その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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 部屋の扉がそっと開く音がして、窓から差し込む眩しい光に眉をしかめると、「伊吹いぶきくん」とかなめ先輩が顔を覗かせた。

 昨日の夕方、要先輩が夕飯を作って待っていると言ってくれていたのに、気付けば朝まで眠ってしまったようだ。

「すみません、要先輩……俺……」

「よかった。なかなか起きてこないから心配しちゃって。大丈夫? 今日、会社に行けそう?」

 俺がコクリと頷くと「無理しないでね? 朝食出来てるからね? リビングで待ってるね?」と言って扉を閉めた。

 布団を綺麗に畳んで、スーツに着替えてから部屋を出ると、孝太郎こうたろうさんが朝食を摂っていた。

「孝太郎さん、おはようございます。あの、俺、今日から真白ましろの家に帰ることにしました。長々とお邪魔して本当にすみませんでした」

 頭を下げると、孝太郎さんが俺の顔を覗き込んだ。
 その瞳に、少しだけ悲哀の色を包めて、箸を止めて口を開いた。

「要から聞いた。大丈夫か? 一人で家にいて?」

 確かに、要先輩と孝太郎さんが傍にいてくれた方が心強くはあるけれど、いい加減、二人に迷惑をかけ過ぎた。

 それに、俺はあの家で、真白が帰ってくるのを待ちたい。
 また、あの家で真白と暮らしたい。

「大丈夫です。真白の家で、真白を迎えてあげたいんです」

「そっか。何かあったらすぐに要に言えよ? いつでもまたここに来ていいからさ」

 俺は「ありがとうございます」と返事をして、要先輩に促されるまま食事を摂った。孝太郎さんに改めて挨拶をして、要先輩と一緒に出勤する。

 会社では真白は急病の為、しばらく休むのだと皆に伝わっていた。
 スマートフォンを取り出して着信がないか確認してみる。

 社長からの着信はなかった。
 真白は、まだ目を覚まさないのだろう。

 真白のことを考えないよう、取り掛かり中の制作物のチェックや校正作業に打ち込んでいると、背後から「風間かざま先輩」と声がかかった。

南波ななみちゃん……」

 あの日、逃げるように南波ちゃんの家から帰ったあの日。
 その後で見た真白の変わり果てた姿……仕事に打ち込もうとしていた俺の心は再び真白に支配されて──。

「あの……今日のお昼、少しだけ話せますか?」

 俺はゆっくり頷いた。
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