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とりあえずじっくり考えようと部屋に向かって歩いていると、前方から人が歩いてきた。
二人組の片方はリスタースだ。
隣は使用人らしい。
あ!とヘルヴィルは顔を明るくさせて、少しだけ足を速めた。
真っ直ぐな姿勢で歩くリスタースも、ヘルヴィルに気づいたらしい。
こちらは歩くスピードを緩めてしまった。
気にせずててて、と歩み寄る。
後ろでエイプリルがはわわと声を漏らしていたけれど、気にしない。
リスタースに呼びかけようとして、はたとヘルヴィルは立ち止まった。
何と呼べばいいのだろう。
ルードレットはリスタースのことをお兄様と呼んでいた記憶がある。
じゃあそう呼べばいいだろうか。
お兄ちゃんや兄貴ではない気がする。
というか、お兄ちゃんはともかく兄貴という顔ではない。
うむと結論が出たので、ヘルヴィルはリスタースの前まで歩いていき目の前に立った。
リスタースがヘルヴィルを見下ろして、ピクリと指先がかすかに動く。
向かい合って立ち止まり、じーっと見上げているとリスタースの眉間に皺が寄った。
グレンとお揃いである。
「……何だ」
「りふたーしゅにーたま」
にぱっと笑って呼びかければ、リスタースの眉がピクリと動いた。
けれどそれ以外は動かず、じっとヘルヴィルを見下ろしてくる。
「……」
「……」
見つめ合う事しばし。
(なんか、とーたまといっちょ)
反応がまったく同じだ。
改めて見ると、顔も父親にそっくりだ。
将来は美青年になるだろうと一目瞭然である。
期待満載だ。
眉間に皺を寄せるリスタースに、中身もそっくりなのかなと不思議に思いながら、ヘルヴィルはもう一度口を開いた。
「りふたーしゅにーたま?」
やはり反応がない。
あれ?と首を捻る。
リスタースが父上と呼ぶように、兄の事は兄上なのだろうか。
でもグレンはお父様でいいと言われた。
親と兄弟は違うのだろうかと、ヘルヴィルはじっとリスタースを見上げるばかりだ。
どっちか教えてほしい。
お互い見つめ合っていると、リスタースの背後に控えていた使用人らしき男がそっと進み出た。
十歳ほどの少年だ。
リスタースよりも背が高い。
オレンジの巻き毛に、そばかすの散った顔は素朴だ。
優しそうというのがヘルヴィルの印象だった。
「リスタース様、お言葉を」
少年が声をかけると、リスタースの眉間にさらに皺が寄った。
そしてゆっくりと口が開かれる。
「……もう少しまともに呼べないのか」
言われた言葉にヘルヴィルはええーと眉を上げた。
それは自分でもそう思うけれど、活舌が悪いから妥協していただきたい。
(うまく、はなしぇないんらもん)
多分ヘルヴィルは新生ヘルヴィルになるまで、まともに喋ってなかったのではないかと思う。
記憶にある限り、ほぼ喋ってないので確実だろう。
そのせいか舌がもつれるし疲れる。
疲れたらさらに舌がもつれて、舌足らずになるの悪循環だ。
これは慣れるまで待ってもらいたいというのが本音だった。
二人組の片方はリスタースだ。
隣は使用人らしい。
あ!とヘルヴィルは顔を明るくさせて、少しだけ足を速めた。
真っ直ぐな姿勢で歩くリスタースも、ヘルヴィルに気づいたらしい。
こちらは歩くスピードを緩めてしまった。
気にせずててて、と歩み寄る。
後ろでエイプリルがはわわと声を漏らしていたけれど、気にしない。
リスタースに呼びかけようとして、はたとヘルヴィルは立ち止まった。
何と呼べばいいのだろう。
ルードレットはリスタースのことをお兄様と呼んでいた記憶がある。
じゃあそう呼べばいいだろうか。
お兄ちゃんや兄貴ではない気がする。
というか、お兄ちゃんはともかく兄貴という顔ではない。
うむと結論が出たので、ヘルヴィルはリスタースの前まで歩いていき目の前に立った。
リスタースがヘルヴィルを見下ろして、ピクリと指先がかすかに動く。
向かい合って立ち止まり、じーっと見上げているとリスタースの眉間に皺が寄った。
グレンとお揃いである。
「……何だ」
「りふたーしゅにーたま」
にぱっと笑って呼びかければ、リスタースの眉がピクリと動いた。
けれどそれ以外は動かず、じっとヘルヴィルを見下ろしてくる。
「……」
「……」
見つめ合う事しばし。
(なんか、とーたまといっちょ)
反応がまったく同じだ。
改めて見ると、顔も父親にそっくりだ。
将来は美青年になるだろうと一目瞭然である。
期待満載だ。
眉間に皺を寄せるリスタースに、中身もそっくりなのかなと不思議に思いながら、ヘルヴィルはもう一度口を開いた。
「りふたーしゅにーたま?」
やはり反応がない。
あれ?と首を捻る。
リスタースが父上と呼ぶように、兄の事は兄上なのだろうか。
でもグレンはお父様でいいと言われた。
親と兄弟は違うのだろうかと、ヘルヴィルはじっとリスタースを見上げるばかりだ。
どっちか教えてほしい。
お互い見つめ合っていると、リスタースの背後に控えていた使用人らしき男がそっと進み出た。
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リスタースよりも背が高い。
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優しそうというのがヘルヴィルの印象だった。
「リスタース様、お言葉を」
少年が声をかけると、リスタースの眉間にさらに皺が寄った。
そしてゆっくりと口が開かれる。
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言われた言葉にヘルヴィルはええーと眉を上げた。
それは自分でもそう思うけれど、活舌が悪いから妥協していただきたい。
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記憶にある限り、ほぼ喋ってないので確実だろう。
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疲れたらさらに舌がもつれて、舌足らずになるの悪循環だ。
これは慣れるまで待ってもらいたいというのが本音だった。
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