親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!

音無砂月

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第3章ゲーム開始?時期じゃないでしょう

第56話 何も分かってはいない

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アイルはご満悦だ。いい男にチヤホヤされているのだから当然ね。アイルのいない所で私にまで馴れ馴れしくしてくるのが問題だけど。でも、そこはしっかりと線引きさせていただきます。
「ここがゲームの世界だからって視野が狭くなっていたわ。どうして私、攻略対象者に固執していたのかしら。ゲームをしている時はあんなに輝いて見えていたのに、今じゃあ全然よ」
そりゃあ、そうでしょう。だって誰もアイルに見向きもしないもの。輝いて見えていたのは本物のヒロインを通して擬似恋愛をしていたから。
「現実とゲームは違いますから仕方がないのでは?」
「それもそうね。後は、イベントをクリアして、目指せハッピーエンド!」
何も分かってない。
ハッピーエンド?人生をエンドするの?
エンドの意味、分かってる?
ゲームはそこで終了でも、現実の人生ではまだまだ続くのよ。それとも強制終了にでもする?私は別に構わないけど。今度は巻き込まないでね。
「明日はいよいよイベントね」
「明日、ですか?明日はただの郊外学習ですよ」
それも魔法の授業のだ。
魔法使用者は有事の際に徴兵される可能性がある。ここ数十年も平和が続いているので大丈夫だとは思うけど。
でも、十年単位でスタンピードが起こるのでその場合に備えて訓練をする必要がある。そのため、選択授業で魔法を選んだ人は郊外に出て簡単なモンスター討伐を行う。
私の記憶が正しければアイルは魔法を使えなかったはず。そもそも、魔法は術式を理解しないと使えない。勉強が苦手な彼女がそんなものに手を出すはずがない。
「そうよ!イベントに持って来いでしょう」
何のトラブルを起こす気だっ!
「このままでも十分、好感度は高いと思いますよ」
「ダメよ!恋にはスパイスが絶対に必要なの。いい、ミキちゃん。ミキちゃんは無縁だったから分からないのも仕方がないけど、これからはしっかりと学んでね。あなたは公爵令嬢でアイル(私)の友人なのだから。マンネリは恋の敵っ!いいっ!敵なのよっ!」
勝手にやって、勝手に自滅するなら別に問題はないのだ。ただ、彼女は自分の立場を私以上に分かっていない。
ヒロインではない。王女なのだ。もし、王女の身に何かあれば周囲が罰を受けることになる。傷一つでもつけようものなら護衛をしていた騎士の首が飛んだっておかしくはない。もちろん、物理的にだ。ここは日本ではない。
身分社会が存在する。中世の時代と酷似している。
でも、この世界をゲームの世界だと思っているアイルはいまだにそのことに気付いていない。自分が望んで、選んだ世界だろうに。さて、どうする?どう、止める?
巻き添えなんて絶対に御免だ。ただ、前世でも今世でも彼女が私の言うことを聞いたことはない。
「そうですか。では、そのためにはどのようなイベントを起こす必要があるのですか?」
「もちろん、刺激的なことよ」
具・体・的にだっ!この馬鹿娘。
「殿下、殿下は明日、何をなさるつもりですか?」
「ふふふっ。そ、れ、はぁ、ひ・み・つ」
殴りてぇ。
「ゲームのネタバレは御法度だよ、ミキちゃん」
「・・・・ここはゲームの世界ではありません。現実です、殿下。私もあなたも、この世界で生きています。怪我をすれば、血が出て、痛みだって感じます」
「分かってるよ、そんなこと。急に何を言い出すの?そんなのは当たり前のことじゃない。変なミキちゃん」
分かってないから困っているのだ。
どうする?どうやって説得する?どう、説得すればいい?
「殿下、明日の郊外学習は低級モンスターの討伐です。多くの生徒が魔物との戦闘経験がありません。普段とは違う緊張感の下行われます。そこにイレギュラーが起これば、どのような結果を招くか分かりません」
「大丈夫だって」
「殿下っ!何を持ってそう言い切れるのですか?根拠のない自信は」
「ミキちゃんさぁ、前から言おうと思っていたんだけど、ちょっと嫉妬が激しいんじゃない?」
「は?」
嫉妬?誰が?私が?誰に?アイルに?いや、マヤに?嫉妬している?私fが?どうして?
「分かるよ。ミキちゃんは一般庶民で、私とは住む世界が違うもんね。それに、私って昔からモテるからさ、嫉妬したくなる気持ちも理解はしてあげてるつもりだよ。でもね、そうやって度がすぎる嫉妬心はさすがの私も受け止めきれないよ」
私が嫉妬心から口を出していると言っているのか?
「私は、殿下に嫉妬したことなどありません」
「だからさ、そういう強がりはいいって。私は全部、分かってるから」
「殿下の」
この馬鹿みたいな自信過剰さには本当に嫌気がさす。一度でいいから自分の姿を鏡で見てほしい。そうすれば、分かるだろう。今の自分がどれだけ醜い姿をしているか。
「殿下のどこに嫉妬をする要素があるんですか?」
「へぇ?」
アイルは間抜けな声を出して、呆然と佇んでいた。
私はこれ以上、彼女との会話を続けたくなくてその場を去ってしまった。何一つ有力な情報を得ていないのに。
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