その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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 翌朝、かなめ先輩と一緒に出社すると、真白ましろはいつも通り柔和な笑みを湛えて周りに愛想を振りまいていた。

 まるで、昨日のことなんて何もなかったかのようにほがらかに笑い、俺だけがビクビクと真白を目に留めてしまって。それが情けなくて。

 真白と視線が絡まることもなく、ただただ仕事に打ち込んだ。
 いつ社長か、部長かに呼び出されてクビを言い渡されるかと覚悟して待っていたけれど、そうはならなかった。

 真白は、何を考えている?

 俺とのことはなかったことにして、出会った頃のような、ただの先輩と後輩の関係に戻ろうとしているのだろうか。

 何だか、そう考えたら涙が浮かびそうな自分がいて、自分から解放を求めて別れを告げたくせにどうしてだろうと思う。

 悶々と思考を巡らせていると「風間かざま先輩」と声がかかった。
 振り向いてみると南波ななみちゃんがいて。

「南波ちゃん、お疲れ」

「お疲れ様です! あの、風間先輩……もしよかったら今日ランチ一緒しませんか? 私、お弁当作ってきたんです。迷惑……ですか?」

 隣の要先輩が心配そうな視線を寄こして、遠くから真白の視線も感じた。
 真白は、まだ俺を見ている? 俺のことを気にかけている? どうして、そんなことを気にしてしまうんだろう。

 でも──。

 自ら離れたんだから、もう忘れなきゃいけないんだ。
 真白のことは、もう忘れるんだ。

「うん。わざわざありがとう。ご馳走になろうかな」

「本当ですか! じゃあ、お昼にオープンスペースで大丈夫ですか?」

 俺はニッコリ笑って「うん」と答えた。
 すると、たちまち南波ちゃんが憂いを払拭させたように、安堵するように頬を綻ばせて目を細めながら嬉しそうに笑うから。

 南波ちゃんは、間違いなく俺に好意を寄せてくれている。
 だったら、俺はそれに応えるべきなんだろうと思う。

 俺はゲイじゃないから、きっとそれが正しい道なんだろうと思う。
 じゃあ、今まで真白と居た時間は間違っていたのか?

 そう考えると胸が苦しくて──。
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