【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第160話 SS級忍者

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高木のもとへと飛んでいき皮膚を傷つけた小さな氷の欠片たちはまるで意思を持っているかのように反復して攻撃。
ひとつずつは大きな傷ではないのに、何万という小さな氷の欠片たちは切り刻んだ皮膚に攻撃を繰り返して徐々にダメージを与えていく。

「…早い」

焦ったような声を漏らした高木の皮膚にはすでに無数の傷。
傷同士が干渉しあって痛みや出血を広げ、気がつけば鈍く弱い痛みに支配されている。

氷晶ひょうしょうの術…」
末明はつぶやいて、目の前でキラキラと光りながら攻撃を繰り返す美しくも鋭い氷の欠片たちを目で追った。

「お前…、何者…?」
奥歯を軋ませながら額に浮いた汗を右手の甲で拭う高木。

警戒した声で聞く高木にも
「ワシはただの耄碌もうろくじじぃじゃ。ひゃはははは」
軽いノリで答えたおじぃちゃんは
「それでもまだまだAIとも戦えるかのぉ?」
そう言うとまた咒文じゅもんを唱えはじめる。

ゴゴゴゴゴゴゴ…地鳴りのような音とともに高木の背後に現れたのは光る大きな波。
それはうねりながら竜巻のように渦を巻いて高木を飲み込んだ。

「あんたのおじぃちゃん、さすがはSS級の忍者ね」
爪子が興奮状態でニヤつきながら末明に言う。

「SS級の忍者…?」
「…え?まさかあんた、自分のおじぃちゃんがSS級の忍者だってことも知らなかったの?」

驚く爪子に頷く末明。

「ウソでしょ…。あんたもしかして自分の正体だけじゃなく…」
そのあとも続けようとした爪子の顔面スレスレを手裏剣が飛んできて阻んだ。

「師範…!」

手裏剣が飛んできた方向に視線を向けた爪子の瞳に映ったのは、末明のおじぃちゃん。

「師範…?私のおじぃちゃんが、爪子さんの…?」

おじぃちゃんと爪子が目配せをした一瞬の隙に高木は渦の中から身を捩るようにして這い出すとフッと姿を消してしまった。

「くそっ…、逃がしたか…」

悔しがるおじぃちゃんに
「すみません。私が余計なことを言いそうになったから」
謝る爪子。

「いや、これはワシの不覚。それより、白川の様子はどうじゃ?」
おじぃちゃんが白川先生に駆け寄った。
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