ティアは立ち上がり、講堂を後にした。
校舎の一階、左端にある「一組」の教室へ。
扉を開くと、そこにはまるで王族用の学習室のような光景が広がっていた。
「……立派な机と椅子ね。」
磨き抜かれた木製の机は滑らかで、座り心地の良さそうな椅子。
机の上には魔導式の電子端末が埋め込まれ、
引き出しには魔法具を収納するスペースがいくつも設けられている。
教壇の後ろには巨大な魔導モニターが設置されており、
最新の神技術が詰まっていることがひと目で分かった。
ティアは自分の名前が貼られた席を見つけ、腰を下ろす。
「ティアさん。
同じクラスね。」
声をかけてきたのはアリーシアだった。
「あら、アリーシアさん。
良かったわ。
知っている人がいるだけで、少し安心するわね。」
「それ、私も思いました。」
2人は顔を見合わせて、穏やかに微笑み合った。
その瞬間――
「よぉ!
生意気な女が同じクラスか!」
聞き覚えのある声が響く。鬼神族のザフラが腕を組んで立っていた。
「まあ、すぐに俺の前に跪くことになるだろうがな!」
ティアはため息をひとつ。
「それはどうかしらね。
……まあ、仲良くやりましょうよ?」
軽く微笑んで返すティアに、ザフラは一瞬むっとした表情を見せたが、すぐに鼻で笑った。
「ティアさんっていうのね。」
今度は柔らかい声が背後からかかった。
振り向くと、長い金髪に翡翠色の瞳を持つエルフの女性が立っている。
「私は精霊族エルフのミカーニャ・ヘブン。
あなた、とても強いわね。
見てすぐに分かった。
他の人たちとは……格が違うわ。」
「あら、ありがとうございます。」
ティアは軽く会釈を返す。
「私は神魔族のティア・リブン。
よろしくね。」
その名を聞いた瞬間、周囲の女子たちが興味深そうに集まってきた。
「神魔族って初めて聞く!」
「制服の着こなしがすごく綺麗!」
「髪も肌も……人間とは違う透明感ね!」
気付けば、ティアの周りには小さな輪ができていた。
微笑を浮かべながらも、ティアは心の奥で思う。
――“選ばれし種族”。
決闘に序列、神の魔法……。
やはり、この学園にはただの教育以上の“目的”がある。
胸の奥で静かに、神魔族の血が高鳴った。
1
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~
ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。
その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。
その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。
近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。
更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?
何でもできるけど何度も失敗する。
成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。
様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?
誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!
2024/05/02改題しました。旧タイトル
『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』
2023/07/22改題しました。旧々タイトル
『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』
この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。
『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』
『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』
『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』
『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる