11 / 63
第1章
10.情報収集
しおりを挟む
侍女に頼んで茶髪のカツラと黒縁眼鏡と黒髪のカツラを買って来てもらった。
私は茶髪のカツラを被って出勤、王女の相手をする。王女が食事中の時は黒髪のカツラに黒縁メガネで他の侍女に交じって情報収集
「えっ?王女殿下があのいけ好かない公爵令嬢の侍女に話している内容の意味?」
悪かったわね、いけ好かなくて。
部屋に飾られている壺を磨きながら一緒に部屋の掃除をしている侍女から得られる情報がないかと近づいたけど、やっぱり私のことをあまり良く思っていないみたい。
会ったことがなくても噂一つ、待遇一つでここまで人は人を嫌いになれるものなのね。
人間って怖い生き物ね。
「“攻略対象者”とか“乙女ゲーム”とかよくそのいけ好かない公爵令嬢に話しているじゃないですか。皆さん、平然と仕事されているので分かっていないのは私だけなのかなって」
「誰も分かっちゃあいないわよ。昔からよ。一種の病気ね。あの公爵令嬢も適当に相槌打ってるだけで話なんて何一つ分かっちゃあいないはずよ」
半分正解で半分不正解ね。
でも案の定、マヤの記憶をベラベラと話すアイルは周囲から電波少女扱いされているのね。
「でも聞いていて面白い話ですよね。まるで物語を読み聞かされているみたいで」
「そうかしら?内容が具体的過ぎで私は逆に怖いわ。登場してくる人物名だって実在するし」
「そうですね。登場してくる男性はみんな王女殿下と婚約してもおかしくはない方たちばかりですよね。王女殿下も女の子ですから色々とロマンチックな夢を見ていらっしゃるんですわね。随分と可愛らしい方ですわ」
思ってもいないことを頑張って口にしたのに侍女はゲテモノでも見るような目で私を見てきた。
「眼科に行って来たら?」
「‥…」
“可愛い”なんて死んでも思わないから眼科に行く必要はない。でも、君とは気が合いそうだ。
「殿方と凄い恋愛をする話を私は聞きました。あなたはどんな話を聞きました?興味があるので是非、教えて欲しいです」
「殆ど聞き流してるからな。そう言えば“イベント”とかよく言っているわね」
イベント‥…ヒロインが攻略対象者を口説き落とす為に存在する出来事だ。
アイルが私に話す内容は攻略対象者がどれだけ素晴らしいかっていうことと、アイルがどれだけ愛されるかってことばかりだからイベントについては何の情報もない。
「“イベント”って?お祭りか何かですか?」
「違うみたい。何だかよく分かんなかったし、私も『また馬鹿言っているよ』で聞き流してたからよく覚えてないのよね」
仮にも王女に向かって、馬鹿って。
侍女たちはアイルを主として敬ってはいない。見下す対象になっているのね。当然だけど。
貴族社会って怖いところよね。
身分が全てってところはあるけど、でもその人の性格によっては下級貴族が上級貴族を食い殺すこともあるのだ。
内気だったり、馬鹿だったりする上級貴族は簡単に陥れられるし何をしても反撃してこない相手なら当然、見下すし、苛めの対象にだってなる。それで追い詰められて死を選んだ上級貴族は歴史上に存在する。
貴族って人間の腐った部分を凝縮してできた存在みたいよね。
「何でも姫様は誘拐されたり、モンスターに殺されかけたりするんですって。王女である姫様には必ず護衛がつくからあり得ないのにね」
そう言って侍女は鼻で笑っていた。
乙女ゲームはそういうところはスルーだもんね。ヒロインと攻略対象者にとって都合よくできているから、イベントの為には普段ついているはずの護衛は姿を消すのだ。
でも、現実世界ではそうはいかないはず。
アイルに味方をしている馬鹿神がそこら辺のイベントをどうセッティングするつもりだったのか分からないけど。今は謹慎中だし、余計なことはして来ないはず。そう、願いたい。
「そうですね。でも、現実世界で起こったら怖いですよね。王女殿下は一人っ子ですし」
「だからこそがちがちに護衛で固められてるんでしょう」
そうなのだ。そして、唯一の子供だからこそ周囲に甘やかされて育ったのだ。甘やかしたのは主に両親である陛下と王妃だけど。
「でも、それだと余計に気になりますよね。王女殿下はどうやって誘拐されたりモンスターに襲われるような事態に陥るんでしょう?」
「さぁ。話してたかもしれないけど覚えてないわ。だってあんな馬鹿な話、いちいち聞いていたら頭おかしくなりそうだもの。あの公爵令嬢のことだって“ミキちゃん”って呼んでるし。“親友”とか言っておきながら名前を覚えてないとかマジうける。レイファだってぇの」
呼び捨てにすんなってぇの。
でも、これ以上は何の情報も得られそうにないわね。イベントについてはそれとなくアイルに聞いてみよう。
「あれ?そう言えばあなたって誰だっけ?あまり見かけたことない気がするんだけど‥…あれ?どこに行ったのかしら?まぁ、いいか。王女宮に不審者が入れるわけもないし」
侍女が私のことを追及しようとした時、私は既にその場を離脱していたので正体がバレる危険は知らないうちに回避していた。
私は茶髪のカツラを被って出勤、王女の相手をする。王女が食事中の時は黒髪のカツラに黒縁メガネで他の侍女に交じって情報収集
「えっ?王女殿下があのいけ好かない公爵令嬢の侍女に話している内容の意味?」
悪かったわね、いけ好かなくて。
部屋に飾られている壺を磨きながら一緒に部屋の掃除をしている侍女から得られる情報がないかと近づいたけど、やっぱり私のことをあまり良く思っていないみたい。
会ったことがなくても噂一つ、待遇一つでここまで人は人を嫌いになれるものなのね。
人間って怖い生き物ね。
「“攻略対象者”とか“乙女ゲーム”とかよくそのいけ好かない公爵令嬢に話しているじゃないですか。皆さん、平然と仕事されているので分かっていないのは私だけなのかなって」
「誰も分かっちゃあいないわよ。昔からよ。一種の病気ね。あの公爵令嬢も適当に相槌打ってるだけで話なんて何一つ分かっちゃあいないはずよ」
半分正解で半分不正解ね。
でも案の定、マヤの記憶をベラベラと話すアイルは周囲から電波少女扱いされているのね。
「でも聞いていて面白い話ですよね。まるで物語を読み聞かされているみたいで」
「そうかしら?内容が具体的過ぎで私は逆に怖いわ。登場してくる人物名だって実在するし」
「そうですね。登場してくる男性はみんな王女殿下と婚約してもおかしくはない方たちばかりですよね。王女殿下も女の子ですから色々とロマンチックな夢を見ていらっしゃるんですわね。随分と可愛らしい方ですわ」
思ってもいないことを頑張って口にしたのに侍女はゲテモノでも見るような目で私を見てきた。
「眼科に行って来たら?」
「‥…」
“可愛い”なんて死んでも思わないから眼科に行く必要はない。でも、君とは気が合いそうだ。
「殿方と凄い恋愛をする話を私は聞きました。あなたはどんな話を聞きました?興味があるので是非、教えて欲しいです」
「殆ど聞き流してるからな。そう言えば“イベント”とかよく言っているわね」
イベント‥…ヒロインが攻略対象者を口説き落とす為に存在する出来事だ。
アイルが私に話す内容は攻略対象者がどれだけ素晴らしいかっていうことと、アイルがどれだけ愛されるかってことばかりだからイベントについては何の情報もない。
「“イベント”って?お祭りか何かですか?」
「違うみたい。何だかよく分かんなかったし、私も『また馬鹿言っているよ』で聞き流してたからよく覚えてないのよね」
仮にも王女に向かって、馬鹿って。
侍女たちはアイルを主として敬ってはいない。見下す対象になっているのね。当然だけど。
貴族社会って怖いところよね。
身分が全てってところはあるけど、でもその人の性格によっては下級貴族が上級貴族を食い殺すこともあるのだ。
内気だったり、馬鹿だったりする上級貴族は簡単に陥れられるし何をしても反撃してこない相手なら当然、見下すし、苛めの対象にだってなる。それで追い詰められて死を選んだ上級貴族は歴史上に存在する。
貴族って人間の腐った部分を凝縮してできた存在みたいよね。
「何でも姫様は誘拐されたり、モンスターに殺されかけたりするんですって。王女である姫様には必ず護衛がつくからあり得ないのにね」
そう言って侍女は鼻で笑っていた。
乙女ゲームはそういうところはスルーだもんね。ヒロインと攻略対象者にとって都合よくできているから、イベントの為には普段ついているはずの護衛は姿を消すのだ。
でも、現実世界ではそうはいかないはず。
アイルに味方をしている馬鹿神がそこら辺のイベントをどうセッティングするつもりだったのか分からないけど。今は謹慎中だし、余計なことはして来ないはず。そう、願いたい。
「そうですね。でも、現実世界で起こったら怖いですよね。王女殿下は一人っ子ですし」
「だからこそがちがちに護衛で固められてるんでしょう」
そうなのだ。そして、唯一の子供だからこそ周囲に甘やかされて育ったのだ。甘やかしたのは主に両親である陛下と王妃だけど。
「でも、それだと余計に気になりますよね。王女殿下はどうやって誘拐されたりモンスターに襲われるような事態に陥るんでしょう?」
「さぁ。話してたかもしれないけど覚えてないわ。だってあんな馬鹿な話、いちいち聞いていたら頭おかしくなりそうだもの。あの公爵令嬢のことだって“ミキちゃん”って呼んでるし。“親友”とか言っておきながら名前を覚えてないとかマジうける。レイファだってぇの」
呼び捨てにすんなってぇの。
でも、これ以上は何の情報も得られそうにないわね。イベントについてはそれとなくアイルに聞いてみよう。
「あれ?そう言えばあなたって誰だっけ?あまり見かけたことない気がするんだけど‥…あれ?どこに行ったのかしら?まぁ、いいか。王女宮に不審者が入れるわけもないし」
侍女が私のことを追及しようとした時、私は既にその場を離脱していたので正体がバレる危険は知らないうちに回避していた。
264
あなたにおすすめの小説
【完結】子育ては難しい~廃嫡した息子が想像の斜め上にアホだった件~
つくも茄子
ファンタジー
リオン王国には、バークロッド公爵家、アーガイル公爵家、ミルトン公爵家の三大公爵家が存在する。
三年前に起きたとある事件によって多くの貴族子息が表舞台から姿を消した。
