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「お前が婚約するとはな」
黒髪黒目、褐色の肌。身長は百九十センチ以上。整った顔をしており、粗野な態度から野性らしさが現れている。
彼の名前はダリウス。私の専属護衛。元は傭兵をしていたらしい。
公爵家が商売で成功しだし、いろんな遺族(主に爵位を継げない次男坊以降)から縁談の話が舞い込むようになった。
その全てを私は片っ端から断り続けてきた。そのせいか力業でくる輩がで出した。既成事実さえ作ってしまえばいいと。仮にそうなったとしても一生結婚しないだけで、その人と一緒になることはないのだが。
実際、何度か襲われかけたのでダリウスを雇うことにしたのだ。実はこのダリウス、父が見つけてきたのだ。どういう伝で連れてきたのかは知らないが腕が立つのでかなり重宝している。
「今日だっけ?例の婚約者が来るのは?」
「ええ」
本来ならあり得ないのだが、よほど持て余しているのか。陛下はあろうことか婚約の段階で同棲を進めてきたのだ。
表向きは我が公爵領の仕事を学ぶためといとになっている。
「スカーレット、来たみたいだよ」
父の言葉に私は溜め息をついた。執務机に置いてある紅茶を行儀が悪いが構わず一気に飲み干す。
父に次いで部屋を出る。護衛のため常に私の傍にいるダリウスも一緒に部屋を出る。
堂々とピンクストロベリーのような髪をした色白の女性を腰に抱いた金髪の男が玄関ホールに入ってきた。
婚約者の邸に愛人を連れてくるなんて。ひきつりそうになる顔を何とか止め、笑顔で出迎える。
「セルフだ」
「セルフの恋人のシャーベットと申します」
セルフ殿下に続いてゆっくりとお辞儀をしたシャーベットは小さな微笑みを携えた。
全身で儚さを表現している彼女は女の私ですら庇護欲をそそる姿をしている。
「私はウェルネット・ミレイユ。こちらは娘のスカーレット」
私は淑女の礼をとる。
「その隣が娘の専属護衛であるダリウスです」
ダリウスは軽く会釈をする。
「まぁ。護衛さんなんですね」
シャーベットは輝く瞳でダリウスを見た。
「とてもお強いのですね」
「腕に自信はあります」
愛想よく笑うシャーベットと違ってダリウスはどこまでも素っ気ない。
シャーベットの反応が気に入らないのかセルフ殿下の機嫌は悪化する。
「公爵家の分際で護衛とは。随分な思い上がりだな」
ふん。と、鼻で笑うセルフ殿下。
売れ残るわけだ。
「貴族とは裕福な暮らしをしています。故に狙われることは多く、下位の貴族ですら護衛を一人以上は置いています。珍しいことではないんですよ」
「そうよ、セルフ。私の家にも護衛はいたもの。でも、こんなに大きな家では確かに襲われそうで怖いわ」
不安そうな顔をするシャーベットをセルフは愛おしそうに抱き寄せた。
「安心しろ。お前の護衛はこちらで一流の者を用意する」
それはつまり我が家の護衛は二流以下だと言いたいのですかね。
ちらりと横目でダリウスを見たが彼はこの二人に興味がないのか素知らぬ顔をしている。
基本、他人の言うことを気にしないので怒ってはいないようだ。
どうでもいいけどその護衛は誰がお金を出すのかしら。
雇うにしろ、城から連れてくるにしろ彼らに給料は払わないといけないそこら辺のことは陛下に時間をとって貰ってきっちりと商談させてもらおう。
そうこれはあくまでもビジネスだ。
「立ち話もなんですし、我が家をご案内します。スカーレット」
「畏まりました。どうぞ、こちらへ」
くだらない茶番に終止符を打つように父が言い、私もそれにならった。
黒髪黒目、褐色の肌。身長は百九十センチ以上。整った顔をしており、粗野な態度から野性らしさが現れている。
彼の名前はダリウス。私の専属護衛。元は傭兵をしていたらしい。
公爵家が商売で成功しだし、いろんな遺族(主に爵位を継げない次男坊以降)から縁談の話が舞い込むようになった。
その全てを私は片っ端から断り続けてきた。そのせいか力業でくる輩がで出した。既成事実さえ作ってしまえばいいと。仮にそうなったとしても一生結婚しないだけで、その人と一緒になることはないのだが。
実際、何度か襲われかけたのでダリウスを雇うことにしたのだ。実はこのダリウス、父が見つけてきたのだ。どういう伝で連れてきたのかは知らないが腕が立つのでかなり重宝している。
「今日だっけ?例の婚約者が来るのは?」
「ええ」
本来ならあり得ないのだが、よほど持て余しているのか。陛下はあろうことか婚約の段階で同棲を進めてきたのだ。
表向きは我が公爵領の仕事を学ぶためといとになっている。
「スカーレット、来たみたいだよ」
父の言葉に私は溜め息をついた。執務机に置いてある紅茶を行儀が悪いが構わず一気に飲み干す。
父に次いで部屋を出る。護衛のため常に私の傍にいるダリウスも一緒に部屋を出る。
堂々とピンクストロベリーのような髪をした色白の女性を腰に抱いた金髪の男が玄関ホールに入ってきた。
婚約者の邸に愛人を連れてくるなんて。ひきつりそうになる顔を何とか止め、笑顔で出迎える。
「セルフだ」
「セルフの恋人のシャーベットと申します」
セルフ殿下に続いてゆっくりとお辞儀をしたシャーベットは小さな微笑みを携えた。
全身で儚さを表現している彼女は女の私ですら庇護欲をそそる姿をしている。
「私はウェルネット・ミレイユ。こちらは娘のスカーレット」
私は淑女の礼をとる。
「その隣が娘の専属護衛であるダリウスです」
ダリウスは軽く会釈をする。
「まぁ。護衛さんなんですね」
シャーベットは輝く瞳でダリウスを見た。
「とてもお強いのですね」
「腕に自信はあります」
愛想よく笑うシャーベットと違ってダリウスはどこまでも素っ気ない。
シャーベットの反応が気に入らないのかセルフ殿下の機嫌は悪化する。
「公爵家の分際で護衛とは。随分な思い上がりだな」
ふん。と、鼻で笑うセルフ殿下。
売れ残るわけだ。
「貴族とは裕福な暮らしをしています。故に狙われることは多く、下位の貴族ですら護衛を一人以上は置いています。珍しいことではないんですよ」
「そうよ、セルフ。私の家にも護衛はいたもの。でも、こんなに大きな家では確かに襲われそうで怖いわ」
不安そうな顔をするシャーベットをセルフは愛おしそうに抱き寄せた。
「安心しろ。お前の護衛はこちらで一流の者を用意する」
それはつまり我が家の護衛は二流以下だと言いたいのですかね。
ちらりと横目でダリウスを見たが彼はこの二人に興味がないのか素知らぬ顔をしている。
基本、他人の言うことを気にしないので怒ってはいないようだ。
どうでもいいけどその護衛は誰がお金を出すのかしら。
雇うにしろ、城から連れてくるにしろ彼らに給料は払わないといけないそこら辺のことは陛下に時間をとって貰ってきっちりと商談させてもらおう。
そうこれはあくまでもビジネスだ。
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