心理のぬま

竹柏凪紗

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第3話 ひと晩で数十万円

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ひと晩で数十万円…。
闇バイトというわけでもなさそうだし。
話くらいなら聞いてやってもいいか?

理玖がゴクリと息を呑んだとき。

「仕事を手伝う気がないのなら、とっとと帰ってもらおうか?それから俺を解雇したいなら、きちんとこの探偵事務所を相続して解雇通知でも送ってこい。じゃあな」

さっきの儲け話などなかったことのように追い出そうとする楓衣に腹が立った。

「ちょ、ちょっと待てよ?」

「…なんだ?」
楓衣が怪訝そうに振り返る。

「は…、話くらいなら聞いてやってもいい…」
「ほう…。生意気な」

薄い目をして理玖を見つめた楓衣だったが
「まぁ、総代さんの遺言だからなぁ…」
小さく溜め息をつく。

そして
「先に詳しい話を聞きたいならやめておけ。内容を教えるときは実行するとき。いまは、やるかやらないか、その答えをお前から聞くだけだ」
選択を迫った。

「ただ…。内容も聞かずに実行するというのは、お前からすればリスクも高いだろう。じっくり考えればいい」

チラリと楓衣を見る理玖。

そんな理玖を見つめ返した楓衣は
「まぁ、お好きなように」
デスクの引き出しから資料のようなモノを取り出してチェックをはじめる。

腕時計で何度か時間を確認する楓衣の様子を見ていると、このあと予定があるのではないかと察してしまう。

それならば早く返事をしなければ…。

まるで数十万円が逃げていくような感覚に襲われた理玖は
「…お、教えてくれよ。そ、そのラクして簡単に稼ぐ方法ってやつを」
そう言っていた。
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