各家の方針に従った結果である。
その事件の主犯格の一人であるバークロッド公爵家の嫡男は、身分を剥奪され、市井へと放り出されていた。
親のであるバークロッド公爵は断腸の思いで決行したのだが、とうの本人は暢気なもので、「しばらくの辛抱だろう。ほとぼりが冷めれば元に戻る。父親たちの機嫌も直る」などと考えていた。
よりにもよって、元実家に来る始末だ。
縁切りの意味が理解できていない元息子に、バークロッド公爵は頭を抱えた。
頭は良いはずの元息子は、致命的なまでに想像力が乏しかった。
悪役令嬢だけど、私としては推しが見れたら十分なんですが?
榎夜
恋愛
私は『花の王子様』という乙女ゲームに転生した
しかも、悪役令嬢に。
いや、私の推しってさ、隠しキャラなのよね。
だから勝手にイチャついてて欲しいんだけど......
※題名変えました。なんか話と合ってないよねってずっと思ってて
《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!
皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。
キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。
そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間――
「君との婚約を破棄することが決まった」
皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。
だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。
一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。
真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。
これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。
偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています
黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。
彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。
ようやく手に入れた穏やかな日々。
しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。
彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。
そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。
「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。
「いつものことだから、君のせいじゃないよ」
これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。
二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。
心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。
木山楽斗
恋愛
平民であるフェルーナは、類稀なる魔法使いとしての才を持っており、聖女に就任することになった。
しかしそんな彼女に待っていたのは、冷遇の日々だった。平民が聖女になることを許せない者達によって、彼女は虐げられていたのだ。
さらにフェルーナには、本来聖女が受け取るはずの報酬がほとんど与えられていなかった。
聖女としての忙しさと責任に見合わないような給与には、流石のフェルーナも抗議せざるを得なかった。
しかし抗議に対しては、「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」といった心無い言葉が返ってくるだけだった。
それを受けて、フェルーナは聖女をやめることにした。元々歓迎されていなかった彼女を止める者はおらず、それは受け入れられたのだった。
だがその後、王国は大きく傾くことになった。
フェルーナが優秀な聖女であったため、その代わりが務まる者はいなかったのだ。
さらにはフェルーナへの仕打ちも流出して、結果として多くの国民から反感を招く状況になっていた。
これを重く見た王族達は、フェルーナに再び聖女に就任するように頼み込んだ。
しかしフェルーナは、それを受け入れなかった。これまでひどい仕打ちをしてきた者達を助ける気には、ならなかったのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる