どうぞお好きに

音無砂月

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シャーベットを尋ねると彼女はベッドの中に潜り込み震えていた。
その傍らにはセルフ殿下が心配そうな顔つきで声をかけていた。
頑張って慰めているようだがシャーベットは怯えてベッドから出てこない。
シャーベットを狙った奴等は私の商売敵が雇った傭兵崩れ。
つまり狙われたのはシャーベットではなく私。シャーベットは私と間違われて襲われたのだ。
ではなぜ、そんな間違いが起きたのか。
答えは簡単。私がシャーベットのスケジュールをあたかも私のスケジュールであるかのように偽って流したから。
「なぜシャーベットがこんなことに」
低く呻くようにセルフ殿下が言った。
見ればセルフ殿下も怪我をしていた。彼も傭兵崩れに襲われたのだろう。
死なれては困るから私がつけていた護衛のおかげで命だけは無事だったようだ。
本当に最低限の護衛しか頼んでいなかったので怪我をしているのは想定の範囲以内。むしろ狙っていた。
「シャーベット様は王族であるあなたの恋人ですわ。嫉妬されて狙われたのでしょう」
「お前がやったんじゃないのか?」
私を睨み付けるようにセルフ殿下が言う。
「なぜ、そう思われるのですか?」
私は首をかしげて聞く。
「俺に愛されているシャーベットに嫉妬したのではないのか?」
何をバカなことを。
それはつまり私がセルフ殿下を愛しているということになる。
そうでなければセルフ殿下の発言には辻褄が合わなくなる。
背後に控えているダリウスから呆れた気配を感じ取った。
「確かに最も疑わしいのは私になるでしょうね。けれど、そんな女がシャーベット様のお披露目パーティーなんて許可するでしょうか?」
「俺が許可を出したからな」
いや、それ関係ないから。ここの主人は私だし。
「王族である俺が許可を出せばお前は頷かずにはいられないだろう。貴族とはそういうものだ」
続けられたセルフ殿下の言葉に私は苦笑する。
この王子はどこまでもこちらを愚弄してくれる。
「つまり貴族はあなた方王家の道具だと?」
「何だ。そんなことも知らなかったのか。貴族のくせに。お前は本当に愚かな女だな」
私はシャーベットに与えた部屋に備え付けられていたクローゼットに一度目を向けてから再びセルフ殿下を見て頬笑む。
「私の認識不足でした(まさかこれ程愚かだとは思わなかった)。申し訳ありません」
「分かればいい」
さて、話が脱線してしまった。
「シャーベット様を襲った犯人についてはこちらでも調査いたします」
「当然だ。さっさと見つけてこい」
犯人かもと疑っている人間に調査を任せるなんて。
考える頭がないと楽で良いわ。
目星はつけているし。分かってて見逃したんだし。
「それでは私は失礼します」
一礼してダリウスと共に部屋を出た。
「犯人はもう捕まえてある」
シャーベットの部屋から離れると周りに人がいないことを確認したダリウスが言った。
「どうする?」
「秘密裏に処理して」
「差し出さないのか?」
「調査を先伸ばしにして、セルフ殿下自ら動くのを待つ」
「了解」

決して癒えることのない傷を負ったシャーベット。
セルフ殿下、あなたはどうしますか?
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