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コトッと音がして、要先輩がカフェオレを淹れてくれた。
時刻はもう二十時半を過ぎている。
大きなボストンバッグを抱えて訪ねて来た俺を、要先輩と孝太郎さんは優しく出迎えてくれた。インターフォンを押して、要先輩が玄関まで姿を見せてくれた途端、また涙が溢れて。
ひとしきり泣かせてもらって、やっと涙が引っ込んだところで、要先輩がそっと窺うように声をかけてきた。
「伊吹くん。佐伯先輩と話、出来たの?」
「話なんて……何も出来ませんでした……。家に帰るなり、南波ちゃんのネクタイで拘束されて……俺を愛してる、僕は何も変わっていないって言うばかりで……。真白は……もう自分が変わってしまっていることにすら気付いていないんです」
言葉を出すと、それと共に、もう散々流した涙がまた一緒に頬に落ちそうになって、ぎゅっと唇を噛み締める。
要先輩と孝太郎さんが顔を見合わせて、困ったような表情を絡めていた。
「佐伯先輩とは別れたの?」
「俺は、別れを告げて出てきました。もしかしたら、明日、出社したらクビかもしれません。でも、今の真白とはもう付き合えないから……これで良かったんだって思ってます」
なんて言いながらまた涙が滲みそうになる俺は、本当に弱いなと思う。
なんだかんだ言って、真白に依存していたのは自分も同じだったのかもしれないなと思った。身体は禁を解かれたけれど、こんなにもまだ心が囚われている。
どんなに酷いことをされたって、今日まで真白と離れられず、ずっとここまできたんだから。正直、今でも好きだ。好きだから、真白が変わってしまったことが、こんなにも持って行き場のない気持ちでいっぱいで。
「とりあえず、しばらくうちに居ろよ」
孝太郎さんが優しい声音でそう言ってくれて、要先輩も「うんうん」と続いてくれた。俺は二人に頭を下げて、ついでにやっぱり涙もこぼれた。
真白、真白はどうする?
明日、俺をクビにして関係を清算させるか?
それとも──。
時刻はもう二十時半を過ぎている。
大きなボストンバッグを抱えて訪ねて来た俺を、要先輩と孝太郎さんは優しく出迎えてくれた。インターフォンを押して、要先輩が玄関まで姿を見せてくれた途端、また涙が溢れて。
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「伊吹くん。佐伯先輩と話、出来たの?」
「話なんて……何も出来ませんでした……。家に帰るなり、南波ちゃんのネクタイで拘束されて……俺を愛してる、僕は何も変わっていないって言うばかりで……。真白は……もう自分が変わってしまっていることにすら気付いていないんです」
言葉を出すと、それと共に、もう散々流した涙がまた一緒に頬に落ちそうになって、ぎゅっと唇を噛み締める。
要先輩と孝太郎さんが顔を見合わせて、困ったような表情を絡めていた。
「佐伯先輩とは別れたの?」
「俺は、別れを告げて出てきました。もしかしたら、明日、出社したらクビかもしれません。でも、今の真白とはもう付き合えないから……これで良かったんだって思ってます」
なんて言いながらまた涙が滲みそうになる俺は、本当に弱いなと思う。
なんだかんだ言って、真白に依存していたのは自分も同じだったのかもしれないなと思った。身体は禁を解かれたけれど、こんなにもまだ心が囚われている。
どんなに酷いことをされたって、今日まで真白と離れられず、ずっとここまできたんだから。正直、今でも好きだ。好きだから、真白が変わってしまったことが、こんなにも持って行き場のない気持ちでいっぱいで。
「とりあえず、しばらくうちに居ろよ」
孝太郎さんが優しい声音でそう言ってくれて、要先輩も「うんうん」と続いてくれた。俺は二人に頭を下げて、ついでにやっぱり涙もこぼれた。
真白、真白はどうする?
明日、俺をクビにして関係を清算させるか?
それとも──。
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