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第7話 すれ違う心
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「……誰にも、君を渡すつもりはない」
夕暮れに落とされたレオンの低い言葉が、エリナの胸の奥でずっと響いていた。
あれから数日。
彼は相変わらず隣にいて、優しく微笑み、聞き役でいてくれる。
けれどエリナは、不意にあの強い声音を思い出しては、胸をざわつかせてしまうのだった。
*
昼休み。
校舎の窓辺に座ったエリナは、持ってきたパンを小鳥に分けるようにちぎりながら、ふと口をついた。
「レオンってやっぱり、お兄様に似てるなぁ。安心する」
何度も言ってきた言葉。
けれど今日、それを聞いたレオンの指が一瞬だけ止まった。
「……そうかな」
「うん。だって、優しくて、いつも守ってくれるでしょ? お兄様も、きっとこういう感じだったと思うの」
エリナはあどけない笑顔を見せる。
無邪気さに陰りはなく、ただ素直に思ったことを言っただけだった。
しかしレオンは、その笑顔の奥に踏み込むことができなかった。
視線を窓の外に向け、少し間を置いてから微笑んだ。
「……そう思ってもらえるなら、よかった」
声は柔らかい。
だが、心の奥では鋭い痛みが走っていた。
――俺は、君にとって“誰かの代わり”なのか?
――あの日の言葉を信じて、ここまで来たのに。
胸の奥に溜まる感情を悟られまいと、レオンはあくまで優しい調子を崩さない。
エリナも、彼の影に気づくことなく笑っていた。
*
その日の帰り道。
並んで歩く足音はいつも通りなのに、どこか間が重たい。
エリナは小さく首をかしげた。
「……レオン、なんだか元気ない?」
「そうかな。疲れてるだけだよ」
「そっか……」
彼の答えは短い。
優しい声色に変わりはないはずなのに、なぜか遠く感じられる。
エリナは不安を覚えながらも、踏み込むことができなかった。
安心できる幼馴染。
そう信じてきた距離感が、知らぬ間にふたりの間を隔て始めていた。
夕暮れに落とされたレオンの低い言葉が、エリナの胸の奥でずっと響いていた。
あれから数日。
彼は相変わらず隣にいて、優しく微笑み、聞き役でいてくれる。
けれどエリナは、不意にあの強い声音を思い出しては、胸をざわつかせてしまうのだった。
*
昼休み。
校舎の窓辺に座ったエリナは、持ってきたパンを小鳥に分けるようにちぎりながら、ふと口をついた。
「レオンってやっぱり、お兄様に似てるなぁ。安心する」
何度も言ってきた言葉。
けれど今日、それを聞いたレオンの指が一瞬だけ止まった。
「……そうかな」
「うん。だって、優しくて、いつも守ってくれるでしょ? お兄様も、きっとこういう感じだったと思うの」
エリナはあどけない笑顔を見せる。
無邪気さに陰りはなく、ただ素直に思ったことを言っただけだった。
しかしレオンは、その笑顔の奥に踏み込むことができなかった。
視線を窓の外に向け、少し間を置いてから微笑んだ。
「……そう思ってもらえるなら、よかった」
声は柔らかい。
だが、心の奥では鋭い痛みが走っていた。
――俺は、君にとって“誰かの代わり”なのか?
――あの日の言葉を信じて、ここまで来たのに。
胸の奥に溜まる感情を悟られまいと、レオンはあくまで優しい調子を崩さない。
エリナも、彼の影に気づくことなく笑っていた。
*
その日の帰り道。
並んで歩く足音はいつも通りなのに、どこか間が重たい。
エリナは小さく首をかしげた。
「……レオン、なんだか元気ない?」
「そうかな。疲れてるだけだよ」
「そっか……」
彼の答えは短い。
優しい声色に変わりはないはずなのに、なぜか遠く感じられる。
エリナは不安を覚えながらも、踏み込むことができなかった。
安心できる幼馴染。
そう信じてきた距離感が、知らぬ間にふたりの間を隔て始めていた。
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