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第8話 揺れる気持ち
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ここ最近のレオンは、変わらず優しい。
「疲れてるだけだよ」と笑い、いつも通りに隣を歩いてくれる。
それなのに――エリナの胸は、どこか締めつけられるように痛むのだった。
*
放課後の図書室。
窓から射す光が、棚の影を長く伸ばしている。
エリナは本を開いたまま、視線を動かせずにいた。
隣にはいつも通りレオンが座っている。
ページを繰る音が静かに響き、穏やかな空気が流れているのに……。
「……レオン」
「ん?」
「この前、あんなふうに言ったの、覚えてる?」
レオンの指がページの上で止まる。
「この前?」
「……“俺は譲らない”って。誰にも渡さないって」
エリナは自分でも頬が熱くなるのを感じた。
普段の彼からは考えられない強い言葉。
驚いたはずなのに、思い出すたび胸の奥が熱くなる。
「……ああ」
レオンは短く答え、視線をそらした。
「忘れてくれていいよ」
「忘れられないよ」
思わず口をついて出た一言に、エリナははっと息を呑む。
けれど本心だった。
安心できるだけの幼馴染――そう思っていたはずなのに、あの時の言葉は胸の奥深くに残って離れない。
(どうしてだろう……安心するだけじゃない。レオンの言葉ひとつで、わたし、こんなにも揺れてる)
無邪気に笑っていればいいと思っていた。
お兄様のような存在だと、褒めて伝えてきた。
けれど今は、その“似ている”という言葉を口にすることが怖い。
彼がどんな顔をするか、もう知ってしまったから。
「エリナ」
名前を呼ばれて顔を上げると、レオンが穏やかに微笑んでいた。
優しい笑顔。
でも、その奥に隠された感情が、今ははっきりと感じ取れてしまう。
(わたし……レオンを、“安心できる幼馴染”以上に見てる?)
自分の中に芽生えた感情を、まだ言葉にはできない。
ただ胸の鼓動だけが、真実を訴えるように速くなっていた。
「疲れてるだけだよ」と笑い、いつも通りに隣を歩いてくれる。
それなのに――エリナの胸は、どこか締めつけられるように痛むのだった。
*
放課後の図書室。
窓から射す光が、棚の影を長く伸ばしている。
エリナは本を開いたまま、視線を動かせずにいた。
隣にはいつも通りレオンが座っている。
ページを繰る音が静かに響き、穏やかな空気が流れているのに……。
「……レオン」
「ん?」
「この前、あんなふうに言ったの、覚えてる?」
レオンの指がページの上で止まる。
「この前?」
「……“俺は譲らない”って。誰にも渡さないって」
エリナは自分でも頬が熱くなるのを感じた。
普段の彼からは考えられない強い言葉。
驚いたはずなのに、思い出すたび胸の奥が熱くなる。
「……ああ」
レオンは短く答え、視線をそらした。
「忘れてくれていいよ」
「忘れられないよ」
思わず口をついて出た一言に、エリナははっと息を呑む。
けれど本心だった。
安心できるだけの幼馴染――そう思っていたはずなのに、あの時の言葉は胸の奥深くに残って離れない。
(どうしてだろう……安心するだけじゃない。レオンの言葉ひとつで、わたし、こんなにも揺れてる)
無邪気に笑っていればいいと思っていた。
お兄様のような存在だと、褒めて伝えてきた。
けれど今は、その“似ている”という言葉を口にすることが怖い。
彼がどんな顔をするか、もう知ってしまったから。
「エリナ」
名前を呼ばれて顔を上げると、レオンが穏やかに微笑んでいた。
優しい笑顔。
でも、その奥に隠された感情が、今ははっきりと感じ取れてしまう。
(わたし……レオンを、“安心できる幼馴染”以上に見てる?)
自分の中に芽生えた感情を、まだ言葉にはできない。
ただ胸の鼓動だけが、真実を訴えるように速くなっていた。
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